アジアリーグアイスホッケー 2003〜2004
12月6日(土)コクドVS日本製紙クレインズ(1回戦) 観戦記
(新横浜プリンスホテルスケートセンター)

(0)プロローグ
 アジアリーグに入ってから6連勝。前期の最終4試合4連敗を全て目の前で見た私には、申し訳ないがにわかに信じがたい状況である。実際の試合を観ていないのでわからないが、あの4連敗が何故今の6連勝になるのか、その理由を知りたい気もするし知りたくない気もするし...。それがこのコクド2連戦で明らかになる。予想とおりなのか、それとも...。

【クレインズ】
31−41
71−47−10−44−7
32−19−18−22−23
14−27−24−2−77
   13   −42−34
ケガ人続出で苦しい台所事情の中、原武の復帰はプラス材料。ようやくセットも固まりかけている顔ぶれ。1つ目、2つ目の活躍は言うに及ばずだが、アジアリーグに入って好調の匡史、史郎、飯塚、真治郎の3つ目が懸命にパックに喰らいつきチャンスメイクできるかがポイント。残念ながら健泰の出場なし。

【コクド】
39−44
18−33−8−5−11
22−77−13−28−37
10−40−12−2−88
19−14   −4

レフェリー:ランタラ
ラインズマン:赤坂、小野

(1)第1ピリオド
まず、コクドのダンプインを、いかに早くクレインズDFが追いつき、前線にタマ出しをできるかに注目していたが...、相変わらずである。放り込まれてはパックを先に取られ、さんざん引っ掻き回されるも、その動きを全く止められずシュートまで持っていかれる。ただ、立ち上がりの失点はペースを掴めないことは理解しているらしく、ビハインド・ザ・ネットやパス&ゴーに対してもゴール周りだけはキッチリと固めており失点を免れている。また、次郎もきっちりシュートに反応しリバウンドを出さない。攻め込まれているが、なんとか凌いでいる感じ。その後もクレインズは自陣で守る時間が長く、パックを奪えないまま脚が無くなり、敵陣にすら入れない。5分経過するも、未だクレインズのシュートはゼロのまま。
5分過ぎ、K40のゴール裏からのラップアラウンドをマークしていた樺山が交わされる。嗅ぎつけて上がってきたK2に渡るとフリーでワンタイムシュートが次郎の肩口へ。しかし、ここは次郎が鋭い反応を見せキャッチ。フィジカル面での劣勢は明らか。このピリオドは得点どころか、いつまで無失点でいられるのか、一体何点失点するのか、と思いたくもない感覚に何度も襲われる。しかし、クレインズには負けて欲しくないのだ。どうしてもコクドには勝って欲しいのだ。その思いは捨てたくない。それが7分過ぎに通じる。
久々に敵陣にパックが運ばれる。ここまでコクドの攻めに完全にひれ伏していたクレインズだったが、ここまで放り込んだパックをあっさり処理していたコクドDFの一瞬のハンドリングミスを突きパックを奪ったのは飯塚。そのままゴール裏まで運ぶと、

 
7:22 ファーストスコアリングチャンスをモノにする G13←27←24

飯塚からゴール前にパスが出る。そこを史郎が叩く(これが本日初シュート)もブロック。しかし、リバウンドを詰めていた真治郎が拾い、ゴール前にできた混戦を避けるようにゴール左サイドに移動し完全に態勢を崩していたK39を尻目にしっかりと叩き込んだ。まさに一瞬吹いてきた風に乗るかの如くワンチャンスをモノにし先制点を奪う。

 9:22 C23 Slashing

しかしコクドの連続攻撃を止められないクレインズ。最後はたまらずといった感じでスティックが出てしまう。
先制後のPKは注意しなければ、といった矢先に「事件」が起きる。一旦、コクドの攻めを切ったクレインズ。桑原がパックを奪い敵陣に入り込む。しかし、コクドもしっかり戻っており攻め切れないとみるや自陣に戻して時間を稼ぎに入る。ところが、自陣ブルーラインあたりで受け止めるハズのジョーが合わせ損なって後逸。自陣奥にパックが流れていく。懸命に追うジョー。ここぞとばかり突っ込むK77がクレインズゴー左後方で交錯するとジョーが転倒。レフェリーの手が上がる。

 9:45 K77 Highsticking(Major&GameMissconduct)(代行#19)

