アジアリーグアイスホッケー 2003〜2004
1月17日(土)日光アイスバックスVS日本製紙クレインズ(3回戦) 観戦記
(日光霧降アイスアリーナ)
(0)プロローグ
この日、東京は「雪が降る」と早くから脅かされていた。電車で行けばいいのだが、10月の霧降で初のマイカー観戦が2連勝となったので、密かに車で行くことを心の奥底にはしまっていたのだ。だから、雪が降る前に東京を離れちまえばいいんだ、という魂胆が沸いてくる。気が付くと、試合開始3時間前には日光に入っていたのだった。勿論、ノーマルタイヤで(笑:でも、チェーンは携行してるよん)。
日光に到着するなり、携帯でネットアクセス。「まさか」が起こるのか?。恐る恐る、韓国アイスホッケー連盟の速報ページを見る。1ピリ終了2−0でハルラリード。「まさか...」。霧降入場時には3ピリ9分で3−1でやはりハルラリード。「よもや...」。しかし、直後の2度のペ^−ジ更新を図ると、3−2となり、3−3となっていた。「さすがコクドだな...」。その5分後、再度アクセス。3−3でOTに突入していた。「まだコクドには勝ち点2をゲットするチャンスがある。あそこはそういうチームだ」。ま、人のこと心配する前にクレインズを心配せねば。ようやく入場。座席に荷物を置くと、往生際が悪いのか再度アクセス。すると、4−3でハルラが勝っていた。OT終了28秒前。この時点でクレインズにマジック1.5が点灯した。丁度、1週間前に失ったはずの自力優勝が転がり込んで来たではないか。
この「お膳立て」をクレインズはしっかり「頂戴」することができるか?。まずは、今日勝たないことには話にならん。4の5の言っているよりも、まずはクレインズを勝たせなければ。
【クレインズ】
30−41
18−20−32−23−22
10−47−71−34−7
8−19−14−77−2
24−27−13
ようやく噛み合ってきたか、クレインズのセット。しかし、アジアリーグに入ってから失点が多いのが気になる。どこかで「緩む」ところが出てしまうんだろうな。土曜日の霧降は勝率が悪い。相手に合わせず、立ち上がりから強い当たりと早いタマ出しができれば...。
【バックス】
1−37
32−9−18−24−34
74−16−14−3−8
41−21−15−19
10− −11
レフェリー:赤坂
ラインズマン:川村、吉新
(1)第1ピリオド
久々に観戦記メモを握った私。はて、何を書くんだベぇ、と逡巡してしまった試合開始直後。そうだ、マッチアップを見るんだ。というわけで、クレインズ1つ目に対し、バックスは2つ目。クレインズ2つ目にはバックスの1つ目が対峙する。
しかし、立ち上がりからスピードはあるものの、動きが鈍い。矛盾しているようだが、一言で言えばパックが敵陣に入っていかないのだ。バックスもさほどスピードがある訳ではなく、パックはクレインズが支配するも、バックスの早めのチェックに手を焼いているようで、結果的にパックが前に進まないという感じか。4分過ぎまで双方ともシュート無し。
しかし、両チーム通じて最初のシュートがクレインズのピンチになった。敵陣に放り込んだパックを生かせず、本部席側ボード際にパックを通されパックキャリアの突進を許すとクレインズDFとの1on1。早めのシュートがブラインド気味に飛んだが、ここは次郎がリバウンドを出す。その後のバックスのゴール前への突っ込みを許すもフリーズ。
6分過ぎ、同じように本部席側ボード際を抜けてきた酒井がやはり1on1の態勢。クレインズDFとの距離があったため、クレインズ陣に入った時点で強烈なシュートを放たれる。次郎がなんとか肩でブロックしたが、リバウンドがゴール正面に転がる。先にバックスに叩かれたら1点もんだったが、ここはクレインズが先にクリアしピンチを脱する。
7分過ぎ、ようやくニュートラルゾーンをまたぐタテパスが山野につながり中央突破。1on1からDFを壁に見立てたシュートを放つもB1の正面(これがクレインズの初のまともなシュートだった)。
しかし、流れはバックスにある。10分過ぎ、今度は自陣に放り込まれたパックをつながれ、DFのマークがワンテンポ遅れていき、最後はゴール裏からラップアラウンドを喰らうと、ゴール前逆サイドは完全にがら空き。ここにバックスプレイヤーが入ってきていたら、やはり1点もんだった。
