第38回日本アイスホッケーリーグ レギュラーリーグ前期
10月4日(土)日光アイスバックスVS日本製紙クレインズ(1回戦) 観戦記
(日光霧降アイスアリーナ)
(0)プロローグ
「クレインズは霧降アイスアリーナで日光アイスバックスに対して連勝したことはない。」
12試合という短期決戦の前期で優勝をもっていくためには(前期だけじゃ困るけど)1つの負けが命取り。そこへ持ってきての「鬼門・日光」での開幕戦。「勝つための補強をした」というクレインズ。果たしてその補強が「形」として実るのか。
開場1.5時間前に霧降の駐車場に到着した、のだが...。車が少ない。そして、リンクの入り口前が見えてきた、のだが...、人が少ない。日光での開幕戦なのにバックスファンはどうした。春名、コフマン、高橋朋成の離脱は大きいのか?、それとも、今季から全席指定になったからなのか?。そのウチ埋まると思っていたリンクも8分の入り。所々に空席がある。今日、日光でお祭りがあって大谷川で花火が上がっていたから、もしかして祭りのために人が来ないだけなのか?。とにかく、去年まであった「殺気」がリンクに感じられないのは何故か。
【クレインズ】
30−31
71−20−32−7−23
8−19−10−22−34
18−47−14−72−77
13−27−16
任田と吉田はやはりメンバーから漏れてしまった。プレマッチでは頑張っていたが、やはりこの顔ぶれの中に入るのはまだ苦しいか。一つ目のウィングには竹内か雅俊か、どっちが入るのか注目していたが、やはり竹内。スピードよりも正確性、安定性を取ったのか。
(いくぞ!)
【バックス】
1(橋本)−42
15−9−81(井原、ユニフォームを忘れたようだ)−34−19
32−41−97(上野)−3−8
74−14(小野)−10−24
11
レフェリー:川村
ラインズマン:小野、星野
(1)第1ピリオド
立ち上がりからクレインズがパックを支配。早くも優位に試合を進める。
パスはうまくつながらないが、その分をダンプインからパックへの飛び込みの速さ、接点での体の入り方で補い、パックを継続してつなぎシュートにつなげる。自陣に戻されたパックも危なげなく前線に出すことができ、バックスにチャンスすら作らせない。バックスの動きが堅いのか、クレインズの動きが上なのか、いずれによせ、それを象徴するようなプレーが2分過ぎに飛び出した。
自陣に戻されたパックをジョーが処理し、ニュートラルゾーンの竹内にタマ出し。すぎさま、ブルーライン上にパスを出すと桑原がブルーライン中央付近でレシーブ。バックスのプレイヤー3人をウラに置いていった竹内からのパスで桑原は半ノーマーク。前に出たB1に対して、一旦、左にフェイクを入れ動きを止めると、右に大きく回りこみ、B1のシュートコース消しを一瞬のウチに無意味なものにすると、フェイスオフサークス中心あたりの角度的に厳しいかな、と思わせる位置からシュートを放つ。
2:17 クレインズ今季の先制ゴールは移籍組 G71←32←7
ゴーリーと角度的に厳しいゴールまでの隙間を冷静に抜きゴールネットがあっさり揺れる。
(もしかしたら、竹内とジョーの役割が逆だったかも知れません。記憶が曖昧で申し訳ない)
4:51 B81 Hooking
では、パワーアップした(であろう)パワープレーを見せていただきましょう。1つ目は71−20−10−32−7、2つ目は18−47−8−23−72というスペシャルセットを繰り出したものの、どうしてもボックスを組んでからの動きが遅く、動きが足りないのでバックスの守備陣形が崩れない。
ここで追加点を奪えなかったことが後々考えてみれば問題だったのかも知れない。まだ、動きの悪いうちに優位に達べく追加点を奪っておけば...。
案の定、8分過ぎあたりから、1年のブランクを感じさせないB1のスーパーセーブがファンの後押しもあって炸裂し始める。ビハインド・ザ・ネットの史郎から出されたセンタリングをワンタイムで叩いた正和のシュートを正面で抑え、ダーシ&桑原のコンビネーションから最後はダーシから桑原へバックドアが決まるであろうパスも反応鋭く好セーブ。
