第36回日本アイスホッケーリーグ
日本製紙クレインズVS西武鉄道 6回戦(名古屋レインボーアイスアリーナ) 観戦記

(0)プレリュード
 今年で5回目となる名古屋遠征。私の観戦成績は○●○●。順番で行けば今年は○のはず(勿論、明後日も○。何故なら年単位で勝敗が交互だから)。2日前の徳島出張の疲れが残ったままの上、しかも、「ぷらっとこだま」で3時間かけて名古屋にやってきたので、余計に体が重い。しかし、リンクに行けば話は別。カミさんが見事に「ブチ当てた」スカイA提供のクレインズクリスマスジャージを早速身に付け臨戦態勢に入る。客入りが悪い中、久々に見るクレインズのユニフォームを着た戦士達がリンクに入ってきた。館内に鳴り響く私が叩くメガホンの音。そして、東京組みの太鼓の音。毎年のことだが、名古屋では自分の存在が目立ってしまう(苦笑)。

【クレインズ】
33−41
18−20−32−22−77
10−92−24−3−34
14−27−96−2−23
13−39−19
ディックが欠場(奥さんが出産のためだそうだ)。代わりに勇が小林とのペアリングで1つ目のシフトで起用。守備は良いとして、ディックの欠場はゴールを奪うという点に関してはややマイナスか。2つ目と3つ目にも一部変化が見られる。
【西武鉄道】
39−30
22−77−13−28−33
19−40−14−7−2
12−47−18−3
78−16−17−10

【レフェリー】本日初登場の外国人レフェリー ローエン
まさか、去年のホッカネンのようなことにはならんよなぁ(その心配はまんざら外れではなかった)
【ラインズマン】高橋、根本

(1)第1ピリオド
スターターは西武の1つ目に対し、クレインズは2つ目で応戦。今日はクレインズのホームゲーム。おそらく、このまま「西武1つ目VSクレインズ2つ目」で行くだろう。
しかし、そんなことを考える余裕も無く、ローエンレフェリーが挨拶代わりの反則を取っちゃったりする。

 0:25 C92 Interference

ニュートラルゾーンでS77の進路をケツを出して妨害。転びはしなかったが、取らても文句は言えないし、別に取らなくても?、という微妙なプレー。
しかし、西武の拙攻にも助けられ、シュート1本のみに押さえ、ことごとくパックをクリアすると最初のPKを凌ぐ。しかし、今度は自陣でハンドリングミスをした竹内。こぼれたパックをS78に奪われたところをやってしまう。

 3:02 C32 Holding

さすがにPKの連続では試合の主導権を握るどころか防戦一方でペースを掴めないところ。しかし、ここでも西武のPPがパッとしない。明らかにスピード不足でクレインズの網にかかってくれる。
そうなると、流れはクレインズに傾くことになっている。

 6:13 S2 Cross Checking

しかし、クレインズのPPももたつくばかりでスコアリングチャンスが作れない。一旦、出されたパックをニュートラルゾーンでパスを受けた匡史が中央突破。左サイドにパスをしてゴール前に切り込んでリターンパスを受けるつもりが...。

 7:40 C14 Highsticking

その後のチェックを交わそうとしてスティックを上げたところを取られたようだ。う〜ん、これはちょっと?。
ここまでほとんどPKをやっているクレインズ。ここも西武の拙攻に助けられるかと思いきや、自陣で誰の目からも反則とわかってしまうプレーが出てしまう。

 9:00 C3 Cross Checking

自陣でパックキャリアをぴったりマークしているのに、スティックを出すことは無かったと思う。これで40秒間3人対5人の大ピンチを招いてしまった。いくら拙攻を繰り返している西武でも、さすがにツーメンアドバンテージは、と腹を決めて観ていたが、やはり西武のパス回しが遅くフリーでシュートを放たれてもロブの目にはパックが見えている状態で大ピンチを凌ぐ。結局、1ピリの半分をPKという不利な状況下で戦っていたため、攻めることができなかったクレインズはここまでシュートゼロ。11分過ぎに大澤が遠めから2本のシュートをS39に浴びせるが、単にパックをゴーリーに当てただけという感じ。そろそろクレインズにも流れが来るだろうと思いきや、