ジョー鼻から出血のため一発退場。しかも相手のキープレイヤーの一人がこの先、試合に出てこない(よくよく考えてみたら、K77にとってはいい迷惑だったかも。ジョーが後逸しなければパックを追っていくこともなく、ジョーと接触することも無かった訳だし)。そして1分半後にやってくる3分半のPP。更にリードを広げられる大チャンス。
しかし、4on4の1分半はピンチの連続。直後に即、3−2の数的優位を献上。最後はフリーでスロットからシュートを浴びるという目を覆いたくなる場面が飛び出すも寝転んだ次郎の足先にシュートが当たり難を逃れる。
11分22秒からPPに入ったが、これがなんともお粗末なPP。パスは遅い、シュートは打てない、パックは取られるの連続で自陣にパックを流される。PPも残り2分ちょっとというところで、やはりクリアされたパックを次郎が処理するために一旦クリーズを空ける。パックを大きく前線に流して攻撃再開と思った矢先、そのパックの軌道がやけに小さい。「おい、どこに出してるんだ、ごるぁ!(は取ってつけたものだが...)」。

 
12:27 クリアミス→オープンネット&3試合連続SHGを喫する G22

ガックリきたよ。
でも、PPは2分以上も残っている。そこで決めればいいんだ、けど...。相変わらずのパス回しの連続。それも敵陣のある一方のサイドばかりを使い続け、シュートを打てないまま無理な状態から無理パスをしパックを奪われ...。結局、このPPで放ったシュートは2本。ガッカリだね。

 15:28 K11 Hooking

メジャーを生かせず勝ち越せなかったと思ったら、ダンプインされたパックに飛び込んでいった匡史が転倒。さらにPPが続く、のだが...。目を覆うばかりのモタモタPPのおかげでパックを奪われると、追い掛けに行ったコクドプレイヤーを竹内が抑えてしまいコクドにアドバン。そのまま数的優位のまま攻め込まれ自陣で綺麗にパスを繋がれ最後はフリーでゴール右のスロットからシュートを浴びる。完全に1点ものだったが、シュートミスに助けられる。その前の時点でシュートを打たれても決められていたかもしれないが、いずれにせよ助かったと思いきやゴール前に突っ込んできたコクドプレイヤーを岸部が懸命に払いのけたところで笛。

 17:12 C32 Interfernce/C2 Highsticking

16秒間3on4、その後は3on5のPK。その前のPPを決められなかったツケが回ってくる。コクドのPPはクレインズのそれと違って、いかにも決まりそうな攻めを見せてくれる。悔しいが...。しかし、ここで踏ん張ったのがクレインズ。懸命にプレッシャーを掛けシュートミスを誘発。打たれてもゴール前を固めリフレクションもケアし、バタバタになりながらも守り切った。

Shots on Goal:C6、K12

結局、立ち上がりからほとんどパックを支配し続けていた差がシュート数の差になって現れた。ただ、敢えて言うなら双方ともラッキーパンチが1発づつ当たったというべきか。それにつけてもクレインズはフィジカル面でコクドに全く歯が立っていない。「このままならいつかやられる!」。

(2)第2ピリオド
その予感は当たらないで欲しい、と思った矢先。パックは目の前にあったはずなのに、あっさりクリアされるとまたもダンプインからコクドが先にパックを奪い、ゴール裏を通したパスからゴール前へセンタリング。なんとそこには「ここに来て下さい」と言わんばかりにポッカリと穴。

 
0:35 予感的中... G18←33←8

そのギャップにスーッと入り込んだK18にワンタイムで叩かれる。察知して前に出た次郎だが、一瞬早くマタを抜かれる。っていうかゴール前ガラ空きじゃ、いくら次郎が頑張ってもキツイでしょうに。

やっぱり、このままズルズル行ってしまうのか?。
しかし、1ピリは敵陣に殆ど入れなかったクレインズが、3つ目の史郎と飯塚で敵陣でしつこくパックに喰らいつき1ピリとは違うという動きを見せてくれる。
それに呼応するかのように、3分半から4分にかけて、本部席サイドのボード際を竹内が走り、雅俊がフォローしゴール前に突っ込む動きが実を結ぶ。1度目は竹内からのパスが通らずチャンスを潰したが、再び、同じシチュエーションを作ると、ブルーラインを越えたところで竹内→雅俊へ体を寄り添うようにパックが受け渡たされると、そのまま前進。お得意のゴールラインに沿ったゴール前への切り込みを見せる。K39が転倒しつつも一旦はブロック、しかし、

 
4:00 ゴール前での粘り勝ち G18←32(場内発表はノーアシストだったが、後で追加)

