第71回 全日本選手権第5日決勝戦
2月15日(日)コクドVS日本製紙クレインズ 観戦記
(札幌・月寒体育館)

(0)今回の観戦記について
 
久々にクレインズ(当時は十條製紙)の試合が地上波で全国放送(録画ですが)されます。チャンネルは国営放送なので、まずどちらのご家庭でもご覧になれると思います。また、既に結果をご存知の方も多数いらっしゃると勝手に判断し、観戦記は極々簡単なモノにさせていただきます。

 と、言うのは建て前の話。

 本当は、私自身がほとほと疲れ果ててしまい、観戦記をまとめるのが辛かったから、というのが前面にあるわけで...。それは、今日ほど「勝って欲しい」と思う気持ちが強かったことと、試合を冷静に振り返ると、クレインズとコクドの間に大きな力差をやはり感じてしまったこと。それ故に、「直接対決で勝った方が優勝という試合」は、勝者となれば栄冠を勝ち取り喜びに浸れるわけだし、敗者となればその勝者の歓喜の場面を必然的に見なければならないという悔しさを、同じ場で同時に味わう。そんな試合をどれだけやってきたか、という「場数の差」が結果として出てしまったことを認めざるを得ないのだ。

 だから、悔しいのだ。

 で、今の今まで疲れて眠ってしまったので、ようやく観戦記「もどき」を書いているというわけ。
 くどいようですが、詳細は国営放送を見て下さい。

(1)プロローグ
メンッバー発表では、
【クレインズ】
30−41
32−20−18−33−23
10−47−21−7−34
8−19−14−22−72
13−27−2−77−44
と昨日と同じで、一昨日のゲームで負傷したライアンは今日も欠場、と思っていた。練習にも顔を出していなかったから。ところが、試合開始3分前に入場してきた選手の列の中にはライアンが居たのだ。優勝がかかった試合だけに「強行出場」してきた感は否めない。と、いうわけで、実際のメンバーは、
30−41
32−20−18−33−23
10−47−71−7−34
8−19−14−22−72
13−27−21−2−77

ということになり任田が外れていた。直前にメンバー変更なんてできたっけ?、と思いつつ...。
(辻、史郎、勇、任田は出場無し。酒井も1ピリに1、2回シフトされただけで実質は3つ回し)

【コクド】(ホーム)
44−31
18−33−75−11−5
22−77−8−37−28
24−40−9−88−2
47−14−26−43−74

レフェリー:山田
ラインズマン:根本、松田

(2)第1ピリオド
 先に述べたようにライアンがどのようにシフトされるのか注目していたが、普通に2つ目でリンクに出てきた。途中で1、2度酒井が入った時もあったが、最後まで2つ目のウィング、そしてPPスペシャルの1つ目として気合のフル出場。
 しかし、気合が入っていたのは彼だけでは無かった。

 2:19 C8 Hooking

敵陣で連続攻撃に持ち込もうとパックに執着するあまり、パックを取られそうになったプレイヤーを倒してしまう。

 
3:49 きっちりパワープレーを決められる G33←11←75

最初のPKは守り切れると思ったんだけどねぇ...。早いパス回しから最後は右(攻撃視点)45度の位置から放たれたシュートが、我々がイメージしているK33のパワーには似合わない、シュートコースを重視したスピードを殺したシュートだったせいか、それとも次郎のポジションもやや低かったか、ゴール右(GK視点)スミにパックが流れ込んでしまいあっさり先制される。

 6:24 K18 Holding Stick

パワープレーにはパワープレーでお返し、できれば、試合展開は若干変わっていたと思う。地元釧路を中心に勇払や北海道各地、そして自分も含めた本州からも大勢駆けつけた、いつになく巨大なクレインズ応援団の懸命の後押しを受け、スペシャルセットが同点打を狙うも、空ショットが目立ち同点にできなかった。決してスピードが無い訳ではないのだが、K44もキチンとクレインズのシュートに反応できていたのも事実だが...。