 14:17 C3 Holding

2−2隊形で決して不利な状況下では無かったのだが、自陣に入り込まれてしまい交わされそうになるところを押さえてしまう。これで4度目のPK。しかし、ここも西武の拙攻に助けられる。クレインズ陣内には入るのだが、昨年見せた個々人のスピードを生かした動き&パスが見られない。見せ場といえば、PP終了直前にラップアラウンドからゴール左に回りこむS18。それに備えてスティックを横にして態勢を低くして構えていたロブ。パックを上げられていたら...。ドキッとするシーンだった。
すると、今度は4つ目中村達哉が「俺の仕事」とばかりに敵陣で反則を取ってくる。

 17:18 S2 Holding

クレインズ2度目のPP。ゴール左後方から一瞬のスキを突き、ゴール正面まで切り込んでいったところを倒される。

 17:42 S28 Hocking

今度はクレインズにツーメンアドバンテージが1分以上転がり込んで来た。ところが、PKばかりで攻めのリズムを掴めなかったクレインズ。西武と似たような攻めでゴールを奪えず。パスを回し相手の守備陣系を崩し決定的な場面を作ってシュートしたいという「理想」は理解できるが、パックを大事にしすぎている感があり、パス回しが遅く思い通りの攻めができないまま絶好のチャンスを逃す。しかし、スコアリングチャンスはシュート&リバウンドに詰めていったが先にS39に飛び込まれフリーズされてしまった場面くらいか。
結局、反則反則の連発で双方ともイレギュラーな時間が続く中、お互いにチャンスを潰し合う展開のまま1ピリ終了。しかし、拙攻拙攻の連続。久々の試合でありながら、なんとなくお互いに「闘志」が感じられない「事流れ的な試合」。クレインズの試合でなかったら私はとっくに帰っていたでしょう(苦笑)。しかし、4度のPKを守りきったことで2ピリ以降の「変わり身」に期待、というところでしょうか。
Shots on Goal:C7、S12(というか、1ピリのシュート数の場内放送が無かったぞ!)。

(2)第2ピリオド
予想通り、「変わり身」を見せたクレインズが立ち上がりに良い形を見せ始める。
1分半過ぎ、ポイントの位置から竹内がシュート。リバウンドがゴール左にこぼれる。それを叩くダーシ。しかし、体を寄せていたS39のブレードにパックが阻まれ、オーバーフェンス。
2分過ぎ、タテパス一本で匡史がブルーラインを突破するとそのまま突進しシュートまで持っていこうとするがデカイ西武DFに潰され倒されゴールクリーズに転がる。
逆にクレインズもブルーライン付近でDFがやってはいけないクリアミス。そこをS14に突かれフリーでシュート。しかし、パックはロブの左脇に吸い込まれる。これはロブ様お得意のプレーか。しかし、その直後、ダーシと雅俊が攻め込むと、ダーシから雅俊にパスが渡った直後、ダーシがゴール前への侵入しようとしたところを邪魔される。

 2:49 S40 Interference

攻めのリズムが戻ってきつつあるクレインズにとっておあつらえ向きのPPをもらう。PP前半は西武の体を張ったDFに思うようにパスをつなげず苦労するも、自陣からの早いリスタートで敵陣に入り込むとセットせずにパスワークで西武守備陣を翻弄する。ダーシがパックキャリアで入り込むと、雅俊が呼応。西武DFの裏に回り、ダーシからのパスを受けるとシュートせずに逆サイドにパス。完全にオープンネットになったところに飛び込んできたのは賢吾。「やったー」と叫んだ私が恥ずかしい。なんと、賢吾がシュートミス。本日初とも言えるクレインズの決定的なチャンスだったのだが...。
このワンチャンスを逃したことが、まさかの結果を招くことになる。
4つ目同志でクレインズ陣内での攻防。しかし、ゴール左手前で双方のプレイヤーがもつれ合っている中で、何故に灯るは赤ランプ。

 
6:07 西武に先制を許す G16←78

もつれ合っている中にパスが出され角度が変わった上に、スピードまで殺されタイミングを外されたロブ。パックは無情にもロブから見て右ポストぎりぎりのところに収まっているではないか。これだけPPの攻め合いを双方共に失敗した中で、両チーム通じて初のゴールがヒョロヒョロっとなし崩し的に決まってしまうとはあまりに惨い。
その後、試合は膠着状態となる。クレインズにチャンスが無い訳ではないが、敵陣に入ってからの攻めが淡白。ブルーラインを割ってもフォローを気にしてパスに拘る中でチャンスを潰す。しかし、西武にもチャンスがあるかと言えば、そうも見えないのだが、またもや試合は動き出しつつあった。

