第36回日本アイスホッケーリーグ
日本製紙クレインズVS西武鉄道 2回戦(日光霧降アイスアリーナ) 観戦記

(0)プレリュード
 霧降でのバックス以外の試合が実施されたのは、初めてではないのでしょうか?。その昔、20数年前までさかのぼれば、日光集結シリーズという時もありましたが...。バックスが誕生してからならば、たぶん初。きっと客入りは悪いだろうな、と思った予感が見事に的中。一応、前売り指定席をぴあでゲットしてから行ったのですが、当日の自由席券を買っても、余裕でA指定席に座れたほどでした。ま、試合が始まる頃には、それなりに席は埋まりましたが、私の座った列は最後まで私以外の人が座ることは無かった。おかげで、ヤジがリンクにこだましちゃって大変でした。

【クレインズ】(ホーム)
33−31
18−20−32−22−7
96−92−24−3−34
14−27−10−2−23
13−39−21
平岩以外全員出場でした。

【西武】
39−30
22−77−18−28−33
14−40−19−3−51
13−47−17−2
12−16−10−78
松浦が戻ってきたと思ったら、小堀がぬけました。
ひとんちのことなので事情は知りませんが...。

レフェリーはアラン・フルネット

(1)第1ピリオド
スターターは双方とも発表された1つ目同志の激突となったが、一旦クレインズ陣内に放り込まれたパックを本部席サイドボード際に沿ってパスがダーシまでつながる。当然、ニュートラルゾーンで西武FWのフォアチェックが入り、ダーシをボードに押しつけようとプレスを掛けるのだが、スピードでそれを交わしたダーシ。敵陣に入るやいなや、すぐさまスティックを振りかぶると...。

 
0:15 本日ファーストシュートが先制点となる G20←22←18

ブルーラインを越えたが、前には距離こそあれどDFが構えていたので、「まずは軽く一発打っとこうか」という感じで放たれたパックは氷上を這うようにゴール右スミに向って飛んでいった。菊地、シュートラインを隠し切れなかったか、ダーシの強烈なシュートに対応できず。
次は3つ目が登場したのだが、ここでもニュートラルゾーンでの西武へのプレスが効力を発揮し、匡史が奪ったパックがタテに出されると、そのパックを受けたのがDFとFW。そして、西武のDFはお留守。早い話が2−0隊形になった。これは決まるでしょう、いくらなんでも。

 
1:35 やったぜ初ゴール G23←14

そう、大澤と坪子が攻め込んできたのだ。で、ゴール左から大澤が、ゴール右から坪子が菊地に襲い掛かるも、パックキャリーの大澤は、「FW」の坪子にパスを出さず、自分で決めた。ま、ノーマークだからねぇ。というわけで、昨年の原武の初ゴールに続き、今季も初ゴールを見ることが出来ました。
この2発の先制パンチで、試合はいきなりのクレインズペース。2分過ぎには一つ目が西武陣内でパスをつなぐも、ラストパスが叩けず。
西武も面喰らった感じで、球出しすらままならず、ニュートラルゾーンでクレインズの早い潰しに屈している始末。その余勢はまだ残っていた。
メンバーチェンジを狙って1つ目が放り込んだパックは西武ゴール真横のボードあたりに流れる。しかし、そこに飛び込んでいったのが代わって出てきた賢吾。1対1の競り合いに勝つと、待っていたダーシがパックを拾いすぐさまセンタリング...。