ところが、それよりもずっと前から感じていたのは、クレインズ1つ目に対してマッチアップされるコクド1つ目が優位に立っていたこと。K75の一瞬のスピードと突破力。K33のデカさと長いリーチ。そして、そこにきっちり合わせてくるK18。DFに付いているK5とK11の球出しの安定感は、今考えると、最後までこのセットに歯が立たなかった気がしてならない。

 
11:11 止められない G75←18

ニュートラルゾーンをベンチ側ボード沿いに突進。一旦はブルーライン上で突進を止めたかに思えたが、パックは中に放り込まれている。それを見極めたかのうように、サッとブルーラインを越え、パックを自分で拾い、ゴール正面まで切り込んで行き、次郎にケツを見せる格好でバックハンドシュート。これが次郎が出した左脚に当たってはいるのだが、スピードに乗った攻めが生んだバックハンドシュートが思いのほか威力があったようで、左脚に当たったパックがゴール左上スミまで跳ね上がってしまっていた。正直、このゴールは単なる追加点という意味ではなく、先に述べた1つ目同士の力の差として私の目には映ってしまった。

結局、1ピリはパワープレーを除いてはさして有効なシュートを放てず。完全にコクドに試合の流れを掌握されてしまった。

Shots on Goal:C5、K11

(2)第2ピリオド
しかし、このままズルズルと行ってしまっては、ほぼ満員に膨れ上がった月寒体育館の観客に対して甚だ失礼極まりない。それでなくても、この前に行われた3位決定戦で日光アイスバックスが3ピリ6人攻撃で同点、オーバータイムで決勝点を挙げ場内を大いに沸かせていたのだ。「3位決定戦の方がいい試合だったよね」と言わせてはならない。

 
2:56 一瞬のスキを見逃さない G20

ゴール右(攻撃視点)手前のスロットから振り向きざまのシュートがクレインズ反撃の狼煙となる。

その後、スピードのある3つ目がさかんにパックを放り込み太郎が敵陣に飛び込んでいくプレーを起点としたスピードに乗った攻撃と、おそらくケガを押しての出場であろうライアンの大股スケーティングによるパックへ絡んでいくプレーが実を結びそうな気配が漂う。そんな中、

 8:10 K28 Hooking

敵陣に飛び込んでいこうとする匡史が綺麗に引っ掛けられる。アドバンテージの状態で敵陣に入るとパックはコクドに渡ってしまったが、その直後に今度は、

 8:10 K33 Roughing

こともあろうに、笛が鳴った直後に匡史に手を出す暴挙に出る。

これで丸々2分間のツーメンアドバンテージ。絶好の同点機、いや、それ以上に流れを変えねばならない重要なポイントとなる場面を迎える。
しかし、コクドもクレインズのPPが好調であるのを充分に認識しているようで、なかなか決定的な場面作らせない抵抗を見せ2分間が過ぎ去る。しかし、パックはまだコクド陣内。ペナ箱からそこに加勢するまでに若干のタイムラグがある。その時間を無駄にはしなかった。

 
10:17 実質パワープレーゴール G47←20

ベンチ側ボード付近でパックをキープしてたダーシから、左45度のスロットに入り込んできた樺山への絶妙なパスをワンタイムで叩くとパックは左肩口の上、ゴールのトップに突き刺さるファインゴール。あの局面で、しかもワンタイムであの位置にシュートをコントロールできるのは、ダテに修羅場をくぐってないな、と唸らせるプレーだった。これで試合は振り出しに戻るも、その後は膠着、いや、どちらかというと時折見せるコクドの流れるようなパス回しに翻弄されかけていた時間帯もあったが、ひとまず同点で2ピリを終えた。

 12:10 C30 Roughing(代行#14)

Shots on Goal:C12、K13

(3)第3ピリオド
 「3ピリ勝負」である。この20分で先に点が取れるかが勝負の行方を思い切り左右する。そんなことは誰しもが判っている。判っているからこそ、「決めて」欲しいのだ

