第36回日本アイスホッケーリーグ
日本製紙クレインズVS王子製紙 4回戦(釧路アイスアリーナ) 観戦記

(0)プレリュード
 何故、今季、クレインズは王子に勝てないのか?。その疑問が昨日の試合で垣間見たような気がします。昨日のままのクレインズなら、きっと今日も勝てない。何かを変えなければクレインズは絶対に王子に勝つことはできないだろう。それぐらいの力の差を点差以上に感じた前日だっただけに、もうそんなことはとっくにわかっているであろうクレインズの「変貌」に期待するしか無かった。私自身も開幕戦での逆転負けを観て以来、28日のコクド戦まで目前6連勝(自身初)だっただけに、昨日の敗戦は痛かった。ゲンを担いで履いていた「クレインズブルーのシルクのパンツ」も今日は脱ぎ捨て、6連勝中、すっとコンタクトレンズで試合を観戦していたが、それも眼鏡に変えてみる。この程度でクレインズが勝ってくれるとはこれっぽっちも思っちゃいなかったが...。本日の私の席も昨日同様、クレインズサイドのゴール裏の最後列に陣取りました。
【クレインズ】
33−31
18−20−32−22−7
96−92−24−3−34
14−27−10−2−23
13−39−21
昨日と同様の布陣です。今日も平岩以外全員出場でした。
【王子製紙】
66−42
17−12−3−27−28
31−24−25−6−29
11−13−32−37−8
21−9−18
山中→菅原、板橋→川平と2人のチェンジがありました。

【レフェリー】近村正輝

(1)第1ピリオド
 双方とも1つ目がスターターで試合が開始。
昨日と同じ轍は踏まぬとクレインズが序盤から優位に試合を進める。昨日、DFからのスムースな球出しを許し、ニュートラルゾーンで自在にパスを通される、という場面を王子に作らせず、王子ゴールにパックを集めるが、O66、すっかりクレインズに対して自信を持ったのか、安定した守りでクレインズの攻撃をことごとく交わす。
3分過ぎ、守備から攻撃へのトランジッションが見事にはまり、ディックのタテパスが賢吾に渡り、オープンサイドの竹内に渡りゴール右45度からシュートを放つも正面。その後もゴール裏からゴール前へのセンタリングにダーシが飛び込むもこれまた066に阻まれる。しかし、その後、カウンターを喰らい03にゴール前まであれよあれよと持ち込まれる。このスピードは昨日と同様脅威。ゴール前でピンチを招くも守護神ロブ様は今日も落ち着いている。「今日は昨日とは本当に違うのか」、それを早くも証明してもらうチャンスがめぐってくる。

 4:56 O66 Deley of the Game(#11代行)

王子陣内に流れたルーズパックを処理した岩田だったが、そのパックが本部席近辺に飛び込む。
「今日は違うよな、今日こそは」と最初のPPを見守る。確かに、昨日よりもパック離れが良く、シュートも何本か放つものの、リバウンドを叩けない。ゴール前への突っ込みも王子の固いDFに阻まれ、有利な態勢を作れない。しかし、王子陣内でのPPが継続されるが、やはりポイントに位置からDFが放つシュートをゴール前でブラインドを作り、しかもその混戦の中で角度を変えるパターンが今のところは有効なのか。結局、最初のPPは結果的に生かせなかった。しかし、そのPPが終わり王子がパックをクリアしそこね、クレインズが正面からシュート。そのリブンドをゴール左から叩こうとしたところを、思いっきり倒される。

 7:07 O29 Crosschecking

連続のPPだが、前回のPP同様に敵陣でパックを支配し続け、外からシュート&リバウンドを狙うも叩けず。ゴール裏から昨日精彩の無かったダーシがラップアラウンドを見せるも実らず。しかし、その途中で何故か笛が鳴る。

 8:35 C Too many playersn on the Ice(#21代行)

