第36回日本アイスホッケーリーグ
日本製紙クレインズVS日光アイスバックス 8回戦(東伏見アイスアリーナ) 観戦記

(0)プレリュード
 なんとしても、首位のままレギュラーを終わるんだ!。
 そして、竹内にタイトルを。そして150Gを決めて欲しい。そして、ダーシにもゴールを、アシストを決めて欲しい。そして勝って欲しい(「贅沢言うな」という声が聞こえてきそうだが...)。
 本日の私の席は開幕2戦目と同じ、クレインズサイドのゴール裏。すなわち、ザンボ口の上です。「目の前にロブの背中が見える場所」は落ち着きますね。丹頂よりもネットを構成している紐の1本1本が太いので、やや見ずらいのがちょっと...。
【クレインズ】
33−41
18−20−32−22−7
10−92−24−3−34
14−27−96−2−23
13−39−19
【アイスバックス】
61−97
32−93−9−34−24
41−74−19−6−7
12−51−11−31−8
36−25−16

【レフェリー】ユリー・ローェン
【ラインズマン】聞き逃した

(1)第1ピリオド
スターターは予想通り、バックス1つ目に対して2つ目を当てるクレインズ。果たして、コフマンを止められるのか?。
2→1→3つ目と回った2分過ぎ、自陣からパックキープしながら前へ前へと突進する匡史。そのまま敵陣に入り込むも、2つのフェイスオフサークルの間あたりで倒される。

 2:17 B9 Hocking

早くもPPのチャンスが転がりこむ。史郎をCFにしたスペシャルセット1つ目が登場。早々にダーシのゴールシーンが見られるか、と思いきや、この試合に負けると最下位が決まってしまうバックスの固い守りを崩せない。今季、ゴールが増えたことを象徴する、「ポイントの位置に居るDFに戻して、ゴール前で合わせる」パターンを2度ほど狙うも決まらないどころか、そのままボードに当たって跳ね返ったパックをバックスDFにあっさりクリアされる。
この後は、双方の2つ目が得点力のある相手の1つ目の攻めを交わし膠着状態が続く。パック支配も互角。ただ、クレインズはバックスDFの早い寄せに手を焼き、なかなかシュートまで持っていけず、攻め込んでもパック離れが悪い。しかし、ここのところ「勝ち方」なるものが身についてきたのか、9分過ぎにジョーが敵陣奥深く流したパックをダーシが拾うと、ゴール裏での早い動きでマークを交わし、ゴール前にパスを出したダーシ。それを待ち構えていたのは...。

 
8:02 先制ファインゴール! G18←20←7

ゴール左後方(B61から見て)から出たパックをゴール正面やや左のフェイスオフサークル付近で受けた雅俊。ワンタイムとまではいかないものの、フリーになっていた分、フォーカスを定められるだけの一瞬の間があった。放ったシュートは春名の右肩口を綺麗に抜けていった。お見事でした。
 さて、先制してペースを掴みたいところだが、バックスもそう簡単には引き下がらない。クレインズ陣内に攻め込むと、外からゴール前にセンタリングを出そうと、懸命にパックをつなぐ。ゴール前では激しいつばぜり合いが...、と思ったら、

 10:46 C39 Roughing

そのゴール前でバックスFWに競り負けそうになった坪子。その気は無かったのだろうが、体を入れようとしたときのプレーでバックスFWがよろけたところを取られる。
当然の如くB93とB9を軸にしたPPは脅威。1分近く攻めつづけられ、クレインズゴール前には選手が殺到。その中で、しっかりパックの動きを見極めていたロブは冷静。際どいところでシュートを食い止め、凌ぐ。1回目のPPだけを見てみたら、バックスの方が「迫力満点」という感じ。
「やはり1ピリのバックスの動きは良いなぁ、クレインズにはスピードが無いなぁ」という印象。それでも、14分過ぎ、自陣から攻めあがろうとベンチ側フェンス際を抜けようと、史郎が懸命に脚を前後に動かして前進しようとするも空回り状態。そこにそこにホイッスルが鳴る。