 3:05 K88 Interference

コクドゴール前に飛び込んでいった樺山を押し倒す。
まずクレインズに「勝ち越す」チャンスが訪れたのだ。しかし、スペシャル1つ目(19−20−71−33−47)では有効打を放てず、スペシャル2つ目(18−10−8−32−7)に託される。PPも残り僅かというところで、ゴール右に居た雅俊へクロスパスが通る。そのままゴールにパックを流し込むもK44が横たわりそいつを阻む。しかし、生きていたパックを逆サイドに入ってきた由宇につなぎ押し込んだ。一瞬、氷上に居たクレインズの選手の手が上がった、が、ゴール裏で無情にもウォッシュアウトのジェスチャーをするレフェリーの姿が、それを打ち消す。結局、パックは大きくクリアされアイシング(その直前にPPは終わっていた)。その直後だった。

 
6:15 勝ち越される G18←75

これもK75の自陣からの突進を止めきれなかった1つ目の守りに問題有り。結果的に最後はフリーにさせてしまうも、次郎との距離が詰まってしまいシュートは次郎が横転しながらも懸命にブロックした。しかし、リバウンドの処理ができず、詰めてきたK18に倒れこんだ次郎とゴールポストの間にできたわずかな空間にパックを流し込まれていた。

7分過ぎ、再びクレインズにスコアリングチャンスがやってきた。早めに放り込み太郎を走らせる3つ目の攻めがようやく実を結び、ゴール裏で太郎がパックを奪う。しかし、そこにコクドDFが執拗に絡む。その最中にポロっとこぼれたパックがゴール右(攻撃視点)横に出てきた。そこへ詰めていた小林がパックを叩く。直後、小林が手を挙げる。おそらく小林には、K44とゴールポストとの間にパックを流し込んだという自覚があったのだろう。しかし、パックはK44の背後を通り逆側から出てきていた。なんということだ。

 11:40 C71 Elbowing

時間は刻々と減っていく。そんな中での痛い反則。しかし2点差は致命的だ。必死にこらえたクレインズ。無事PKを凌いだ直後にコクドが動いた。

14分、氷上にはクレインズ3つ目が居た。クレインズ陣内でのフェイスオフだ。ここでコクドは1つ目をマッチアップさせる。コクドがホームチームだけに文句は言えない。したたかなベンチワークだとそのときは思ったが、まさかそれが本当に「したたか」だったと思い知らされるとは...。

 
14:53 痛い失点 G33←18←75

コクドの自陣からの守りから攻めへの転換はやっぱりスムーズなんだよね。あれよあれよという間にニュートラルゾーンを横切られ、やや高めの位置ながらもフリーにさせてしまったK33が繰り出したロングシュートが次郎の左肩口を破っていた。

勝負どころを心得ているというか、何と言うか...。

 17:58 次郎がベンチへ走り6人攻撃

2週間前に見せたミラクルの再現なるか?。しかし、今日のコクドは違っていた。クレインズがパックを持っても簡単にシュートを打たせない徹底した守りを披露。クレインズは中に入ってもパックが足元に来たり、スティックを上げられたりとコクドの「分厚い」守りに手を焼き、2度クリアされ時間は残り30秒。

 
19:54 力尽きた G33←77

クリアパックをフォスターが追い掛けキープしたがK77に突っ突かれるパックを奪われ、最後はもう大丈夫と上がってきていたK33にパス。正面から無人のゴールへ叩き込まれる。

Shots on Goal:C9、K19

「ここ一番」という試合には「必ず結果を出してきたチーム」を破ることはできなかった。何度も何度も全日本でコクドに負けるのはいい加減止めてほしいのだが...。今日の戦い方では正直言って厳しいものがある。今のままでは、仮にプレーオフに出ることが出来ても、コクドには勝てない。それが現実だ。それを謙虚に受け止め、3日後から始まる後期残り6戦に全力投球して欲しい。今のコクドを同じシチュエーションで叩くためには後期優勝するしかないのだから。

前に戻る