今日最初のPKが9分過ぎから1分半ほどあったが、早い潰しで王子の攻めを封じる。一度、正面から切り込まれ一発シュートを打たれるも、ロブを中心としたDF陣が必死のセーブを見せ、昨日同様、点を与えない(クレインズもなかなか点が取れないが)。
その後、王子の攻めを凌いだクレインズが自陣からのトランジッションで王子陣内へ向って上がっていくところで、パックキャリアーの後方をフォローしていた竹内の態勢が若干崩れる。

 11:51 O32 Hocking

しかし、この3回目のPPでは、王子ブルーライン上で王子がクリアしたパックを外に出すまいと粘っていた賢吾が抜かれてしまい、017に逆襲を喰らう。逆サイドに居たクレインズDF(小林か、岸部か?)がノーマークにさせじと、必死にゴール戻る。これでロブを交わしすスペースをDFが消したが、結局、ゴール左45度からフリーで強烈なシュート浴びるロブ。その弾みで出してはいけないリバウンドが逆サイドゴール前に出てしまい、ロブは横転。逆サイドに入ってきたO12にリバウンドを叩かれ「やられた」と思いきや、DFの戻りが辛うじて間に合い、充分な態勢でシュートを打たせず、SHゴールを免れた。このプレーが元で、このPPは良いところなしに終わる。
昨日、今日と何度かクレインズのPPを観ているのだが、ゴール真横左(または右)でFWが待って、そこにポイントの位置からパスをもらって、即座にゴール横からGFのマタ或いは脇、肩口を狙おうとするプレーが目立つ。しかし、これが王子に全部封じられてしまっている気がするのだ。そこで、ここからの2次攻撃が出来ず、苦しんでいるように思える。セットしないで、リンクを大きく使い、相手DFがFWがゴール前に戻ってこれない間にシュートを打ってしまった方が、リバウンドも叩きやすいのでは、と思う。この2日間のPPを観ていると、敵陣でのセットに拘るあまり、パックをゴールに叩き込むという「本筋」を忘れてしまい、パスを回し敵陣に居つづけることが重要だと思ってはいないか?。それでなくても、岩田はもちろん、王子全体がクレインズの攻撃パターンに対応できている証拠のように思える。
このPPが終了した14分過ぎあたりから、クレインズの良い攻めのリズムが無くなり、王子優位に試合が傾きつつある。クレインズは自陣でも「守らされる」姿が増えてきた。
15分近くには3−2隊形で攻め込まれ、ゴール左から中そして右サイドまで綺麗にパスが通り、最後はシュートを打たれる。しかし、ロブもそうはさせじとラストシュートを横転してセーブ。そして、王子に流れが傾きつつある中で、

 17:33 C14 Charging

後で、匡史のお父様に話を聞いたのですが「自分の息子だからいう訳じゃないけど、あの反則はおかしいよな」と思いました。ニュートラルゾーンでの競り合いの中で激突があっただけなんですから。
しかし、今日2度目PKを迎えてしまうことは事実。それでも、自陣間際で賢吾がカットしたパックを史郎につなげ、果敢に攻め込むもシュートは岩田に抑えられる。キルプレーだから二の矢、三の矢と打てなかったのが残念だったものの、王子陣内でのファイスオフでペナルティタイムも残り20秒とちょっと。しかし、そのフェイスオフを奪われると、あれよあれよという間にベンチサイド側を川平が抜け、ゴール左脇まで攻め込んできた。DFのマークがやや遅れたため、2−1隊形になってしまっていたため、センタリングされる前に先にアタックをかけたロブだったが...、