非常に悪い流れである。クレインズがパックを持っている時間は長いが、有効な攻めができていない。敵陣で激しく動き回る連続攻撃、厚みのあるしつこい攻めだ。それが、11分にようやく現れた。氷上は1つ目。ポイントの位置から放ったシュートを起点にゴール右でパックを拾った竹内がパーサイドのフリーになっていたダーシにパスが通った。「やった!」とい手を挙げたが、パックは逸れている。「え、なんであそこでダーシが外すの?」と思った矢先、逸れたパックを雅俊が拾い、ゴール裏を右から左に回り、バックS守備陣の隙間を縫いながら大きな弧を描くようにスロット正面までパックをキープ。フォーカスを定めると、
11:28 見事な個人技 G18
見事にグラブサイドを破りゴールネットを揺らした。ダーシがシュートを外した直後だっただけに、この先制点は貴重だった。
12:36 C10 Elbowing
これはついてない、っていうか...。直前に3−1隊形のチャンスを潰し、カウンターを喰らうところを、なんとかパックを奪い返したライアンが攻め直そうと敵陣からニュートラルゾーン方向へ逆走しつつもパックキープしているところを背後からスティックでチェックしていたバックスプレイヤー。結局、パックを手放してしまい、パックはその場に置き去りになったのだが、それを自陣方向からフォローしに行った由宇とチェックしていたバックスプレイヤーが正面衝突。しかも、悪いことにチェック後態勢を崩していたバックスプレイヤーに由宇が当たったもんだから、まさに出会い頭。ペナ箱に向った由宇、キョトンとしてたもんね。
最初のPKはバックスにきっちりボックスで攻められるも、シュート1本に抑え守り切った。
15分以降、クレインズがパックも攻めも優位に立ち始める。しかし、3つ目がシフトしている連続攻撃の最中に、バックスがクリアできなかったパックを拾った太郎からゴール左前の匡史につながりフリー。しかし、B1との距離が近すぎ、パックを動かせず。
16:29 B3 Holding
そして、4つ目がバックス陣内で粘る粘る。史郎が再三ボード際でパックを抑えつつも激しく動きつづけ、反則を誘う。
今度はクレインズのPP。これもボックスは組むのだが、シュートを打つタイミングが若干遅れ気味。パックキャリアとレシーバーとも呼吸が合わず持ちすぎ。敵陣で分厚い攻撃まで持っていけずチャンスを潰す。
その直後、ニュートラルゾーンでやはり、ボード際を上がっていくバックスプレイヤーのスティックを原武が引っ掛ける(っていうか、原武の肩に一瞬引っ掛かって態勢を崩しただけなんだけど)。ディレイドコーリングペナルティーでバックスにアドバンテージ。そのままパックはクレインズ陣内へ。反則が決まり一瞬、腰を上げてしまったクレインズ。それが「甘さ」だった。結局、パックに触れないまま6人攻撃に持っていかれてしまうと、ゴール前にフリーのプレイヤーを作ってしまう。
19:35 不用意な失点 G74←9
腰上げた時点で終わりでしたね。だってパックキャリアに追いつけるどころか、半分ボックス組まれた感じだったから。最後はクレインズベンチ前のボード際でパックを拾ったB9からゴール右手前に居たB74に通り、軽く叩かれるとパックはゴール左に吸い込まれる。
Shots on Goal:C9、B10
スピードが無いです。どっちも。ただ、1ピリ終了間際の失点が明らかに気の緩みから出た結果だけに、心配。パックは持てているんだけど、まだクレインズプレイヤーの背中からは「パワー」を感じとることができない。「どうしても勝ってやるんだ!」という気持ちがまだ見えてこない。このままでは2ピリが怖い。
(2)第2ピリオド
立ち上がり、1分過ぎにピンチを迎える。3−2隊形で一人足りなくなったところに、山野が加勢し、辛うじて失点は免れたが、
1:34 C10 Higsticking(Double)
顔に入ったのか?、遠目で見えなかったが、何故かダブル。1ピリ終盤の失点をここでひきずるとバックスペースになってしまう。このPPを無失点で切り抜けるか、早くも試合は中盤のヤマを迎える。バックスのPPは単純明快。ゴールに向ってパックを集め、寄せていく。ゴール前に入ってくるプレイヤーを次郎のブラインドにならないようにDFが踏ん張り、ボックスが小さくならなければ切り抜けられるハズ。それでも、最初の2分は危なかった。ただ、次郎が転倒するような場面までには至らなかったが...。残り2分は、バックスの方で勝手に焦ってくれたようで、クレインズのボックスの網に何度もかかり無失点に切り抜けた。
