(0)プレリュード
ここのところ、東京で行われる全日本では、クレインズは大抵「罰ゲーム」に回ってしまうことが多い。「罰ゲーム」とは準決勝2試合が終わった後に行われる5位決定戦。以前は準決勝2試合の前に行われていたのだが、ここ数年、18:30からに変わってしまった。私はこの「罰ゲーム」をよく見ている(苦笑)。しかし、今年こそはやめてほしい「罰ゲーム」。初戦の相手は日光アイスバックス。タイトなスケジュールからいっとき解放された選手達のモチベーションが「やるぞ!」モードに戻っているかが心配なところ。そーでなくても、一発勝負で決勝まで行ける可能性があるだけに、バックスのモチベーションの方が高いに決まっている。立ち上がりを無失点で切り抜け、早い段階で試合感が戻っていってくれれば悪い結果にはならないはずだ。
本日の私の席は本部席から向って右側のクレインズベンチの更にやや右後方、1階の中段あたりに陣取る(自由席=2階だと思っていたが、1階のベンチ後方のブロックまでは指定席でそれ以外は自由席だったらしい。最初、2階に座って1回戦の第1試合のまったりとした試合を観ていたが、私がミスカさんから託された弾幕をせっせと貼っている最中にカミさんが1階に荷物を降ろしておいてくれた。その後、つる雄氏が運んできた「No.1 PACK STOPPER SAN」の実物を目の当たりにして驚く。「う〜ん、いいんでないかい」。
【クレインズ】
33−41
大滝が今季初のベンチ入りとなりました。
18−20−32−22−7
96−92−24−3−34
10−27−14−2−23
13−21−19−77−9
全日本選手権は22人登録OKだそうです。その昔、日本リーグは22人登録で、全日本は20人登録だった時期があったが...。というわけで、久々に#9のユニフォーム姿を見ました。試合に出られるといいんですけど...、きっとFWライン4つ回し、DFペアは3つ回し、という日本リーグと同じ戦い方になるだろう。
【アイスバックス】
61−97
9−93−32−34−6
41−74−12−24−7
16−51−36−31−8
25−19−10−11−80
【レフェリー】川村一彦
【ラインズマン】根本、山内
ホームチームはパックトスによりクレインズ。
(1)第1ピリオド
スターターは、クレインズは1つ目を、バックスは1つ目中心だが、#6でなく#8。しかし、開始早々。バックス陣内に放り込まれたパックを追っていった竹内がバックスゴール右後方でバックスDFとガツンと激突。そのまま転倒し立ち上がれない。10秒ほど経ってようやく試合が中断。立ち上がれない竹内を取り囲む人の輪が増えていく。「顔に入ってたのかしら、腰だったらまずいわ」と実つるさんが呟く。すると、「腰よりも顔が大事なのよ竹内は!」と人形の久月みたいなことを叫ぶ。しかし、ようやく立ち上がると自力でベンチに戻る。どーやら首に相手の腕か肩か肘が入ったらしく、息ができなかったらしい、というようなジェスチャをしていた。昨年末バンナをギブアップさせた安田忠夫の腕ギロチンが瞬間的に入ったか。
しかし、戦前の予想とおりクレインズの動きが鈍い。バックスが積極的にクレインズ陣内にパックを放り込むと先にパックに追いつきスコアリングチャンスを作ろうとする。辛うじてパックを奪うも、即座に攻めに転じることが出来ないクレインズ。苦し紛れのアイシングとタテ一本で形勢を一気にひっくり返そうとするセンターラインパスがいずれもアイシング。序盤はクレインズ陣内での試合が続く。案の定、動きが鈍い分、こういうことが起きるのでは、と思っていたことがニュートラルゾーンで起きる。
2:51 C96 Holding
必要だったのか、この反則は。
そして、このところの負けパターンに嵌るかのごとく、
3:53 もれなくPKで失点 G41←93
ゴール左(ロブから見て)からB93が放ったシュートを弾いてしまったロブ。しかし、それを押さえに行く前にゴール左脇に入ってきたB41にパックを叩かれあっさり失点...。
この悪い流れを断ち切るべく、中村達哉が積極的にバックスDFめがけてまっすぐに突っ込んでいく。そこで反則をもらったのだが、ちょうどバックスベンチの目の前で、更にバックスのプレイヤーに行く手を阻まれると、そこで手が出てしまった。
4:50 B24 Interference/C19 Roughing
この反則を境に、クレインズのパスがつながり始め、敵陣でパックを支配できるようになってきた。ようやく試合感が戻ったのか...。
6分には、2つ目がバックス陣内でパスをつなぎ、最後は上がってきた賢吾にフリーでパスが渡り春名に向って突進するもシュートを打ち損なう。更に、ベンチサイドのポイントの位置から匡史がシュート。そのリバウンドが逆方向のポイントの位置まで流れると、今度は原武がシュート。そのリバウンドがゴール正面に出る。クルッと回って態勢を変えてパックを流し込もうとした史郎。しかし、コントロールできず枠を外す。
