第71回 全日本選手権第3日準々決勝第4試合
2月13日(金)日本製紙クレインズVS法政大学 観戦記

(0)プロローグ
 
相手は法政。学生相手によもやまけることは無いだろう。ただ、最終的に勝つと判っていても、学生相手に「生温い試合」になることを否定するよう気もあり、期待する気もあり。前者は、トップリーグ在籍チーム、ましてやアジアリーグ初代王者として、こんなところで「(相手にとって)良い試合:なんぞやるわけにもいかず、かといって、全日本を獲るためには、翌日以降に疲労を残さないという考え方もあり...。でも、クレインズはフルメンバーで戦ってこそのチーム。たとえ実力的に劣るよ思われるチームであっても手を抜くことは許されない...はずなのだが....。

【クレインズ】
30−41
32−20−18−23−33
71−47−10−7−34
14−19−8−22−72
21−27−24−2−77
実に4ヶ月ぶりとなるユニフォームを着て復帰の中島谷が3つ目で登場。よくぞここまで戻ってきたと褒めてあげたいところだが、贔屓目に見てもその動きは「調整」を意識した感が強く、学生相手だったからなんとかなったという感じ。まだまだ本調子には程遠いと私は思う。

【法政】
リンク到着が開始15分前だったのでメンバーは確認できず。ただ、関東大学リーグで組んでいたメンバーが中心だったことは確か。ゴーリーは3ピリから片山から福澤に交代。

レフェリー:山内
ラインズマン:川口(健)、赤坂

(1)第1ピリオド
明らかに試合から遠ざかっているのと、相手が学生だということで「相手に合わせた」立ち上がり。まったりとしたスピードの無い動きの連続。ふるメンバーを揃えても学生相手ではモチベーションが上がらないか。もたもたした展開が7分以上も続く、かと言って、クレインズがピンチかと言うと、そうでもない。むしろ、パックはしっかり支配している。ただ、肝心なところでシュートミス、パスミスの連発でまるで格好がつかない、

 7:30 H15(北側) Roughing

自陣ブルーライン付近で出会い頭に激突、転倒。「学生相手にぶっ倒れるなよ」と思いきや反則になっていた。

 
9:09 外からリーチを生かしたシュートが決まり先制 G33←7←71

パス、パスの連続でやきもきさせたが、最後はゴール左奥からブルーラインのジョーに戻され、D−Dパスの格好でフォスターが本部席サイドポイントの位置から放った豪快なシュートがゴールネットを揺らした。最後のD−Dパスが早かったのと、グラウンダーにコントロールされたシュートが法政ゴールを破る。
まぁ、この程度は名刺代わりとして、早めに試合を決めて主力を温存したいクレインス。しかし、ハナっから次の試合のことばかり考えている様子がありありと伺える(久々の試合ということもあるとは思うが)モッチャリとした試合運び。それが、

 12:17 C22 Holding

 13:23 C7 Hocking

法政の出足の前に体の寄せが遅れている。で、結局スティックでチェックに行って反則、というパターン。いくら学生相手といっても、そんな甘甘なチェックじゃ話にならんぜよ。

 
14:39 守り崩される G35←1

3on5は凌いだものの、4on5ではゴール裏での競り合いに負け、早いセンタリングに対応できずゴール真正面のスロットの位置にパックが出てしまい、しかもポッカリ「穴」ができている中をH35が突っ込み狙いを定めたシュートを決められる。ゴール前に立っているDFは何の役に立っていたのか...。PKではあるにせよ情けない失点。

しかし、17:00近辺に自陣でパックの処理ミスを突かれたヒデ。そのままパックを奪われるとピンチを迎えるところだったが、辛うじてニュートラルゾーンに流したパックを雅俊が拾う。そのまま相手DFを交わしつつ、ポジションを変えつつミドルレンジからシュート。

 
17:00 嫌な流れを断ち切ったか? G18←23

なんとか勝ち越しに成功。1ピリ終盤からパック支配率は法政を圧倒しており、よっぽどのことが起きない限り負けることは無いだろうと思った矢先、よっぽどのことが起きてしまう。

 17:20 H9 Boarding(Major&Gamemissconduct)(代行#32)

自陣エンドゾーンのボード際でパックを処理していた原武に背後からチェック。でも見ていないレフェリー。倒れている原武を見てようやくディレイドコーリングオブペナルティを宣告。関東の大学リーグの試合を吹きなれてないレフェリーの判断の甘さが出てしまいましたね。うずくまって立ち上がれない原武。既に血も見えている。この場合は、たとえクレインズがパックキープしていても「笛」の場面でしょう。学生リーグだと、自分がフェイスガードをしているためか、頭部や顔に対するチェックが危険な角度で入ったりすることって多いんだけど、これもその典型。明らかに背後からチェックに行っているにも関わらず、その瞬間をレフェリーが見てないとは何とも情けない。
で、クレインズに5分間のPPが転がり込むも、スペシャル1つ目、71−20−19−47−33が決まらない。試合でも練習と思わせるようなパス回しをこの場でも披露。結局、1ピリ残り時間内にはゴールを挙げられず1点差のまま1ピリ狩終了。

Shots on Goal:C24、H9
打っているのだが、外からのシュートが多く、そこは法政の守りが昨日している証拠か、或いはクレインズの攻めに決定力が大いに欠けているせいなのか?。
少なくても、この5分間のPPで1点は取らないと「膠着するぞ」という気がしてならなかったが...。