 14:17 B7 Hocking

スティックで史郎のお腹あたりを押さえ、完全に「通せんぼ」してしまった。今日、2度目のPPで突き放したいところなのだが、コクド戦でのPPのように、パスは通るのだが、フィニッシュとなるべきシュートが逸れたり、ジャストミートしなかったりで1分が過ぎ、残りの1分は、激しいバックスの当たりに手を焼き、なかなかいい形を作れない。というか、シュートが打てない。という訳で、このPPも失敗。

その後は双方とも決め手を欠き、1ピリを終える。クレインズ2つ目はバックス1つ目をしっかり封じたものの、クレインズ1つ目が今ひとつ。雅俊は良いとして、ダーシ、竹内はパックを持ちすぎてチャンスを潰している感じ。元アシスト王さんが見たら、「普通にやればいいんですけど」という解説を頂いてしまいそうな、そんな印象でしたね。
Shots on Goal:C7、B8。
「手数」少なすぎ。郡司さんの採点は10対10のイーブンって感じかな(苦笑)。

(2)第2ピリオド
 立ち上がりからクレインズにチャンスが立て続けに生まれる。
まず、30秒過ぎ、ニュートラルゾーンでパックを奪うと、いきなり腰越−山野の2−1隊形。最後はゴール右(B61から見て)サイドの腰越から山野にパスが出るが、ゴールに近すぎてシュートが打てない。
1分半過ぎ、1つ目がシュートを放ち、ゴール前で勝負するというシンプルな攻めでバックスゴールを脅かすも、春名も冷静な動きを見せ、クレインズの攻撃を軽く捌く。
その後は、バックスがパックを支配。クレインズ陣内で再三場内を沸かせるも、こちらもあと一本が出ない。逆にクレインズはカウンター狙いに移行したか、4分過ぎ、またもや賢吾−ダーシの2−1隊形。最後はゴール左サイドの賢吾からダーシにパスが出されるもDFにカットされる。
すると、またもやバックスがクレインズ陣内でパックを支配。ボード際での1対1の競り合いも負けていない。その競り合いを制したバックスがパックをキープし次の攻めに移行しようとしたところを競り負けた賢吾がやらかしてしまう。

 5:15 C3 Interference

「競り負けました。ピンチになりそうだったので反則しました」という典型的なパターン。バックス2度目のPP。しかし、バックスの攻めを辛うじて交わすと、6分半過ぎにまたもやカウンターで2−1隊形。今度はゴール右サイドをダーシが走り、最後は左サイドを走ってきた竹内につなぐ。「もらった」と思いきや、春名は竹内に方に倒れこみつつ体をくの字に曲げてゴールを守る。結局、PKは守りきるも、やはりバックスのパック支配が続きクレインズ陣内での攻勢が続く。しかし、攻めに熱中するあまりに、クレインズがパックを奪った時点で、自陣ブルーライン上にクレインズプレイヤーが一人浮く形になり、それが再三のカウンターを生む状況になっている。それが8分過ぎに結実する。
バックスの攻めを断ち切りパックをクリアする。ニュートラルゾーンでパックに絡んだのは山野。さすがにバックスDFも今回は早い戻りでゴール前に入っていく。その時、ゴール左のフェイスイオフサークル外側あたりでフリーになっていた山野。そのままシュートを打つかと思いきや、ゴール前に戻ってきたDFを引き付けつつゴール右45度、距離にするとゴールから2メートル程手前という感じだったか、満を持してのシュートは、

 8:49 技あり! 貴重な追加点 G10

春名を左から右に移動させることで春名の左肩口にスペースができたか、そこに狙いすましたようにパックを叩き込むと、目の前で綺麗にゴールネットが揺れる。
これで流れを完全に掴むべく4つ目がシフトされ、予想通りバックス陣内でかき回す中村。しかし、その動きに嫌気が差したか安易に体をぶつけられてくるとさすがの中村も倒される。

 9:33 B24 Boarding

幸先良く、敵陣でのフェイスオフを取るとブルーラインに位置していた賢吾に渡る、が、なんとここでハンドリングミス。そこを容赦無く突いてくるB93。あっという間に抜かれると懸命の賢吾のDFも空しくゴール前まで持っていかれる。

