第36回日本アイスホッケーリーグ
日光アイスバックスVS日本製紙クレインズ 4回戦(日光霧降アイスアリーナ) 観戦記

(0)プレリュード
 いよいよ試練のロードが始まった。その第1弾が「鬼門・日光でのバックス戦」。選手の疲労の蓄積が見え始めているのか、なんとなく11月に見せた動きの良さがここのところが見られない。それにも増して、相手がバックス。先制されると「雰囲気」に飲まれズルズル行ってしまうのでは、という心配はやはりある。どーしてもこの2連戦は連勝して、次の王子戦に弾みをつけたいところ(って言っておきながら、新横で「弾み」をつけてたはずなのに...)。
【クレインズ】
33−31
18−20−32−22−7
6−92−24−3−34
14−27−10−2−23
19−21−13
なんと、先日初ゴールを決めた山本祐とオリンピック(4年ぶり)ゴールを決めた坪子を使わず、久々の「オヤジ登場」中村達哉を起用しています。その意味するところは私なりに理解できました。
【バックス】
61−97
9−93−32−7−33
41−74−25−24−6
36−51−16−31−8
10−19−11

レフェリーは川村

(1)第1ピリオド
スターターはバックス1つ目に対し、クレインズは19−27−13−22−7を起用。「開始早々からバックスの1つ目に好き放題やらせるわけにはいかない」という意味を持つ超チェッキングラインの登場。その期待とおりにバックスの最初の攻めを何事もなく封じた。続いて、クレインズは1つ目が登場、そしてバックスもそろそろ交代しようと、パックを出そうとするが、ダーシがバックス陣内に残り、DFにプレスをかけ続けていた(もしかしたら飯塚だっかなぁ)。その粘り腰がチャンスを生んだのだ。ゴール右(選手から見て)斜め前でDFに競り勝ったダーシが交代で出てきた3つ目にパック支配を託すとゴール右あたりを中心に密集状態を作る。が、これぐらいは春名もセーブする。しかし、いつしかルーズになってこぼれていたパックに飛び込んでいったのが匡史。春名がパックの行方を探している間に、あれよあれよという間にゴール裏を回ると、

 
1:55 クレインズ先制! G14

戻りきっていなかった春名をあざ笑うかのように、ラップアラウンドからゴール左にパックを左手一本で流し込む。バックスのDFとGK間の連携ミスと言ってしまえばそれまでだが、強いチームはそういうミスを逃さない(ハズ)。
しかし、バックスの1つ目が黙っちゃいない。
2分過ぎには早くも自陣に釘ずけにされシュートまで持っていかれる。やはり、B93、B9の動きに翻弄されている。こういうところで、C13、C19を当てたいところなのだが、バックスがホームチームなだけにそれもままならない。
3分過ぎには、B36にブルーラインを突破されDFが置いていかれ、ブルーラインを越えたパックはルーズになって流れている。そこにロブ決死のダイブで難を逃れる。
しかし、再び出番が回ってきたチェッキングラインが4分過ぎにバックス陣内でことごとくボード際で競り勝ち、BOXを組むまでに至る。久々の出場とは思えない「熱い」動きを見せるC19。それに呼応するC13、C27。中村達哉起用はやはり正解だったか?。
その後はバックスが一つ目のときはクレインズ陣内での攻めが続き、2つ目以降ならばクレインズが優位に試合を進める展開が続く。
8分過ぎ、バックス陣内本部席側のボード際での競り合いに勝ったC24からゴール前で一瞬フリーになっていたC96にパスが出たがシュートは春名の正面。
その後、「忘れてもらっちゃこまる」とばかりにクレインズの1つ目がバックス陣内に攻めこみ、パックを支配。シュートまで持っていくが、次が叩けない。
なんとなく膠着してるなぁという感じで12分が過ぎる。すると、いつの間にやらバックスの1つ目がクレインズ陣内でパックをキープしているではないか。B93を中心とした連続攻撃に劣勢に立たされるも、DFから放たれたシュートをゴール前でカットした(というより、パックが当たってしまった)賢吾。賢吾に当たったパックは大きく跳ね返り、右サイドに居た腰越の前にサクッと出た。ここからカウンターで攻め込むクレインズ。2−1隊形となり大チャンス。固唾を飲んで見ていた私。それからどしたの...。

 
12:46 カウンターがバッチリ決まる G96←92←3

やっぱり腰越から正和にパスが出た。春名も当然反応していたが、その前にパックを叩いていた正和の勝ち。
2点リードした気の緩みか、13分過ぎ、アイシングになったパックを取り行ったロブがフェンス際でなぜかコケていた(苦笑)。
しかし、そのコケはやはり悪いことの前兆だった。
14分過ぎ、またもや好調のバックス1つ目に自陣で翻弄されるクレインズ1つ目。どうしても、パックをクリアできず、バックスのプレイヤーを追いかけようやく絡んでいく展開が続いたが、ワンテンポ早くパスが出され、ついにはゴール裏でコフマンへのマークが甘くなったところでゴール前にパスを出される。何故か、そのときDFはゴール脇を固めていなかったのか?。