 
19:25 痛い失点 G27←21←28

ロブのアタックが決まる前に、逆サイドにパスが出されてしまった。あとはオープンネットにパックを流し込まれるのを黙って観ているしかできなかったのが悔しい。しかも、ピリオド終了間際での失点...。今日こそ先制してほしかったが、PPのチャンスを潰されてしまっては...。また、このプレーも果たしてロブがアタックする必要があったのか?。逆サイドを走っていた027に対してはDFが間に合ったかも知れなかった。これが、今のこの2チームの状態を象徴しているのか?。ロブの判断も悪くはないのだ。DFが間に合わないという判断で飛び出したのだから。逆に言えば、そうなる前にロブ以外の5人の選手でこの失点を防げることが出来なかったか?。大いなる疑問を抱きつつ、1ピリ終了。
Shots on Goal:C15、O9。
パックをゴールに向けるという「強い意志」は1ピリに関してはクレインズが王子を凌駕してました。それは事実です。しかし、点には結びつかない...。しかも、1ピリ終盤には「昨日の再来」を予感させる動きになりかけており2ピリが心配で仕方の無かったインターバルを過ごしました。

(2)第2ピリオド
 その予感は的中しました。昨日の1ピリ同様に王子の球出しが早くなり、ニュートラルゾーンで優位に試合を運ぶと、クレインズ陣内での攻めが続きます。しかも、間の悪いことに、

 5:15 C92 Crosschecking

ニュートラルゾーンの本部席側ボード付近で、「果たしてその反則は必要だったのか?」と思わせる反則をしちゃってくれた。だって、他の選手はみんな王子陣内に向って上がっていたのに...。
案の定、こういうチーム状態での意味のない反則はその報いがやってくる。

 
5:45 追加点をまたもやPPで奪われる G17←27←12

見事にパスを回されると、さほど強烈とは思えないシュートが何故かロブに左を抜けてしまう。前にいたジョーの体にでも当たったのか?。
この2点目がきかっけになってしまいました。あとは、残念ながら昨日のクレインズが戻ってきてしまいました。

 6:19 032 Interference

決まりません。
10分以降、今度は王子がクレインズ陣内でDFのマークをあっさり交わし、フリーでゴール前まで切り込まれピンチを迎えるシーンが何度も見られる。いい加減、目を覚ませ!。

 13:08 C7 High sticking

久々に王子陣内で攻撃を継続できるかと思った矢先に水を差す反則。今日も勝手に自滅していくパターンに嵌っていきそうでした。しかし、ここで根性を見せたのが、39−13−2−23のキルプレー。高い位置で積極的にプレスをかけ、1分ほど王子に攻めをさせなかった。残り1分はクレインズ陣内でボックスを組まれたが、これも辻の動きが光り、シュート1本に抑える。光明が無いわけでもないのだ。

 19:18 06 High sticking

これは、王子陣内で攻め込んでいた竹内がパックを奪われ、その報復とばかりに、パックを奪っていった川島にボーディング気味に当たっていった時点でレフェリーの手が上がったので、「またかよ〜」と嘆いていたら、何故か、川島のハイスティックを取ったレフェリー。このレフェリーの裁定基準は昨日も今日も無茶苦茶でしたね。
で、棚ボタでもらったPPでしたが、42秒間を無駄に過ごしてしまうという体たらく。昨日の再来に、私も含めた周囲の人間達からは、情けなくて罵声すら出ません。
Shots on Goal:C5、O5。

(3)第3ピリオド
 (昨日の観戦記の引用)でもねぇ、そんなクレインズでも勝って欲しいから応援するんですよ。皆は。期待しているんですよ。その期待を裏切って欲しくないんですよ。せっかく集まってきてくれた地元の人に情けない試合だけは見せて欲しくはないんですよ。だから、応援するんです、私は(以上、昨日の観戦記からの引用でした)。
 でも、3ピリ開始早々1分以上残っていたPPもモノに出来ず...。
逆に、ペナルティ明けに反転速攻をくらい、またもや正面に切り込まれシュートを浴びる。
その後、またもや自陣で自らの手でピンチを迎える。

 1:53 C34 Checking from Behind(minor&missconduct)(#21代行)