 
9:40 言葉も無い G93

情けない。
折角、4つ目が反則を取ってきたのに。掴みかけた流れを逃がしてしまう嫌な雰囲気。
しかし、直後にそのコフマンがやってくれた。

 10:08 B93 Boarding

流れを掴もうとしていたのはバックスも一緒。ニュートラルゾーンでパックキープしている史郎に対しやや後方から激しい当たりをかますと史郎の顔がフェンスに一瞬当った。大丈夫か?。
大丈夫だったようだ。
1分半ものツーメンアドバンテージ。絶好のチャンス。ここは絶対に決めなければ。と、いう思いが強いのかPPの立ち上がりは、シュート&リバウンド、バックドア、リバウンド、外からシュートと正攻法に攻めつづけるも春名の好セーブに阻まれる。やはりSHGを許したPPは点は入らないのか、と思わせたところに、意外な形でチャンスが転がり込む。なんとかパックをクリアしようとバックスDFが踏ん張るが、本部席側ブルーラインをパックが横切る前に史郎がパックに追いつく。詰めてきたDFを交わし前に居たジョーにパスが渡ると、前方は当然ガラ明きの上、フリー。

 
11:14 きっちり決めたPPGでまたもや突き放す G7←27

素早く狙いを定めると、山野のゴールの再現かの如く、またもや左肩口を抜き、綺麗にゴールネットが揺れる。
これで何とかなるか、という空気が漂う。残りのPPはモノに出来なかったが、流れはクレインズにもう傾いてる。
ブルーライン際でまたもやフリーになったのは匡史。そのまま春名めがけて突進。シュート、肩口抜く、と思いきや転倒。

 13:41 B24 Hocking → Penalty Shot

たぶんローェンならP.S.にするだろうな、と思ったら案の定、両腕を頭上で交差。彼のそのアクションを見るのは3度目かなぁ(苦笑)。シューターはそのまま匡史が努める。反則を喰らったときと同じように春名に向って正面向っていく。と、(匡史の視点で)左に一度フェイントを入れ、右に振りバックハンドでパックを上げたものの高さが足りず、春名の左脚レガースにパックが当たる。それにしてもP.S.は決まらない(苦笑)。
直後の14分過ぎ、またもや山野がノーマーク。ゴール左サイドから狙うもシュートするタイミングを逸したか、春名の前まで来てしまう。しかし、その刹那、逆サイドにパスを出すと、そこに飛び込んできたのは腰越。しかし、戻ってきたDFに阻まれパックを叩けない。すると、この反転でバックスが2−1隊形になる。最後はB9がラストパスを受けシュート。「やられた」と思いきや、またもや飛び出す「ロブ横転、両足跳ね上げ」でセーブ。ヒヤリとさせられる。ここは守りを再度締め直して欲しいと思ったところに、「ドカン」という音がリンクに響く。

 14:52 C23 Roughing

思いっきりボードに叩きつけてしまったが、マイナーで済んだ。大澤も倒れたバックスプレイヤーを心配そうに覗きつつ反省室へ。P.S.を失敗した後のPKで当然ピンチと思われたが、流れを掴んだかクレインズ。実に1分以上もニュートラルゾーンより前にバックス攻撃陣を行かせないプレスを見せる。残った1分、バックスはクレインズ陣内でボックスを小さくしゴールに寄っていくものの、今度はクレインズDFの網にかかる。
PKを凌いだ後の17分過ぎ、雅俊が素晴らしい動きを見せる。ゴール前で春名に背中を向けている態勢でありながら、体を反転させゴール前のDFを交わすと、春名と1対1となる。そのままシュートを放つが惜しくもシュートは春名の正面。

 18:31 C7 Interference

B32へのマークが一瞬遅れたため、そのまま自陣ゴール裏付近まで先を行かれてしまった。そこをスティックで押さえに行き、右手を上げ「相手のホールディングスティック」をアピールするもローェンには通用しなかった。しかし、バックスのチャンスも、

 19:33 B51 Holding

で自ら潰し、そのまま2ピリ終了。
Shots on Goal:C16、B10。ピリオド前半こそ、バックスが1ピリの良い流れを持ち越しクレインズ陣内に攻め込み、フリーでシュートを放つシーンが何度か見られたが、3点目が決まってからは息切れしたか。ただ、それに合わせてクレインズもまったりし始めたような気が...。