 
14:45 バックス反撃 G9←93←32

ゴール正面でパスを受けたミワ。くるっと回ってついていたDFを交わしつつ軽くシュートを放つと、ロブ、既に対応できておらず、あっさりゴールを許す。いかんですねぇ、この失点は...。気に入りません。

その後、16分過ぎだったか、春名もゴールクリーズ内でなぜかコケる。そのコケは悪いことの前兆。今度はお返しとばかりに18分過ぎ、クレインズの1つ目がパックを支配。バックス1点目のようにゴール裏からパスを出し、DF、FWがゴール前で密集している後ろでダーシが合わせたが、春名、ブラインドもなんのその、しっかりキャッチ。う〜ん。
19分過ぎにはまたもやバックス1つ目に攻め込まれるも、何故か、ゴール本体をかぶってしまったロブ。罠にかかった鳥みたい(苦笑)。しかし、そんな場合ではない。これまで双方とも無反則だったが、ついにボード際でやらかしてしまう。

 19:46 C34 Crosschecking

残り14秒は事無きを得たが、2ピリに持ち越されるPKに一抹の不安を残しつつ、1ピリ終了。
Shots on Goal:C12、B8。
先制、追加点までは良かったのですが...。11月に見られた「固い守り」がやはりちょっと崩れかかってるように思えてしょうがない...。

(2)第2ピリオド
その不安が的中してしまった。PKも残り数秒というところで、ポイントに位置から放たれたシュート。当然、ロブはセーブするのだが、リバウンドがゴール右に出てしまう。いつもなら、そこにDFが居たはずだが...。

 
1:29 あっさり同点に追いつかれる G32←51

外からのシュートはまあいいとして、リバウンドは処理してあげないと...。この失点も気に入りません。でも、開始早々からバックスにパックを支配されつづけていたので、取られるべくして取られた点なんだろうな。
さて、試合は振り出しに戻りましたが、これで、ようやく「やる気になった」か、クレインズ。
3分過ぎに匡史が自陣から自慢の脚を見せつけ、ゴールに単独で切り込む。フォローも居たがパックを叩けず。
しかし、4分過ぎ、またもや自陣で攻め込まれピンチを迎える。ところが、今度はルーズパックへの飛びつきが早く、またもやニュートラルゾーンに出てしまったルーズパックを史郎が先に拾うと、またもやカウンターで2−1隊形。史郎が充分にDFとGKの注意を引かせたところで、絶妙なパスをパーサイドに出すと、

 
4:40 またもやカウンターが決まり勝ち越し G96←27

この3点目は2点目の腰越のパスよりも正和にとっては優しいパスでしたね。パスが出た時点でチョンと合わせただけでしたから。

 5:42 C32 Roughing/B31 Crosschecking

4on4の方がバックス1つ目にやられそうで心配だったのですが、なんとか2分が過ぎ去ると、バックス陣内で引っ掛けられ倒れるダーシ。

 8:18 B32 Interference

今日、初めて迎えたPPなんですね、これが。私的にはそろそろダーシに一発決めて欲しかったのですが、ダーシを中心としたセットでは点を奪えず。今度は2つ目を中心としたスペシャルセットにチェンジ。パスが面白いようにつながり輪を小さくしていくうちに、何故かゴール左の腰越からゴール前にセンタリングが出され、それがなぜだか通ってくれたのだ。

 
9:22 PP成功 自身初(だと思う)のハットトリック達成 G96←92←10

これまた、出されたセンタリングにブレードを出したら入った、という感じのゴール。今日の正和は3点が3点とも「おいしい」ゴールばかり。しかし、そこにちゃんとポジショニングしているのもFWの仕事。ナイスゴールでした。それにしても、クレインズの今季初のハットトリック達成者が正和になるとは、(本人には失礼だが)意外でしたね。でも、良かった良かった。

 10:07 B7 Elbowing

ここでもう一点取っておきたいのだが、このPPは決まらない。しかし、パックは支配しており、ゴールに向ってパックを集めていたようには見えたのだが...。
その後、16分過ぎまで一進一退の攻防。というよりかは、「バックス1つ目の攻撃をしのぐクレインズ」VS「チェッキングラインと言いながらも、バックス陣内でパックをつなぎチャンスを作るC19とC13」という図式か。
しかし、17分過ぎ、14−21−10がバックス陣内で暴れまわる。実に1分近くにも及ぶ攻めを繰り返し、バックス守備陣をヘトヘトにさせる。しかし、この3人も動きすぎてヘトヘトになり、ゴール前にセンタリングを軽く合わせるのが精一杯でガス欠。匡史と山野の粘っこい動きと佐曽谷のキラーパスが何度も組み合わさる瞬間が見れたが、ゴールには至らず。佐曽谷自身にゴールが決まれば、憑き物が取れて、このセットは大ブレイクすると思うのだが。 
結局、2ピリはこれで終了。しかし、シュート数を聞いて驚いた。
Shots on Goal:C4、B7。
もっとシュート打っていたように思ったんだけどなぁ。4本で2点。最近のクレインズにしては珍しい。