「ナイスチェック」と思ったのですが...。またもやPK。しかし、さすがのクレインズももうPKでは失点できないだけに必死に守りきる。
しかし、相変わらず王子のFWがスルスルとDFのマークを交わし、ゴール前に切り込まれるシーンが目の前で繰り広げられ、ロブの攻守に何度も助けられる。相変わらず、王子のクレインズ陣内でのスピードは衰えがない。
クレインズも7分過ぎに一つ目が王子陣内でパックを支配し、パックをつなぎ続ける。繰り返しになるが、パックを敵陣でつなごう、つなごうとするあまり、「本筋」を忘れているような気がしてならなかった。あくまでも、パックは「ゴール」に向って行くべきものでしょうに。しかし、チャンスは巡ってくるのだ。

 8:14 O21 Tripping

しかし、これも決まらない。特に一つ目は上記の通り、敵陣でパックをつなぐのが精一杯。もっと動いて、王子の守備隊形を崩さなければ、シュートコースもできないし、岩田にだって簡単に正対されてしまうことなんぞ、昨日から解っているはず。逆に2つ目は外に振り、DFからのシュートリバウンドを狙ったり(事実リバウンドは出るのだが、足元に出てきて叩けない。もはや運もないか)、ゴール裏からのセンタリングにウィングが飛び込んだり、そのリバウンドをDFがオーバーラップして奪い、また外からシュート、とゴールに向ってパックを集めているのだが、あと一打がどうしても決まらない。イライラはつのるばかり。

試合は「完封負け」の様相を完全に呈してきた。試合時間は残り2分。自陣からのフェイスオフ。どーする、このまま無残に完封負けを喫するのか?。
しかし、自陣でのフェイスオフを取ると、早い球出しでニュートラルゾーンまで前進。その時点でロブが上がる。残り2分弱で6人攻撃に出る。するとどうだろう。それまで、ことごとく競り合いに負けていたクレインズが息を吹き返したではないか。パスミスや、シュートが弾かれて王子に渡っても、厳しいボディチェックでパックを奪い、王子陣内での攻めを継続すると、ゴール右からゴール前に出されたパスにクレインズFWがここぞとばかり集まってくる。もちろん、王子DFも黙っちゃ居ない。しかし、そんな中、一旦パックがゴール前の混戦を避けるかのように、ゴール右前に出た。

 18:27 6人攻撃成功 ようやく1点をもぎとる G7←32

ようやく丹頂アリーナが試合開始1時間50分を経て盛り上がった。
その後も19分過ぎに敵陣でフェイスオフを取ると、

 19:09 クレインズ タイムアウト

で、そのままロブを上げ、またもや6人攻撃。この後、30数秒間は、またもや王子陣内でパックを支配し続け、ゴールに向ってシュートを放つも、王子も必死のディフェンスを見せアイシングで逃げる。しかし、時間は残り14秒。王子陣内でのフェイスオフは腰越が挑む。「取ってくれ」と祈る。綺麗に出なかったが、クレインズに出た。しかし、シュートを放てずニュートラルゾーンにパックは無情にも出てしまう。そして、試合終了。
Shots on Goal:C12、O9。

スカイA 3STARS 1st:O66、2nd:O27、3rd:C7。

今日は昨日の試合よりは幾分マシでしたが、1ピリと残り2分の6人攻撃だけですね、「意気込みい」を感じたのは。昨日、今日と王子にことごとくパックを支配されていたのに、何故、6人攻撃になると、王子以上の動きができるのか?。それができるのなら、なぜ、通常の状態でそれを見せないのか?。何故、何度もあったPPチャンスにその「パックを取られると後が無いんだ」という気持ちで取り組んでくれなかったのか?。あの2分間の動きは素晴らしかったですよ。泥臭くて。格好つけてる場合じゃないでしょう。相手よりも運動量が多ければ、パックは全部自分のものになっていたじゃないですか?。

せっかく1300人も観客が集まってきているんです。いい加減に目を覚ましてください。また観客は離れていきますよ。
 怒りを通り越してやるせなさと疲れだけが残った釧路遠征でした。