これでクレインズに流れが来るかと思ったのだが、バックスも踏ん張り、カウンターの応酬となった。
6分過ぎ、太郎→匡史へのタテパスが通り、DF2人の間をスピードで突破しシュートまで持っていくもB1との距離が近く、ちょこんと触ったパックは力なく、難なくフリーズされる。
7分過ぎ、自陣での連携ミスからパックをクリアし損ないバックスに浅い2−0態勢を許す。最後はB18がにじり寄るも辛うじて次郎がブロック、ピンチを免れる。
8分過ぎ、1つ目が敵陣で連続攻撃。最後はビハインドザネットの雅俊からベンチ側ポイントの位置に居た小林にパス。その時点でバックスゴールとの間には誰も居ない。当然、ワンタイムで狙ってくると思ったが、そのスペースを突進し、ゴールににじり寄っていくも、バックスDFにシュートを止められてしまう。距離はあったが、ワンタイムで思い切って勝負してほしかった。
9分過ぎ、2つ目がこれまた連続攻撃。ゴール脇、裏、コーナーを巧みに使い、最後はバックドアを取るも、なんとライアンのハンドが逆になっており充分な態勢でパックが叩けず、辛うじてあわせたパックはB1とゴールの間を真横に抜けていく。
10分過ぎ、クレインズが自陣から出そうとしたパックをブルーライン際でB9に粘られ、パックを奪われると、ゴール右へフラフラと流れる、そこに戻ってきたB32が拾いバックハンドでゴールを狙うも枠の上に逸れ命拾い。
このままだとロースコアの接戦。「気が付くと3ピリ」になりかねない。この重要な局面で迎えた11分過ぎ。1つ目が攻め込んでいるものの、ゴール前での連携が悪く絶好のスコアリングチャンスを逃したかに見えた。それでもパックはダーシがキープ。竹内につながりゴール左脇あたりで竹内と体を入れ替えるように雅俊につながれる。しかし、角度が無くシュートは打てない。その後、どうつなぐか、と思った矢先、ゴール左脇で自分の体を円を描くように180度回していた。パックはどこへ?。
11:40 貴重な勝ち越しゴール G18←32←20
なんと、パックがゴールの中に転がっていた。雅俊にはゴールポストとB1の足元にあるわずかな隙間が見えていたのか、いや、見えていたとしか思えないプレーだ。B1は完全にゴール左(攻撃視点)ポストに体を寄せていたから。しかし、1ピリに続き、雅俊の個人技でリードを奪うと、
12:06 B34 Highsticking
突き放す絶好のチャンス。またも、樺山とブルーライン中央に居るジョーとの間のパスが何度かやりとりされる。「打て!打て!」。また、いつものPPを見せられるのかとおもいきや、ジョーからゴール右(本部席サイド)のスロットに居た樺山に渡ると、すぐさま密集しているゴール前の隙間を縫ってパスが逆サイドに通っていく。そこにはフリーのライアンが待っている。あっさり決まった、かと思ったパックはなんとゴール左のポストに当たり跳ね返る。「おい!」と叫ぶも、跳ね返ったパックを再度ライアンが拾うと、
12:50 今度こそ追加点 G71
おかげで、樺山とジョーのアシストが消えてしまった(苦笑)。
13:08 B21 Crosschecking(Slashingかも、レフェリーのシグナル見逃し&場内放送聞こえない)
前の反則もこの反則も、いずれもクレインズがバックス陣内でパックをキープしつ続ける中でバックスが犯してくれた。このPPでも、やはりジョーがブルーライン中央に位置するアンブレラ。ゴール右のスロットにはダーシ。やはり、その間でパスのやりとりがあったが、今度はダーシからジョーに戻ったパックをジョーが渾身のスラップショット。しかも低めにコントロールされている。
14:06 反則誘いPPで仕留める理想的展開 G19←7←20
ゴール前で博史がスティックを出す。パックは綺麗にゴールネットを揺らした。最初、G7、A20発表だったが、すぎさまG19、A20に訂正。「それも違うでしょ!」。公式記録で消されたジョーのアシストが復活していることを祈る。
どうやら、これで流れはクレインズのものになった感がある。不用意な失点さえしなければ、の話だが...。