 11:15 C3 Hocking

ブルーラインの中央から突破を図ったS77が賢吾の出したスティックで倒れるが、どうもダイビングっぽいように見えたのは私だけか(しっかり「ダイビング」と叫んでいた私)。
しかし、今日の西武のPPはかみ合ってない。敵陣で攻め込んでおきながら、大澤にパックを奪われるとスティックで押さえられる。

 12:06 S18 Holding

1分近くのPPがクレインズに転がり込むも、これは攻め手を作れず仕舞い。しかし、フルストレングスになった直後、自陣からの球出しをしようとした賢吾が、ニュートラルゾーンのスペースを突いて加速をつけ上がっていき、あっさり敵陣に入ると、ゴール左まで入り込みDFを引きつけ、フォローしてきた竹内にバックパス。しかし、ゴール正面から放った竹内のシュートはS39の正面。
西武が1点リードしているはずなのに、そんな感じがしないのは何故だろうか?。それはクレインズのペースになってきたからなのか?。

 14:37 S13 Hocking

 15:08 S77 Elbowing

立て続けに「微細」な反則を取って頂き、クレインズに本日2度目のツーメンアドバンテージのチャンスが訪れる。しかし、どうも5−3は得意では無いのか、相変わらず敵陣でパスを回し続けるばっかりでシュートがでない。ゴール脇から逆サイドへのキラーパスもパス回しが遅いため、DFのスティックに邪魔されフリップパスにならざるを得ない。強引にシュートを放つも難なくクリアされパックはゴール裏に流れる。それを先に西武プレイヤーに処理され、また攻め直しか、と天を仰ぎかけた一瞬。ベンチサイドのフェイスオフスポット仮想線とブルーラインが交差したあたりでパックが出て行ってしまうと思いきや、そこに飛び込んできたのは賢吾。勿論、セーフ。そのままフリーでパックをキープ。プレイヤーがゴール右サイドに固まってしまい、賢吾とS39が1対1。すぐさま振りかぶったスティックから放たれたパックは...。

 
16:08 ようやく決まったパワープレーで同点に追いつく G3

綺麗にゴールネットを揺らした。これで変わる。これでクレインズに流れが来る。贔屓目かも知れないが、ようやく決まったPPが、それまで「反則」という「邪魔者」のためにリズムに乗れなかった「呪縛」が解き放たれるはずだ。
それが証拠に19分過ぎからのクレインズ1つ目のしつこいほどの波状攻撃がそれを物語っている。ゴールには結びつかなかったが、この流れはきっと3ピリにつながるはずだ。

2ピリはこれにて終了。
Shots on Goal:C14、S11。

(3)第3ピリオド
相手の1つ目に2つ目を当て、その後に1つ目を出すシフトがようやく実を結ぶ。「ここにたどりつくまで本当に長かったね」という感じで遂に1つ目が「爆発」した。
竹内からのパスをブルーライン越えで(勿論、オフサイドではないよ)受けたダーシ。ゴール左(S39から見て)からゴールを狙うがDFが行く手を阻む。しかし、そのDFを交わしゴールに突進。しかし、転倒。ところが、倒れながらも叩いたパックが...、

 
1:16 ダーシ執念の逆転ゴール G20←32←3

S39のマタを抜きゴールが決まった。その瞬間、アレン・コンロイが昨年の白鳥での王子戦で見せたゴールが私の頭の中に蘇ってきたのだ。これは行ける。確かな手ごたえを感じた逆転ゴールだが、その興奮が覚めやらぬうちにフェイスオフのパックを竹内が受けると、本部席サイドのブルーラインぬ向けて既に走りこんでいた雅俊につながる。逆転されて気落ちしたのか西武のDFが1人になっている。ゴール前で逆サイドのダーシにパスが渡ると...、