 
3:38 3連発速射砲炸裂! G18←20←3

ゴール前でパスを受けた雅俊が菊地を交わすように、ゴール左に回りこむ。これで菊地は寝てしまった。あとは、パックを放り込むだけ。
この後、18分過ぎまでクレインズのパスが面白いように通る。というよりも、攻めあがってくる西武の1番手のパックキャリアーに対するニュートラルゾーンでのフォアチェックが効いていること。結果的に放り込まれてしまっても、そのフォアチェックが効いているため、先にパックに追いつくのは常にクレインズDF。その後の球出しが早く、しかもスムーズに前線のFWまでつながるので、気が付くとニュートラルゾーンで西武のDFやFWを何人か置き去りにした状態で敵陣に入り込み数的優位な態勢が常に作れていた。西武のシュートは6分ぐらいまで無かったはず。しかも、ロブがゴール前でパックを最初にフリーズしたのが18:48だったことからも、クレインズの動きの良さ、西武の動きの悪さが目立った1ピリだったことが言えると思う。
6分過ぎには佐曽谷がゴール前でDFに絡まれながらもパックをキープし、ゴール前に入ってくる辻を待ってからパスを出すというニクいプレー(ゴールにはならなかったが)。
8分過ぎには、これまたニュートラルゾーンで西武のプレイヤーを4人置き去りにして腰越にパスが通り、DFを引き連れながらゴール左へ攻め込む。逆サイドには正和が入ったものの、腰越からのラストパスを正和が合わせきれず(DFが入っていた)。
12分過ぎには2つ目が執拗な攻めを繰り返し、最後には菊地を寝せるまでに至ったが、結局、パックを叩けず仕舞い。
14分過ぎにはダーシが得意のアングル、ゴール右の角度の無いところから菊地の背中を通そうとするシュートを放つも、間に入ったDFにあたりO.B.。
16分過ぎにも2つ目が西武陣内で攻めまくり、最後はゴール裏に居たC92から正面に入ってきたC96にパスが出るも、これも間にDFが入りパックを叩けず。
このあたりから、西武もようやくクレインズ陣内に入り込みシュートを放つも難なくロブがセーブ。
19分過ぎには自陣から賢吾がラグビーのハイパントのようなパスを前方に出すと、丁度、敵陣のブルーラインあたりに落ちる。それに先に追いついたのが飯塚。「いただき!」と思いきや、シュートが菊地の正面に行ってしまう。
その後、西武陣内でのフェイスオフを西武に取られ、西武陣内のブルーラインを大川に越えられる。ピンチとばかりに後を追った正和が絡み合い、クレインズ陣内で双方とも転倒。裁定は、

 19:35 C96 Holding

1ピリラスト25秒で西武は22−77−40−47−28という最強セットを出すも、なんとかシュート2本で食い止め1ピリ終了。
Shots on goal:C14、S4。

(2)第2ピリオド
1ピリ3分半で3点を奪ってからは、再三のゴールチャンスがありながらも、追加点を奪えず、しかも終了間際に反則。2ピリあたまはP.K.。この試合のポイントは、立ち上がり1分半残っているP.K.を抑えること。そして、先に4点目を奪うこと。そうすれば、今のクレインズなら行けると、私は踏んでました。なんせ、昨日はバックス相手に3ピリだけで4点奪ったチームですから、3点差では決して安心できないぞというのが私の心境でした。
ですが、まず、1分半残っていたP.K.をシュート0で完璧に抑えきると、まだまだ1ピリの勢いがクレインズには残っていたようで...。
2分過ぎ、またもや2つ目が西武守備陣を翻弄する動きを見せ付け(今日は全般的にパックへの集散が早かった)、何度も西武ゴールを脅かす。しかし、4点目奪えず。
4分半には、ニュートラルゾーンから攻め込んだ竹内が鮮やかにブルーライン上に居並ぶ西武DF陣を中央から突破し、ゴール正面でフリーになるも、シュートが枠から外れてしまう。
5分半過ぎには、3−2隊形で攻め込んでいく中で、反則をもらう。

 5:57 S40 Slashing

早くも4点目を先に奪えるチャンスが転がり込んで来た。しかし、セットしてもパックをグルグル回すだけ。P.P.としての全員のポジションにこれと言った変動がない状況では、ゴール前へラストパスを出すことも出来ず、結局、外からシュートするにとどまってしまう。しかし、これではゴールには結びつかない。最初のP.P.チャンスを潰したものの、今日はどうも西武自身が勝ちたくないのか、クレインズ陣内で攻め込んでいるにも関わらず反則をしてくれる。