(3)第3ピリオド
 おそらく、このまま4−2で終わるんじゃないかなぁ、と心の隅で感じていたのですが、あとはクレインズがバックスの攻めに屈しないで高い位置でプレスをかけられるかがポイントだったのだが...。
 立ち上がり、4分過ぎ、7分過ぎとバックスの1つ目相手にはどーしても劣勢に回ってしまう。執拗にゴール前にパックを集められ、そのたんびにヒヤリとさせられる場面が1度や2度ではなかったくらい見せつけられ、何度も追い詰められたがアイシングで逃げるという展開が続く。
かと言って、クレインズもただ守り一辺倒だったわけでもない。
3分過ぎ、またもや2点目と同じ形で2−1隊形になるも、今度は双方のポジションが充分ではなく、腰越から出されたパスに合わせるだけで精一杯だった正和。キミのリミッターは1日3点までかい?。
5分過ぎには、またもやC13が敵陣でパスカットし、飛び込んでくるC19にセンタリングを出すも合わず。その流れたパックを外からC2が拾いブルーライン上から強烈なシュ−トをゴールやや左に放つも春名には通じなかった。
7分ちょい前あたりには、ゴール左からの佐曽谷からのパスをゴ−ル左脇で受けた山野がゴール前を横切るようにパックをキープし春名を巻いたかに見えたが、春名の左足にシュートを阻まれる。

 今日、一番危なかったのはこのプレーがきっかけだった。それまで、いい動きと存在感をアピールしていた中村が、何を思ったかニュートラルゾーンでふわりと浮いたパックをつかんで投げるというくだらないプレーをやらかしてくれた。

 11:57 C19 Pack Holding

これまで再三ピンチを迎えていたものの、3ピリに失点を許さなかったのはロブのおかげである。しかし、この時間帯で与えたPP。バックスとしては、棚ボタのようなPP。当然、バックスは1つ目を中心としたスペシャルセットを出し、点差を詰め最後まで望みをつなぐべくパックをクレインズ陣内で支配。そして、ついにクレインズの守備隊形が崩れてしまった。なんとDFの最終ラインとロブとの間に完璧なギャップが出来てしまった。その時、パックはゴール右脇(ロブから見て)でバックスがキープしていた。そして、ゴール左脇にはB41がノーマークで待っている。予想とおり、B41にパスが出され、それをゴールに叩き込んだ。「ついに、やられてしまったか」と覚悟を決めた瞬間だった。しかし、点灯するはずのゴールランプがつかないのだ。シュートを打ったB41は手を上げている。そして、ゴールクリーズ内であお向けに寝ているロブ。しかし、パックがゴールの中に見当たらないのだ。そう、B41が叩いたパックは間一髪ロブが背中で押さえつけフリーズしていたのだった。B41が流し込んだパックはゴール左奥(B41から見て)に行くはずだったのだが、これは、そのままゴール右スミに押し込むべきであり、左奥に言った分だけ、パックがゴールラインを越えるまでに要するコンマ何秒かの時間をロブに与えてしまったにちがいない。でなければ、あれは誰が見ても「完全に決まった」と思った態勢になっていたからだ。シュートが甘かったと言えばそれまでだが、ゴール脇を固めているはずのDFはどこに行ってたの?。崩壊寸前の守備陣をロブの大きな背中が救った一瞬でした。
この絶好のチャンスを逃してからバックスの攻めに迫力が失せ、クレインズもカウンター以外は無理に攻め込まない展開が続き、時間はいつしか19分で止まる。

 19:01 B Time Out

即、そのまま6人攻撃に移行。しかし、クレインズもバックスにパックを与えないどころか、再三のクリアを見せシュートすら打たせない。エンプティネットのチャンスもあったが、勝てばそれでいい。結局、6人攻撃中、1本のシュートも打たせず試合終了。
Shots on Goal:C8、B8。
スカイA 3STARS:1st:C96、2nd:C92、3rd:B32
結果的には中村の起用が辻の動きを更に生かし、バックスに傾きかける流れを引き寄せる働きをしていたことは事実。同様に、14−21−10はゴールを狙う姿勢が前面に出ていることで、バックスを守勢一辺倒にする効果はあった。そして、肝心なクレインズの1つ目で点を取って試合を決めたかったところだが、まだ1つ目の3人の動きが今ひとつ(悪くはないのだが)。バックスとしては、クレインズの1つ目にバックスの2つ目を当て、バックスの1つ目で勝負に出たが、そこで、よもやのカウンターを2本取られたのが誤算だったはずだ。でも、クレインズの1つ目。特にダーシにゴールが生まれない限り、厳しい戦いが続くと見た。まだ脚の具合は良くないのだろうか。試合に出たり出なかったりしているうちに、雅俊と竹内との呼吸が合わなくなっているような気がしてならない。明日に期待したい。