リバウンドを雅俊が自分で拾い、ゴール右サイドに回りこむ。既にあお向けになっていたK39をあざ笑うかのようにパックを放り込み同点に追いつく。短時間で追いついたことで流れは一気にクレインズに傾く...?。

 4:56 K33 Tripping

このPPを決めてほしいのだが...。相変わらず一方のサイドでパスをやり取り。もっとワイドに振れ、ないんだろうな、だってパススピードもプレーヤーの動きも遅いんだもん。

その後、3分程膠着状態が続くも、1ピリよりは若干動きが改善されたクレインズ。攻めに関してはなんとか格好がついてきたが、自陣での守りは危なくて見てられない。

 10:22 C2 Holding

巨体を利して懸命にゴール前にパスを出そうとするK33を懸命に止めようと体を張っている岸部。だが、岸部に体を預けるように転倒してしまう。岸部がつかんでいたから転倒したんだ、という判断なんだろうけど...。
それにつけても、コクドのPPは点が入りそうな感じがしてワクワクするわい(って敵を褒めてどうするよ)。パスもシュートも早いしゴール前にえげつなく入っていくし。でも今日のクレインズはしぶとかった。コクドのシュート精度が悪かったのにも助けられ無失点で切り抜けると、

 12:46 K8 Roughing

クレインズゴール前での競り合いから手を出してくれる。見えてなければ何してもいんだろうけどね。裏を返せば、コクドが「したたか」なんだろうな。

 13:16 K13 Roughing&Missconduct(minor代行#19)

ところが、これもクレインズの攻めがカットされ、コクドがクリアしたパックの処理を自陣でモタモタしているウチにK13が絡んできただけの話。コクドにしてみたらアグレッシブな動きが裏目に出た感じ。そいつが連続したもんだから文句を言いたくなる気持ちもわからんでもないが...。

 15:04 K28 Slashing

ところが、1分半にも及び5on3のPPを決められず(手数は出ていたよ。ツーメンアドバンだからねぇ)。しかも、5on4になってからK28の反則がアドバンテージとなり6on4の攻めに移行したにも関わらず決められず。更に、この5on4も惜しい場面は作るもゴール前の詰めが今一歩。なかなか勝ち越せずイライラが募る。

 18:10 K Delay of Game(#12)

ようやく落ち着くかに見えたコクド陣内でのフェイスオフ。ところが、コクドベンチのドアが開いたまま。レフェリーとコクドベンチ、そしてプレイヤーが何やら言葉のやり取り。「あんたの手を挙げるのが遅いから」、「いや、そっちのメンバー出しがキッチリしてないからさ」とでも言っているのか?。遅延行為でPPが転がり込むと、

 
18:42 ようやく決まったPPで勝ち越し! G27←2

ようやく積極的にシュートを放ち始めたクレインズ。ここも、クリアされかけたところを岸部が拾うと、ベンチサイドポイントの位置からシュート。一旦、K39がフリーズしたかと思われたが、何故かパックがゴールネットを揺らしている。私の視点からは死角になっていたのだろう。K39の左脇からパックがこぼれ、そこに詰めていた史郎がそのパックを押し込んだものと想像する。やはりゴールはシュートから生まれる。止められても止められてもシュートは打つべし!。

 19:04 C44 Tripping

終了間際の反則...。嫌な予感がしたが、ここはキッチリ守り2ピリをリードで終える。

Shots on Goal:C21、K6

コクドは反則しっぱなしだからこんなシュート数になるのは当然のこと。ただ、決まったPPが1回だけというのはなんとも寂しいが、再逆転できたのだから良しとすべきか...。

(3)第3ピリオド
怖いのは2ピリ同様立ち上がりの失点(しかもPK)は絶対に避けたい。何としても...。祈るようにリンクを見つめる。ここは祈りが通じた(単に選手が頑張っただけなんだろうけど)。これでペースを掴み、追加点を欲しいところなんだが。

 4:35 C44 Interference

自陣でのコクドの連続攻撃に脚が止まってしまう。
ところが、コクドのPPも決まらない。敵陣でパックをこぼしても競り合いでことごとくパックを持っていくコクド。なかなかカットできないクレインズ。しかし、今日はコクドシュートに対してゴール前をキッチリ固め、リフレクションや次の逆サイドへのパスを防いでいたクレインズ。次郎の好守もあり失点を免れている。