 8:42 S19 Interference

ところが、クレインズも人が良いのか、シュートをほとんど打てず仕舞い。ラップアラウンドからゴールを狙った雅俊の1本に終わってしまう。う〜ん、これが対王子戦の敗因となった「P.P.決まらない症候群」なのか...。
さすがに、西武もこのP.K.を凌ぐと、少しずつクレインズゴールにパックを集めてくるようになる。ただ、このピリオドで「危ない」と思ったのは、
11分過ぎにS40とS14がニュートラルゾーンで抜けて、2−1隊形になるところだったかも知れない場面があったが、S14のオフサイドに救われる。
更に13分には、DFのマークが一瞬遅れ、S77にフリーでパックを奪われ、ゴール右ボード際からゴール正面に単独で攻め込まれた。最後はロブを完全に振って寝せることまで成功しておきながら、ロブもS77が回り込んで打ってくるのであろうことを予想したかの如くシュートコースを隠すように寝転がり難を逃れる。
強いて言えば、この2度ほど。西武も「3連発速射砲」のダメージが大きくリズムをつかめない様子。それが証拠に、

 14:10 S40 Elbowing

更に、西武にクリアされたパックを処理しに行ったロブが一瞬バランスを崩すと、ロブがブライトのスティックに叩かれた。

 15:45 S77 Slashing

4点目を先に奪える絶好のチャンスがやってきた。しかし、35秒間のツーメンアドバンテージではシュート後のリバウンドを叩けず、5on4になっても、シュートは放つがその後のパックを奪い、2次攻撃、3次攻撃と継続できなかったのが痛かった。
逆に18分過ぎには一瞬のスキを突かれ自陣のベンチ側ボード際から出されたパックがゴール右に出る。そこに飛び込んだS22。「やられたっ」と思いきや、ロブの右足とスティックがそのパックの進入をきっちりと拒む。「そろそろ西武にもスコアリングチャンスが出始めてきたなぁ、このまま3−0で3ピリを迎えるようじゃ危ないぞ」と思ったその刹那。私の目の前で「幸運」というものが転がり込んでくる瞬間を見ることになる。
西武ゴール左のフェイスオフサークルで西武が前線に球出しをしようとしたパックがプレスをかけていたダーシに当たる、と、丁度、そのパックがゴール前にポロッと出る。そこには何故かクレインズのユニフォームを身に付けた選手が居たのである。

 
18:46 これこそダメ押し G32←20

フリーだった竹内がこのポジションならば外さない。GKのポジションを確認した上で、開いていたゴール左サイドにシュートをかるーく放つと、S39反応するも、パックはゴールの中。2ピリに入って3回のP.P.チャンスを得たものの、1ピリ開始早々に見せた早いパックへの集散が見られず、西武のゆったりした動きに合わせてしまっていたのがここまで点を奪えなかったように思えた。それだけに、相手のミスではあるが、そこにつけ込みキッチリ点をもぎ取ってきた。この1点は大きい。しかも2ピリ終了まであと1分という時間帯も効果的。あとは、ロブの完封を待つだけか?。
Shots on goal:C9、S5。

(3)第3ピリオド
立ち上がり早々、西武に攻め込まれラップアラウンドからゴール前へパックが出てしまうが、西武のプレイヤーよりも先にロブが飛び込んでパックをフリーズ。
逆に1分過ぎ、ニュートラルゾーンに居た腰越から、西武DFの裏にパックが流され、飯塚がノーマーク。しかし、放ったシュートは菊地の正面に。ここで決めないと、腰越のアシストが増えていかないでしょうが!。
しかし、直後の西武陣内での攻撃の中で、何故かゴールとブルーラインの中間あたりで史郎が倒れて起き上がってこない。程なく笛が鳴り、