8分後半から9分前半までは山野と匡史がバックス陣内で持ち前のスピードと運動量でかき回すも、スコアリングチャンスまでには至らない。
同点になるのも時間の問題か、と思いきや、時折パックを自陣に放り込まれると、バタバタしてしまう場面は解消されない。10分過ぎには競り負けからゴール裏のB93からゴール前のB32へパスが出され、目を覆うもシュートを体でセーブするロブ。動けるプレイヤーは守勢に回ると、まだ心もとないがロブは完全に落ち着きを取り戻していたようだ。そのバックスの攻めを凌ぐと、史郎がクリアしたパックをニュートラルゾーンで追いついた匡史がベンチサイドを走ると、パーサイドには賢吾が走る。そしてバックスDFは1人の2−1隊形。絶好のスコアリングチャンスを迎えるのだが、匡史がパスを出すタイミングを逸し、もうシュートしか無いというポジションに来てもシュートを打てず、キープしたパックごとゴールに突入する形になり、チャンスを潰したかに見えたが、匡史の方に体を寄せていた春名がルーズになったパックを押さえられず転倒。そのルーズパックにパーサイドから回りこんできた賢吾が、春名の態勢を確認すると、冷静にパックを上げ、ゴール右内側サイドネットに当てるようにパックを放り込んだ。
11:49 同点に追いつく G3←14←27
まさし(匡史)く「ケガの功名」という感じで点に結びついたようだが、最終的にはフォローしていた賢吾の動きが光った。
その後は膠着状態が続いたが、パック支配率はクレインズが上回っていた。特に、中村、辻の4つ目の敵陣でまとわりつくようなしつこい動き。匡史、山野のスピード。そして、1つ目が敵陣でパスをつなぎ、再三ゴールを脅かす。唯一、コフマンのセットに当たる機会が多かった2つ目だけが精彩を欠いていた。この状態ならば、大きなミスをしない限りクレインズが負けることは無いだろうという感じを残しつつ1ピリ終了。
Shots on Goal:C18、B9。
(2)第2ピリオド
開始早々、いきなり攻め込み、ゴール左からダーシが逆サイドに居る竹内にパスを出すも竹内のシュートは春名に弾かれる。それを拾いゴール裏から再度攻め直そうとしている矢先に笛が鳴る。
0:18 B93 Holding
絶好の勝ち越し機を向かえた今日最初のPP。相変わらずシンプルにゴール前にパックを集め、守備隊形を崩し、リバウンドを叩というパターンで攻め続ける。PPが1分ほど経過した頃、ゴール裏から攻め直そうとした矢先にまたも笛。
1:10 C14 Interference
せっかくのPPを潰す。4on4の状況になったが、B51(31かどっちか)が小林と競り合いながらクレインズ陣内に入り込む。しかし、小林が交わされてしまいノーマークのピンチ。しかし、正対したロブが放たれたシュートに対してグラブを下から救い上げるようにキャッチ。危ない危ない。
しかし、小林が汚名返上と言わんばかりに攻めあがると、敵陣で史郎にパックをつなぐ。すかさず史郎がブルーライン中央付近に居たディックにパスを出すと...、
2:03 炸裂!スラップショット G7←27←22
史郎からのパスを待ち構えていたジョー。大きく振りかぶったジョーのスティックから放たれたパックの弾道はグラウンダーで見事に春名のマタを抜いた。う〜ん、スカッっとするゴール。やっぱりジョーのゴールはこうでなきゃ。
1分近く残っていたPKで危ないシーンがあったが無失点で凌ぐと、岸部が一瞬のスキをつき自陣からセンターラインパスを佐曽谷に通す。そのままシュートを放つもクリアされる。しかし、既に敵陣に入っていた辻がパックを拾うとゴール裏からゴール前やや右に居た「ヤル汁充填でみなぎる闘志よろしく」という中村達哉に渡る。しかし中村は冷静にシュートコースの狙いをつけるだけの余裕があった。それだけバックスDFの戻りが遅かったということか。
4:06 今年も健在! G19←13←21
これでもう1点取れば、この試合はクレインズのものになると確信しました。それが証拠に、この後、11分近くまで目の前で試合が展開され続けるのだ。各FWラインがそれぞれの持ち味を出した攻めで完全にパックを支配。特に1つ目のパスが面白いように通る。竹内も最近見せなくなった単独でのゴール前までの切り込みまで見せる始末。早く1点を奪って引導を渡したいところだったが、ニュートラルゾーンでチェックに行った正和。「ドーン」という音を轟かせ笛が鳴る。やっちまったか、と思いきや間髪入れずにクレインズベンチから「英語」が飛び出してしまう。
11:26 C96 Borading/C21 Unsportsmanlike
Conduct
おそらく佐曽谷の反則はベンチマイナーの代行だと思われる。