 7:17 K33 Slashing

この反則があった時点でクレインズにアドバンテージ。その間に前線の雅俊へロングパスが通ると相手DFと1対1。レシーブした時点で一旦、DFを交わそうとブレーキングしたところ転倒し、あえなくアドバンテージオーバー。ただ、DF交わす前にシュートは打てなかったものかなぁ...。
ところが、突き放せないクレインズ。1ピリのPPに比べれば手数も増えまだマシではあるが、ゴール前への詰めはもっと厳しくてもいいのでは?、と思うのだが。

 9:19 C Delay of Game(#14)

今度はクレインズが交代遅れ。2ピリに犯したコクドの反則と全く同じ。さっきはこの反則で勝ち越し点を奪ったよなぁ、よもやここで失点なんて...、する訳がない。いや、して欲しくない。見ているこっちが弱気になってどーするのよ。

時計は13分。このまま行けばクレインズが勝つ。しかし、もう1点。この時間帯で決めればダメ押しになる。パックはコクド陣内にある。久々に見せる連続攻撃だ。ゴール裏には樺山がパックをキープしている。「誰かゴール前へ!」と思ったところに、スーッと入っていったのはクレインズのユニフォーム。パスが出た。通った。シュート!。

 
13:35 貴重な追加点 G34←47

入ってきたのは原武。まんまと樺山からのセンタリングをキッチリ合わせゴール右に突き刺す。勝利を決定づけるゴールをケガで出遅れていた原武が決めてくれたことで、私は思いっきり喜んでしまい手を挙げてしまう。すると、横で見ていたカミさんが構えていたカメラのレンズに当たり、カメラが顔に直撃してしまい不服そうな顔をさせてしまった。スマン、申し訳ないが許してくれ。

ところが2点差になってコクドが怒涛の攻めを見せる。
15分過ぎ。K14→12→18と自陣で軽やかにパスを繋がれ、勿論最後はフリーになったK18のシュートを浴びる。「やられた」と思いきや枠を外してくれた。助かった〜。
16分過ぎ、樺山がゴール脇で一瞬、フリーになるもハンドリングミスでダメのダメを押せない。
逆に17分。オフサイドをギリギリで逃れたK8から33へパスが通りフリーになるも次郎が懸命のセーブ。
しかし、

 
18:00 今日は2失点で止めて欲しかった... G33←28

一瞬のスキを突かれる。タテ一本がブルーライン中央でK33に通ると抜け出されてしまい、次郎は前に出てくるも肩口を抜かれゴール右上スミに突き刺さる。ここなんだよなぁ、こういう失点を減らさないと、本当に勝たねばならない試合をモノにできないよ。

残り2分。クレインズがパックを奪い敵陣で攻め込み6人攻撃をさせずに粘っていたが、残り40秒でパックを奪われるとコクドが上がっていく。そしてゴーリーも上がる。しかし、レフェリーの手が上がっている。

 19:43 C19 Interference

上がっていくプレイヤーを邪魔していたようだ。残り17秒だが、自陣でのフェイスオフ。フェイスオフを取られ打たれりゃ...。不安がよぎる運命のフェイスオフ。コクドに出る。DFからのシュート。ゴール右横にK18が角度を変える。「ヤベッ!」、しかし、パックはゴール脇を通過してくれた。このパックを拾いクリアしタイムアップ。

Shots on Goal:C6、K11

全般的にコクドの動きが勝っていたが、1ピリは双方共にPPのチャンスを逸し、2ピリはコクドが逆転し、コクドペースになるかと思いきや、雅俊の個人技で踏みとどまるとその後、約8分にも及ぶショートハンドでコクドが攻めきれずクレインズが何度も何度も失敗したPPをようやく生かし逆転、3ピリにようやく立ち直ったクレインズが一瞬のスキを見逃さず貴重な追加点を挙げ逃げ切るかと思いきや終盤にカウンターから失点。終わってみれば1点差という際どい勝利。PPでの凡ミスによる失点。そして2ピリ開始早々に逆転されるという「悪い流れ」でありながら勝ちをもぎ取ったのは、コクドのPPを無失点で切り抜けたことが要因の一つなのか?。だからと言って「守り勝った」という印象も何故か薄い。勝ちは勝ちで喜ぶべきことだが、2ピリ(だけでなく試合を通じてだが)のコクドが見せた激しいチェックがことごとく反則になっていなければ、惨敗してもおかしくなかった試合だったかも知れない。何度も転がり込んだPPが未だに全くモノになっていないのも気に入らない。言いたくは無いが(って言ってるけど)桑原と樺山の実績は認めるが、彼ら2人が入ったPPは、去年のクレインズのPPよりもスピードが無く、連携と呼ぶには程遠い。相手にとって脅威になっているとは言い切れない。もっとできるハズでしょうに!。

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