 1:32 S40 Crosschecking

「俺がやったよ」と白状するかのように、早くもペナルティボックスに向うS40。しかし、史郎は一向に立ち上がれない。笹森トレーナーも駆け寄る。「またセンタープレイヤーにケガが...」と心配したが、数分後、自力で立ち上がりベンチへ戻る。倒された際に膝をしたたかに打ったか、パックに気を取られてよく見ていなかったので詳細は不明だが...。その後、史郎は1プレイか2プレイ休んだ程度で試合に復帰していたので、大丈夫だと思います。
問題は4度目のP.P.。いくら4−0でリードしていても、P.P.は今後の事を考えるとそろそろ決めておきたい頃だったが、さすがに西武も切れたか、ポイントの位置に居たジョーから出されたパスが、今日の試合を完全に決定づけることになった。

 
2:02 ようやく決まったパワープレーゴール G20←7←32

本部席側ブルーライン付近に竹内から渡ったパックは、あっという間に西武のボックス守備隊形を斜めに真っ二つに切り裂くかのごとくゴール右で待っていたダーシに通る。その時点でダーシは完全にノーマーク。そして、菊池はダーシとは逆サイドの位置に体が残っている。早い話が、オープンネット状態。あとは、ダーシお得意のアングルからパックをゴールに叩き込むだけ。綺麗にゴールネットが揺れたビューティフルゴールでした。
しかも、このゴールでアシストを決めた竹内は150アシストを達成。おめでとう!!!。

さて、試合の焦点は(クレインズ主観で見た場合)ダーシのハットトリックと、ロブの完封に興味が絞られましたね。しかし、クレインズの動きに、もはや1ピリ立ち上がりに見せたスピードは無くなっていた(西武の攻めもそれほど厳しくなかったので、その必要が無かったという気もするが)。その隙にピンチを迎える。自陣から出そうとしたパックがブルーラインを越えず、西武のプレイヤーに奪われる。しかも、ゴール前にはS19がノーマークで待っている。当然、そこにパスが出る。しかし、ロブも判断良く飛び出しパスカット。難を逃れるが、S19がこけてしまったため、

 6:33 C33 Tripping(#21代行)

仕方無いと言ってしまえばそれまでですが...。ゴール前に敵の選手が一人で立っているという状況...なんと恐ろしいことか。しかし、このP.K.も凌ぎ、西武に得点を許さない。しかし、前述したスピードの無さが、ついに西武にチャンスを与えてしまった。12分過ぎ、自陣での球出しに失敗。西武FWとの競り合いにことごとく負けてしまうと、ゴールを中心に西武3人のFWにまんまとやられてしまう。

 
12:30 これは防げた失点だ! G22←77←13

結局、試合はこのまま5−1で終わるのですが、12分の失点以降はクレインズも若干立て直し、再びパックを支配する時間が長くなった。
ゴールには結びつかなかったが、3度にわたる「ハイパント」が効果的。ただ、1度は通り、2度は先に菊地に前に出られ、片膝ついて差し出したグラブに収められてしまう。その姿は新宿ホストクラブ「愛」のホストによる「お客様お出迎え」という感じ(「ご指名ありがとうございます。ナオヤです、ってな感じかな・・・苦笑)。
15分を越えると、クレインズは21−20−18というセットを出すなど、今後を見据えた選手起用まで披露。今季、西武戦初勝利を「日光」で飾ることができました。惜しむらくは2つ目にかなりチャンスがあったにもかかわらず、ここからゴールが生まれなかったのが悩ましいところ。後は、途中から西武のスピードに合わせてしまい、2ピリ以降何度かピンチを迎えてしまったこと。そして、試合を決定づけるべきゴールをP.P.という大チャンスで奪えなかったこと。今日は、たまたま「3連発速射砲炸裂」で序盤から優位に立てたが、明日は霧降では強いバックス相手。これらの課題をきっちりクリアしてもらわんと困りますねぇ。
「せっかく西武に勝ったのに〜」という長嘆息を応援している皆につかせないように、「鬼門」である「霧降でのバックス戦勝利」をもぎとって下さい。
Shots on goal:C12、S14。
3STARSは、1st:20、2nd:18、3rd:33(だと思う。実は聞き取れなかったのだ。もしかしたら23かも???)