第36回日本アイスホッケーリーグ
西武鉄道VS日本製紙クレインズ 1回戦(東伏見アイスアリーナ) 観戦記

(0)プレリュード
 諸般の事情により、今季のクレインズの試合を実際に観るのは初めてとなる。プレマッチは王子以外には全勝。日本代表に勝った西武にも勝っている。だが、試合はやってみなけりゃわからない。いずれにせよ、クレインズの試合は安心して観ていられる事は少ないんだから。それが、クレインズのホッケーなのだから。と、言うわけで、第一試合のバックスvsポラリスで観客がかなり入ったのですが、予想通りかなりの観客がお帰りになってしまい、どうなることかと思ったら、第一試合で帰ってしまって空きになった席にそれまで立ち見で観戦していた人が座り始め、試合開始直前には座席は8割方埋まってくれた。第一試合で「ラッキーレッグス」のイベントがあったにも関わらず、2時間15分で終わってくれたため、ほぼ定刻通りの14:00過ぎに無事試合開始。」
【クレインズ】
33−31
32−20−18−7−22
96−92−24−3−34
14−27−10−2−23
19−39−13
ルーキー伊藤雅俊が1つ目でしかもスターター。DFも大澤が勇を蹴落としベンチ入り。選手は平岩以外全員出場。DFのペアリングはどのFWに対しても殆ど変わらず。意外にもFWの組み合わせは、このメンバー通りだった感じ。P.P.時のスペシャルセットでは32−27−20−14−7という組み合わせも飛び出した。
【西武】
39−30
22−77−19−7−33
14−40−78−28−3
13−47−17−51−18
12−16−10
DF5人体制です。それでも77、40、47の数字が並んでいると、さすがに「う〜ん」とい唸らざるを得ない(スターターは22−77−19−28−33)。ゴーリーはおそらくクレインズは過去1勝もしていない菊地が先発(もっとも、菊池と対戦した回数が少ないのだが...)

【レフェリー】山田
【ラインズマン】根本、椎谷


(1)第1ピリオド
開始30秒過ぎ、反転速攻でC18がファーストシュートを放つもGK正面。
1分近く、今度は西武がカウンターで2−1隊形。ゴール前右から左へのパスにも見事に反応しセーブ。その後、3つ目に入っていたC10、C23が外からシュートを浴びせるも、次が続かず。逆に、自陣への進入を西武に許すと、

 2:16 C7 High Sticking

最初のP.K.だが、スロットエリアをキッチリ固め、外からのシュートにとどめ難なく終了。
その後、小康状態が続くが、8〜9分過ぎ自陣でDFのクリアミスからS12、S40にシュートまで持っていかれる。事の始まりはゴールネットの後方に乗っかってしまったパックを何故か弾き出してプレーを続行してしまった賢吾のプレーからちょっとしたピンチを招いたがロブが落ち着いてセーブし事なきを得る。このピンチを凌ぐとクレインズにチャンスが訪れる。

 10:43 S28 Interference

 11:34 S51 Holding

いずれもC14の攻めを止めに行ったところで西武のDF2人をブタ箱送りにする。スペシャルセットで華麗にパスを回し、外からシュートを放つも、S39が反応良く、全てシュートを正面で止められてしまい、リバウンドを出さない。P.P.での動きは悪くないのだが「もらった」という場面まで行かないのだ。逆に、

 12:33 C96 High Sticking

それだけに、この反則は痛かった。せっかく良いリズムで攻め込んでいたのだが...。しかし、最終的にP.K.が残ったが、こちらは安定した守りを見せ、西武につけ込む隙を与えない。
15分には双方共に素晴らしいプレーの応酬。
まずは、西武。S19がクレインズ陣内のベンチサイドのボード際でパックを奪い、ビハインド・ザ・ネットの体制に行くと思いきや、その流れの中でフォローしていたS77にノールックパス。ワンタイムで叩くもロブがガッチリセーブ。今度は、C10が敵陣に西武のプレイヤーが3人居るにも関わらず単独で持ち込み、西武のプレイヤーをスクリーンに使ったシュートを放つ。S39に弾かれたものの、そのリバウンドを自ら拾いに行き、ゴール裏を回ってスカートメクリ。今季も彼らしい「魅せる」動きは何度も観れることだろう。

 15:56 S47 Holding

2度目のP.P.を迎える。先制点が欲しいところだが、どうしても決定的場面までには至らない。かといってリンクを広く使ったパス回しで西武DFを翻弄しつつはあるのだが...。

 19:28 S40 Interference

クリーズ内でロブを倒す。
結局、30数秒あったP,P.は2ピリに持ち込み。
シュート数はクレインズ18、西武7。
クレインズが攻めで圧倒するも決定的な場面までには持っていけず、西武DFが凌いでいる形がシュート数の差となって現れた、のだが...、1ピリにシュート数が多いパターンは去年のクレインズでは「嫌なパターン」だったのだが...。わずかなミスで点を奪われると、流れを引き戻すのが厳しい。早いうちに先制して相手にプレッシャーを掛けたいところなのだが...。