なんと、まるまる2分間のツーメンアドバンテージを与えてしまう。この試合の結果を左右するヤマ場を迎えてしまう。当然、バックスはコフマンを中心とした考えうる最強のセットを送り出す。下手をすれば一気に同点まである局面だったが、バックスのシュートはことごとく枠を外してくれる。そして、一番危険なリバウンドを叩かれるという場面もほとんど見られず、2度もクレインズにパックをクリアされる。結局、この2分間でのShots
on Goalは2。最後の最後にゴール右(ロブから見て)に回されたパスをワンタイムで叩いたコフマンのシュートはネットしか見えていない角度にパックが飛んでいき、「やられた」と思ったら、間一髪ロブが鋭い反応で逆サイドからそのシュートを見事にキャッチ。これで、流れが完全にクレインズに傾いた。
14分過ぎ、ダーシ、雅俊と渡ったパスを雅俊がゴール左(春名から見て)45度からシュートに持っていくのだが、名手春名がゴール正面にリバウンドを出してしまう。そこに、バックスDFもろとも突っ込んできた「男」が居た。
14:07 「男の一発」またもや代々木で炸裂 G34←18←20
「男」原武、マークをくらいながらもステックだけは生きていた。原武の全日本(しかも代々木)でのゴールを再び観ることができた。もう事実上ダメ押しでしょう。
あとは、つまらないミスで失点しないことだけが心配でしたが、直後にバックスにカウンターを喰らい、各プレイヤー相互間でマークに行く選手が合わず、パックキャリアをフリーにし、ゴール前まで攻め込まれシュートを喰らうも今日のロブはパックがよく見えている。ゴール前のスクリーンももろともせずキャッチ。直後にゴール前でもみ合いとなるが、ここでも一番目立っていたのは中村達哉。どうやらパワーが有り余っているようだ(苦笑)。
しかし、今日は最後まで波に乗れなかった2つ目がニュートラルゾーンでつまらない反則を犯す。
17:37 C24 Tripping
しかし、今日のバックスのPPも精彩を欠いている。逆に、ポイントの位置でパックをキープミスした一瞬のスキを賢吾が見逃さずパックをニュートラルゾーン中央あたりに流すと、それに呼応するようにダーシが走りこみノーマーク。
19:12 ダメのダメ押し。勝利を決定ずけるショートハンドゴール! G20←3
走りこんでいく中、じっくりとシュートコースを定め、見事に春名の左脇を抜く。
わずかに残ったPKも問題なく終了。
Shots on Goal:C14、B9。
(3)第3ピリオド
3ピリは「つまらん失点の防止」と「明日への課題」に焦点が集まった。バックスは完全に攻め手を失い、クレインズの勝ちを待つだけという空気が充満してきた。
1:14 B7 Holding Stick
今日初めて2分間あったPPだったが、決まらない。選手個々の動き、パスの出す速さ、シュートまでの過程が遅く、バックスのボックス守備隊形の動きに合わせている攻めが気に入らない。
5分過ぎ、2−2隊形ながらもバックスの4つ目のスピードに一旦は遅れを取り、態勢を崩したロブの左脇あたりまでパックが流れる場面もあったが、なんとかクリア。相手の動きに合わせてはダメなのに...。
10分過ぎには大澤が自陣でのパックを奪われピンチを招くがロブがセーブ。
11:35 C13/B16 Roughing(共にダブル)
バックスベンチ前でもみ合っていた(らしい。死角になっていたので顛末がわからなかった)。
12:35 C3 Highsticking
バックスファンの怒号が飛ぶ中、淡々と進むバックスのPPは決まらない。しかし、PP終了30秒前あたりに、ミワから逆サイドに居たコフマンにパスが通りバックドアが決まったかと誰しもが思ったのだが、肝心のコフマンがパックをふかしてしまい枠の上をパックが飛んでいき、ミスにも助けられる。しかし、これは「1点もののミス」。この試合展開だから決まらなかっただけ。自陣でのちょっとした気の抜けたプレーは1回戦では通用しても準決勝、決勝では許されないぞ。
15:07 勇 登場
15:46 B19 Interference
折角、中村達哉が自らバックス陣内に飛び込んで反則を取ってきたのに、1つ目、2つ目のスペシャルセットのPPが決まらない。確かに勝負は見えているかも知れないが、こんな悠長なPPをやっていては、準決勝、決勝は勝ち抜けないぞ。
19:12 圭祐 登場。これで大滝以外全員出場となりました。その圭祐、わずか40秒ほどのシフトにも関わらず、2度もパックに触る。1度、敵陣でシュートが打てるか、と思わせるポジションに居たがパックが回ってこなかった。結局、そのまま試合終了。
Shots on Goal:C11、B7。
立ち上がりこそ動きの鈍いところを突かれたが、2ピリ以降はリーグ序盤に見せていた強かったクレインズの姿を見た気がする。しかし、3ピリの相手に合わせた試合運びはいただけない。せめてPPは1度決めておいて欲しかった。
問題は明日だ。