16:57 B14 Interfernce
バックスが2−1隊形で攻め込もうとしている中、加勢しようとB14が原武ともみ合い倒してしまう。
これで駄目押しのPPを決めてしまえ、と思ったら、クリアされたパックを敵陣に持ち込もうとしたブルーライン越えでモタモタしてしまいオフサイド。この裁定にクレインズベンチから不満の声が上がる。すぐさまレフェリーが両手を腰に...。
17:40 C Bench Minor(代行#14)
もったいないー。
Shots on Goal:C10、B7
3ピリ、変に守りに入らなければまず勝てる。流れはクレインズに来ている。
(3)第3ピリオド
開始直後に、いきなり竹内−ダーシの2−1隊形となる。ダーシ→竹内へパスが通りB1と1対1。しかし、パックを上げられずゴールを割れない。こぼれたパックがダーシに渡るも、それも枠を外してしまう。あまりにも絶好のチャンスが転がり込んだので、ビックリしたか?。
2分過ぎにも3つ目が波状攻撃。太郎、匡史が立て続けにシュートを浴びせ、B1は完全に転倒。そのリバウンドを更に博史が叩くも、これもパックが充分に上がり切らず、B1の腰に当たりブロック。
こういうチャンスはキッチリ決めて試合を決めて欲しかったのだが...。
だが、流れはやはりクレインズに来ていた。2つ目がバックス陣内で30秒異様以上もの長い攻め。ようやくクリアできたに思えたパックは山野がブルーライン手前で止める。すぐさま、シュートを放つ。それもハーフスピードだ。連続攻撃でようやく態勢を立て直したB1。その矢先に飛んできたパック。しかもハースピードでタイミングが取れず、スティックが出ない。バタフライでパックをお尻で抑えこもうするも、
5:09 勝負を決するゴール G10
綺麗にマタを抜けていた。
ここでバックスはB1橋本→B37佐藤に交代。私は彼の公式戦初マスクを見ることになる。ウチのカミさんは明治に居た彼のマスク姿以来とのことで多少興奮していた(笑)。
6分過ぎ、1分近くも4つ目がバックス陣内で連続攻撃。バックスはパックを奪うよりも、動きを止めて笛を取るのが精一杯。たまに攻めても攻撃が単調。クレインズのDFもきちんと戻っており、ピンチの芽は早めに摘み取っている。
8:46 C71 Crosschecking/B34 Highsticking
4on4になり、自陣からあっさりパックを出すクレインズ。樺山からのパスがニュートラルゾーンの原武に通り、その時点でパーサイドの山野と2−1隊形。DFのスティックを交わすフリップパスが山野に通りノーマーク。
9:00 駄目押し G10←34←47
最後はゴーリーの右脇か肩口を抜く。
これで勝負は完全に決まった感があり、クレインズがほとんど攻めっ放し。しかし、どうしても点を取ってやろうという気が失せているように思えた。クレインズの各セットが敵陣で長い時間、居座ってはいたのだが...。
このまま6−1で終わってくれれば良かったのだが...、
15:46 甘さが出てしまう G14←16←74
自陣での守りにちょっと気が抜けた感じがした。チェックも甘いしワンテンポ遅かった。そこを突かれた。ゴール前ガラ空きにしちゃうんだもん。その前にコーナーでパックキープしていたB16へのチェックが遅かったところからほころびは見えていたが...。
その後は双方共に見せ場なく、終了。
Shots on Goal:C9、B4
久々にクレインズの試合を見た。まだまだ「甘い」ところがあるものの、試合の中で悪いところがなんとか修正できたのが勝因か。あとは「点を取るべき男」が先制点、勝ち越し点と試合のカギを握るゴールを挙げたことも勝因の一つだろう。試合を通じてバックスにスピードがあれば、1ピリのクレインズのままではやられてたハズ。明日の試合、今日の2失点の原因を作った「チェックの甘さ」、「パックへの執着」を忘れず、決めるべきときにしっかり決める。もっとシュートを浴びせる。今日と同じ試合運びではダメだ。終始、相手を圧倒できるだけの力はあるはず。できるはず。やれるはず。だから「やれ!」。そして、
もぎ取れアジアの冠! 絶対勝て!クレインズ!!
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