(2)第2ピリオド
早速クレインズが簡単に西武陣内に入り、ゴール左のC20から中央のC32に絶妙良いパスが出るが、若干ゴールまでの距離が遠かったせいか、竹内のシュートがゴール枠を外す。もう少しゴールに近ければ、「竹内得意のスナイパーゾーン」なのだが...。
2分近く、自陣からの球出しがパスミスとなり、ゴール前にこぼれロブと1対1になるも、淡白なシュートをロブが難なくセーブで事なきを得る。
3分過ぎには、交代の間隙を突かれ、S14へのセンターラインパスが出されるが、わずかにオフサイドに救われる。
4分過ぎ、今度は西武陣内でチャンスを迎える。遠めからのシュートをゴール前で交錯するスティックに当たりパックはフライとなってゴール右前に落下してくる。キャッチしようとグラブを差し出したS39。そのパックに対して執念を見せたのが竹内。パックがS39のグラブに収まる直前に竹内もパックに対してパンチングを繰り出したが、S39のグラブにパンチが命中。パックはこぼれ西武DFと伊藤雅俊、ダーシらが密集しているゴール前に出ていた。ゴール右にS39がグラブを差し出していたということは、ゴールクリーズ前はがら空きになっているということか?。

 
4:11 クレインズ今季初ゴールが先制点となる G20

記録はノーアシストになってしまったが、パックを蹴落とした竹内、そしてゴール前で粘り結果的にダーシにパックを叩かせる動きを見せた雅俊にもアシストを上げたいところだ。結果的にはがら空きのゴールにダーシが難なくパックを流し込むだけ。西武がその後、竹内のパンチングに対して抗議をしたものの、パックに対するパンチングがたまたま菊地のグラブに当たってしまったという「不可抗力」としてレフェリーは処理。ま、難しい判断だったかも知れないが...。

 5:39 C92 Interference

しかし、このP.K.はシュート0に抑える。
逆にP.K.終了後に西武に2−1隊形を作られる。しかし、成長著しい、私、今季一押しの岸部が身を挺してパスカット。
その後、10分過ぎには西武がクレインズ陣内でゴール前に攻め込もうとパスをつなごうとするが、西武の攻めのリズムを作らせないかの如く、ロブがパックを何度も何度もフリーズして試合を止める。少なくても西武に攻めを封じ込んできたことは事実。あとは追加点さえ取れればペースは握れるのだ。

 11:11 S12 Roughing

その直後に大澤に対して「余計な反則」をしてくれて、4度目のP.P.が転がり込んでくる。追加点を奪う絶好のチャンスなのだが、これがモノにできない。そろそろ、命取りになるぞー。
14分過ぎ、C39のファイスオフを拾ったC10がゴール左に向って切り込みを見せ、S39を釣り出し転倒させたがその弾みでパックも一緒に持っていかれてしまう。
16分過ぎ、今度は自陣で大澤の球出しがS77へのナイスパスとなり絶対絶命のピンチ。しかし、肩口を狙ったシュートはロブの肩に命中。ホッ。
17分過ぎ、西武陣内でのフェイスオフ後、一旦ルーズとなったパックをS18が拾い、本部席側ボード際で待ち構えるジョーに向って走る。当然、ジョーが抑えるものと思っていた瞬間、あっさりとジョーを置き去りにしたS18。そのまま突進。ゴール右45度からシュートを放たれてしまう。

 
17:32 ミスを突かれ同点にされる G18

個人技と言ってしまえばそれまでだが、「抜かれた」という事実は隠しようがない。2−1隊形になったものの、そのままシュートを放たれ決めさせてはいけない男にゴールネットを揺らされてしまう。
これを境に、クレインズの足が止まる。攻め込まれつつも確実に相手のチャンスの芽を事前に摘み取ってきたニュートラルゾーンでの運動量が落ちてしまった。それをあざ笑うかのように、S7にパックをゴール前まで運ばれてしまい、ゴール前は混戦状態に。しかし、こういう場面を作った原因が原因だけに良い結果が出るはずがない。

 18:10 あっさり逆転ゴールを許す G47←7

恐れていたことが起きてしまった。STV杯でもあった1分以内での連続失点...。この後、ピリオド終了までクレインズの脚は鉛を付けたみたいに重くなった。
シュート数はクレインズ6、西武14。
逆転されてから、ベンチのムードが悪く、選手の動きもぎこちなくなってしまったのが心配だ。次のピリオド開始までに立て直してきて欲しいのだが...。