(3)第3ピリオド
クレインズのPPが1分ほどあったが形にならず。
直後の1分過ぎ、自陣ブルーライン付近でB34にパスカット。ゴール左サイドからフリーでシュートを打たれるがロブがきっちり正対しており難なくセーブ。
その後、やっぱり「まったり」とした空気が流れ出す。何故なのか?。私の個人的印象としては、ダーシと竹内に精彩が無いからだと思う。流れを掴んだ今なら、敵陣で自由自在にパスをつなぎ格の違いを見せつけるようなプレーが出るはずなのだが、1つ目にそれが見られない。目立っているのは雅俊の突っ込みだけ。

 3:43 B34 Boarding

だから、このPPも点が入りそうな気がしない。「点とるぞ!」という「気」が伝わってこないのだ。
この後、7分過ぎまで、またもや「まったり」。何なのか、この感覚。昔のコクドの試合を見ているような感じ。「このまま勝ってしまうんだろうな」という違う意味での安心感。これってクレインズがその域に達したという証明なのか?、いやそんなことは無い、と考えれば考えるほど自分の気持ちが高揚してこないのだ。
8分過ぎ、敵陣でのフェイスオフ。坪子がパックを出すと、小林に渡る。一度、本部席側ブルーラインあたりに下がる。ゴール前には坪子が詰めていく。小林が振りかぶると、

 
8:43 まだまだ確変継続中? G22←39←19(追加)

何故かゴールランプが点いている。もしかしてゴール前で坪子が合わせた?。と思ったらそのまま小林のゴール。後でウチの専属カメラマンに聞いたところ、ゴール前で坪子がスクリーンなっていてタイミング良くジャンプしたらパックが入ってしまった、とのこと。

あとは、コフマンに決められないように締めてほしい。そして、ダーシ、竹内になんとかゴールに絡んで欲しいと思えば思うほど、決まりそうに無い。やっぱりタイトル云々よりも、チームの勝利を優先に、という視点で試合を見ていなかった自分自身に問題があったことに後々気づくことになる。

 11:48 C27 Holding

この反則は必要だったか?。で、

 
12:40 止めなければいけない男に決められる G93←34

ゴール前の混戦をクリア仕切れず、至近距離でシュート。ゴール左にリバウンドを出してしまったところを、落ち着いてキッチリとロブの左脇の開いたスペースにパックを打ち込む。普通にプレーしているのはコフマンの方だった。
でも負ける気はしなかった。
15分過ぎ、雅俊からゴール右に入ってきたダーシにパスが渡る。正対する春名と真っ向勝負で振りかぶるも春名の反応が良く決まらない。

 17:21 B7 Slashing

2点差だからまだ可能性はあるはずなのに、この時間帯で反則をするようでは...。ただ、このPPを決めないクレインズもクレインズなのだが、PP明けに山野がゴール左まで攻めこむと逆サイドゴール脇に居た竹内にパスが通ったように見えた。直後に灯る赤い光り。もしかして...、

 
19:45 山野のセンタリングがそのまま入る G10←32(訂正が入っていたようでした)

センタリングなのか、狙ったのかは解らないが、ゴール前で喜ぶ竹内。もしかして、決めたかと思ったのだが...。
で、そのまま試合終了。
1ピリ、2ピリ中盤まではどっちに転ぶか、と心配しましたが、「終わってみたら勝っていた」。それはそれで非常に嬉しいことで、クレインズの首位抜けにも弾みがつくはずなのだが、どうにも釈然としていないのが自分自身。ずっと個人タイトルばかりを気にしていた自分が恥ずかしい。クレインズが首位抜けする方は遥かに重要なのに。
Shots on Goal:C9、B9。
スカイA 3STARS 1st:C7、2nd:B93、3rd:C10。

次の試合が始まる前に監督さんとリンク内で偶然会ったのですが、この釈然としない思いを監督にぶつけていた(「ぶつける」と言っても誤解しないで下さいね。感じたままを丁寧な言葉で話しただけですから)自分が恥ずかしい。どうして素直に「まずは首位抜けの第一関門をクリアできて良かったですね」というセリフが出てこなかったのか?。
明日は個人タイトルなんか気にせず、「単にクレインズに勝利だけ」を求めるように応援したい。それが、自分自身の本来の姿であるはずだ。
「明日、勝ってくれ」。