 
1:31 秒殺炸裂!連続弾 G20←18←32

S39は完全に振られておりオープンネット状態。
ついに「呪縛」は解かれたのだ。これ以降、西武の攻めは完全に勢いを失い、クレインズの攻勢ばかりが目に付く。

 4:28 S12 Holding

またもやセットせずに自陣から賢吾が単独で持ち込み、ゴール左からシュートを放つと、ネットが揺れ、赤ランプが点灯する。不覚にも喜んでしまった私だが、実はサイドネット。ゴールジャッジも思わず勢いで誤点灯させるほどだ。結局、このPPは決まらなかったが、クレインズは無理に攻めずに早め早めに西武のチャンスの芽を潰し、西武にアイスホッケーをさせない。逆に、ダーシにハットトリックのチャンスが訪れる。9分過ぎ、ポイントの位置に居た賢吾からゴール右に居たダーシにパスが渡る。西武DFをブラインドにしてのバックハンドシュートをゴール左に狙うもS39にしっかり反応されてしまった。惜しい。フォアハンドなら得意のアングルだったのに...。しかし、次のシフトで1つ目が連続攻撃を仕掛けている最中で、竹内からのラストパスがゴール左に居たダーシに渡りすぐさまシュート。セーブされるも直後にダーシがうつ伏せになって倒れる。完全にハイスティックだ。顔にスティックが入ったことは明白だ。

 10:52 S13 Highsticking(ダブル)

「血」が出ていたのにメジャーじゃないんですねぇ。解せません。ま、でも、西武は15分近くまで1人少ない状態になることははっきりしている。クレインズに勝ちが見えきた反則だった。何度もスコアリングをチャンスがあったが、ダメ押しできなかったのは残念だ。特に、正和に2度もスコアリングチャンスがあったのに決められなかった。まだまだ「調教不足」なのでしょうか?。この間にダーシのケガによる出血がユニフォームに付着したようで、背番号が51に変わった。「岸部だ!」と喜んでいたのは言うまでも無い。
結局、このまま時間だけが過ぎ去り、18分を迎える。

 18:20 西武 タイムアウト

そのままクレインズ陣内でのフェイスオフのため、六人攻撃を敢行。あっさりフェイスオフを奪われると、ポイントの位置に居たS77にパックが戻される。

 
18:34 六人攻撃が決まってしまう G77←47

ゴール前でブラインドを作られ左肩口をあっさり抜かれてしまう。全日本のコクドとの準決勝で見せられた決勝点みたいな感じだった。
いや〜な予感がよぎる。まだ1分半もある。昨年の釧路でのコクド戦の記憶が...。しかし、そんな私の「弱気」な思いはあっさりと解消された。一旦は西武に取られたフェイスオフ。クレインズ陣内にパックが放り込まれた時点で再び西武が六人攻撃に出る。ゴール裏で競り負ける場面があったが、必死に攻めを凌ぎ、竹内がパックをニュートラルゾーンに取り合えず出す。そこにダーシが飛び込み、更にパックを前に出すと、そこに追いついたのは雅俊。いつしか逆サイドにもクレインズのプレイヤーが居るという2−1隊形のしかもオープンネット。

 
19:04 これで決まり エンプティネット G18←20←32

それでも、西武は六人攻撃を掛けてくる。

 19:54 C92 Tripping

しかし、6秒では2点差をどうこうできる時間では無いことは誰しもが判る。結局、このまま試合終了。4−2で見事に勝利!。
Shots on Goal:C11、S8。
私的には3−1で試合が終わって欲しかったのだが...。「良し」としておきましょう。首位西武との直接対決に勝ったのですから。これで4点差(2ゲーム差)に迫りました。

スカイAスリースターは、1st:C20、2nd:C3、3rd:C33


1ピリの反則連発で4度のPKを耐え、アンラッキーな先制点を許すも、苦しいところを我慢し同点に追いつき、3ピリ勝負で勝つ。しかも取るべき選手がゴールを決めて。守るべき選手がきっちり仕事をする。終わってみればクレインズの完勝という感じですね。西武は最後まで試合感が戻らないままだった気がしましたねぇ。それにしても、ジョーの欠場を見事に埋めた(という言い方はしたくないのだが)勇ですが、大きなミスもなく安定した守りを見せてくれました。
 あとは、新外国人レフェリー ローエン氏が時差ボケかどうかは知らないが、至る所で選手と接触するは、パックにはぶつかるは...。大事な首位攻防戦なんですから、しっかりとレフェリングして欲しいところですね。
 また、年に何度も開催しないから仕方ないとはいえ、ボードにギャップが多すぎて、パックがイレギュラーに跳ね返ってくるなど、リンク状態ももう少し改善して欲しかったです。もう何年も日本リーグをやっているのだから...。