(3)第3ピリオド
 しかし、立て直しはできなかったようだ。クレインズは攻め込もうとしても、それまで簡単に超えていたブルーラインが高い壁となり、そのたびに西武にパックを放り込まれ、DF、FWが何度も自陣まで走らされるプレーが延々と続くのだ。
4分近くには、攻めあぐねているせいか、プレスの掛けすぎカウンターを取られ3−1隊形というピンチを迎えるが、ラストパスをミスってくれたおかげで助けられる。
5分過ぎには、またもや2−1隊形を作られるも、再び岸部が身を挺してセーブ。
その後は球出しがうまくいかず1ピリ、2ピリ前半に見られていたスピードが無くなり、敵陣に入っても攻め手が全く作れない。
6分過ぎには、またもや自陣でDFがクリアミスし、S77にシュートを打たれるがこれをミスってくれた。しかし、逆転されてからの試合の流れを見る限り、「このままではクレインズには点が入らない」という流れになっていた。残念ながら、どう贔屓目に見てもクレインズに勝ち目は無かった。このあたりで、FWの組替えをして悩ましい局面の打開を図っておくべきだと思う。伊藤雅俊は1つ目起用は将来を見越せばそうあるべきだと思うが、逆転された勝負処でC14、C10を1つ目2つ目のウィングに起用してほしかった。攻めあぐねたまま時間だけが淡々と過ぎる。しかし、意地でC92がベンチサイドを走りこむと、

 8:46 S28 Hocking

そのままゴール裏で潰されるが反則を取って来る。5度目のP.P.を得るが、クレインズは勝手にコケてしまう(もっとも、P.P.でも既にパックキープもままならない状況ではあったが)。

 10:13 C20 Holding Stick

 11:06 S77 Holding Stick

直前のP.P.が戻ってくるのだが...。
フルストレングスになっても状況は変わらない。時間だけが無情にも過ぎ去っていくが、クレインズはパックを支配することが出来ない。攻撃が単発で散発に終わる。そして、やっぱりクレインズは勝手にコケてしまうのだ。

 16:19 C Too many Players on the Ice(#10代行)

 
17:13 痛恨のP.P.ゴールを許す G77←22

守りを忘れたのでしょうか?。ベンチサイドボード際を攻めあがるS22が絶妙なパスをゴール前のブライトへ。すると、それまでのP.K.では着いていたはずのマークが居なかった。ワンタイムで叩かれる。どうしたことか...。もう、負けを認めてしまったのか?。
しかし、再三再四攻めあぐんでいる中、敵陣に流されたパックにDFにマークされながらも小さな体でしかも単独で強引にくらいつく匡史。ゴール前でシュートしようとしたが、DFに抑えられる。そのDFを振り切ってさらにゴールから左側へ離れてしまった。しかし、諦めなかった匡史は、振り向きざまにパックを叩く。

 
17:47 執念のゴールで1点差に G14←96←92

叩いたパックは菊地の左肩口(だと思う。遠くてはっきりとは確認できなかったが)を綺麗に抜いていたのだ。
何故、この「執拗さ」がここまで出なかったのか?。
残り2分ちょっとでまたもや1点差。最後まで期待を持たせてくれるクレインズは今年も健在だったのだが、

 18:02 C32 Elbowing

直後にクレインズがタイムアウト。

やっぱり「流れ」はクレインズに「勝ち」を与えないことになっていたのだろうか?。
19:20あたりで「五人攻撃」に出る。パックは西武陣内に放り込んだが競り合いで負け、いつしかパックはクレインズ陣内のブルーライン上にあった。

 
19:51 エンプティネット(ついでにP.P.ゴール) G40←14

シュート数はクレインズ9、西武8。
結果は
4−2だったが、勝てない試合ではなかったハズ。ただ、5回あったP.P.を一度もモノにできなかったこと。そして、同点直後に即、立て直しができなかったこと。そして、「執拗さ」が無くなったこと。確かに最後にはブライト、藤田に点を奪われたが、少なくても昨年までの破壊力を感じないし、動きも精度も落ちている。しかし逆転されてからの内容は1点差以上に水をあけられた感がある。
勝負どころでチーム状態を即座に立て直せていれば今日は負けなかったはずだ。しかし、正直なところ3ピリで攻めあぐね、肝心なところで反則を犯すクレインズを見ていても悔しくなかったのは何故だろう?。その理由はリンクに転がっているハズだが、私には「勝つ」という気持ちが伝わってこなかった、というか、感じることができなかったのは何故だろう...。そんなハズはないのだが...。

明日に期待するしかない。西武は勝てない相手ではない。それは推測から確信に変わったが、結果がついてこない...。さて、どうやって、このモヤモヤした気持ちを収めつつ、この観戦記を締めようか...(いいや、このままホッタラカシにしちゃえ、チクショウー。やっぱり悔しいわ)

ちなみに、今季より制定されたスカイAによるスリースターは、1st:S77、2nd:S18、3rd:S39と独占されてしまいました。