(2)第2ピリオド
ようやく、PPスペシャル1つ目で結果を出す。

 
1:33 突き放す G33←47←20

ゴール裏からのパスをゴール左脇に入ってきたフォスターが合わせる。

 
3:50 見逃さない G32←19

法政が攻め込んだ後のカウンターで、博史へのタテパスを出した匡史か太郎か忘れたが、そのパスをニュートラルゾーンで受けた博史がDFを交わし半ノーマーク。右サイドに寄せられていたもののシュートは決まらず。しかし、リバウンドがこぼれており、そこをフォローしていた竹内がゴーリーが寝るのを確認した上で冷静に放り込む。これえ安全圏に入ったという感じ。その後は、必死に点を取りに行こうとするも、球出しが機能していない法政と、攻め込んでおきながら、難しいことに敢えて挑戦し、結果的にゴールどころかシュートにもならないパス回しの応酬が続く。

 4:35 C23 Slashing

PKとは言いながらも、攻め込まないものの、殆どパックを支配していたクレインズが力の差を見せつけ始める。

 
8:51 これぐらいは決めないと G32←23←20

自陣に近いところで雅俊がパックキープしていたところに法政のチェックが2人入ってしまった連携ミス。そ結果、3−1隊形となる。キャリアのダーシがゴール左サイドから狙うぞと誘いつつ中央の大澤へ。大澤がDFを引き付けた後に、右サイドでフリーだった竹内にラストパス。ワンタイムできっちり決める。

 10:14 H15 Interfernce

スペシャル1つ目の樺山の動きに精彩が無かったのが気がかりではある。結局、このPPは攻めつづけながらも詰め切れず。

12分過ぎに4つ目の24−27−21が登場。終盤には、チェックが空振りして脚からフェンスに突っ込んだライアンがお役御免の形で以後出場せず、酒井が2つ目のウィングと4つ目のウィングでダブルシフト。

Shots on Goal:C13、H4

試合は完全にクレインズのペース。ただ、気がかりなのは、球出しの遅さ、パスコースに入る遅さ、センタリングやパス時におけるラストパスの精度悪化(フィリップパスを多用しているも綺麗に通ることは無かった)。パックキャリアが自陣から攻めあがる際に相手FWのフォアチェックを必要以上に食いすぎる点。相手が学生だから助かっているが、トップリーグのチームが相手だったら、いつ、どこでカットされてもおかしくない「危険」なプレーが目に付いた。法政相手ではモチベーションも上がらない気持ちもわからないわけではないが...。

(3)第3ピリオド
 2ピリは完全に法政を圧倒したクレインズ。勝ち負けがほぼ決定した状況であとは、どう締めくくるか、そこだけに注目していた。ちなみに法政のゴーリーは正ゴーリーの片山から、「ひつじ」こと、サブの福澤へチェンジ。

 
2:24 中島谷復帰後(今季)初ポイント G19←8←72

お世辞にも完全復調したとは思えません、中島谷。でも、クリアされそうなパックに追いつきポイントの位置から太郎に出したパスから得点につながったわけで、勝負勘は衰えていない様子。しかし、いかんせんスケーティングがまだまだ...。

その後、クレインズからは「点を取ってやろう」という気が感じられなくなった。しかし、3つ目だけはフィジカル面で自然と優位に立つ状況からチャンスが転がり込んでいる。

 8:14 H6 Borading

飯塚がまたもやフェンス際でくらう。もしかして、そんな危険なチェックが怖くて立ち上りが「手さぐり的」な動きだったのか?。ベンチに戻っても明らかに首に違和感を持っていた飯塚。大丈夫だろうか?。

 
9:09 またもやPPが決まる G20←47

その前にバックドアを決めるチャンスがあった樺山がことごとくPPの流れを崩していたことは事実。綺麗に決めてやろうとする気持ち充分にわかる。失敗してFWが奥深く残ったままのカウンター&タテパスが怖いから。それでも、最後は樺山がポイントの位置からシュート。リーグでは考えられない方向へリバウンドが出る。そこはダーシお得意のアングル。角度はきついが確実にゴールネットを叩ける位置にあった。

以降、パック支配率はクレインズ95%、法政5%。もはや黒白はついていた。

 16:33 C8 Slashing

法政に見せ場があったとすればこのPPだと思う。ゴール前に積極的にブラインドに入り、外からのシュートでクレインズゴールを脅かすこと2回。これこそ、「法政の最後の意地」と感じさせておきながら、

 18:11 H1 Holding Stick

攻め込んでいるのに自らチャンスの芽を摘み取ってしまうと、

 
19:03 仕上げ G8←14

匡史が自分で決めても良かったと思ったが、敢えてバックドア気味に相手DF翻弄し、ゴール左脇に居た太郎へつなぎワンタイムで決める。

Shots on Goal:C10、H7

クレインズが攻めつづけていた割にショット数が少ないのは、枠を外しまくっていたから(苦笑)。

明治相手に苦戦した王子に比べたらまだマシ、ウチのカミさんが言ってました。ですが、このまま同じ調子で明日の王子戦に臨むのは甚だ危険です。そもそも、全員脚が動いていないことが大問題。全日本初優勝を勝ち取るには、この試合で出た悪い部分をきちんと修正しない限りありえない。「判っていたけど気づくのが遅すぎました」では困るから。

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