そのうち、攻めに熱中するあまり、カウンターを喰らう。2on2でありながらも攻め込んでいくバックスの攻撃を早めに摘んではいうのだが、その後の自陣でのパック処理が遅く、バックスにパックを奪われシュートを浴びる始末。決定的なピンチには至ってないが守勢に回ったときの対応の遅さ、ルーズパックの処理、そして前線へのタマ出しがまだ遅い。しかし...。
14:22 ラッキーな追加点 G8←77←19
(2点目を奪った二瓶太郎と仲間達)
敵陣でのフェイスオフを奪うと、ベンチサイドポイントの位置から勇がシュート。しかし、前に溜まっていたバックスプレイヤーに当たり跳ね返りパックがあまり前に進まない。しかし、再び勇が拾い、今度はゴール右脇(GKから見て左)あたりにパックがフワリと飛んでいく。そこに立っていた太郎が合わせたのか、あまりにもあっさりとゴールが決まってしまう。
まさか、この追加点で安心したんじゃないだろうな...。
直後の15分にB32に匡史顔負けのスピードであっさり自陣に入り込まれラップアラウンド。DFはついていたものの、最後にはラップアラウンンドを許しシュートまで持っていかれる。リバウンドを先に処理しているから良いものの、いつかB32にはやられるぞ、という心配が募り始めたのは1ピリ後半の印象。
Shots on Goal:C17、B8
バックスがそろそろ眠りから覚めつつある、ということに気付いてくれるといいのだが...。
(2)第2ピリオド
不安は的中する。
立ち上がりからカウンターの応酬も、バックスにスピードが戻ってくる。
1分過ぎ、やはりB32にラップアラウンドを許す。ここも次郎の冷静な対処で事無きを得たが...。
2分過ぎ、2つ目が敵陣で連続攻撃。さかんに敵陣でパックはキープするのだが、何故かシュートを打たずパス、パスに拘っているウチにパックを奪われ、またもやB32にカウンター。これは原武がブルーライン手前で食い止めたが、そのカウンターを奪い原武が放ったゴーリー左足元というコースにコントロールされたミドルシュートをキッチリキャッチ。
4分過ぎ、バックス、ダンプインしたパックへの集散が早くクレインズ陣内でのパックをキープし執拗にゴールに向っていく。クレインズもスピードなら負けない匡史と由宇がさかんに敵陣で入り込み掻き回そうとするも、徐々に気持ちが入ってきたバックスのプレイヤーがその攻撃の芽をきちんと潰しシュートを打てないまま中途半端に攻撃が終わる。
6分過ぎ、負けじとダーシ→桑原へのタテパスで1on1。最後は左サイドから桑原がミドルシュートを放つもポストに嫌われる。
(「追加点が欲しい!」 懸命にバックスゴールに向かう竹内)
それを最後に、アウエィ側で見ていた私の前でクレインズのチャンスが訪れることは無かった。
7分過ぎ、自陣に放り込まれたパックにバックスプレイヤーが殺到。ピンチを迎えるもなんとかパックを取り戻したのがゴールやや左手前。しかし、そこで信じられない出来事が。なんと、DFがそのパックの処理を中途半端な形で終わらせたことで、パックが自陣に残ってしまう。しかも、現在位置とほとんど変わらない場所パックがフリーでこぼれている。おい、そこはスロットだろ!。
7:59 信じられないミス G41
そのこぼれたパックを叩いたシュートが決まってしまう。だって、そんなパックがシュートになって自分に飛んでくるなんて思わねぇもんなぁ。敢えて、誰がミスしたかは書かないけど、それ以前から氷上のプレイヤーがみんな腰高で動きがスローだったように見えたのは私だけではなかったはずだ。
不用意な失点から、またしてもクレインズは「鬼門:日光」という闇の中に引きずり込まれていく。
10分過ぎ、またもや自陣でのクリアミスをバックスプレイヤーに突っ突かれるとフリーのB81にナイスパスになって出てしまう。肩口を狙った鋭いシュートを放たれるも、次郎が辛うじてセーブ。
12分過ぎ、今度はB14にニュートラルゾーンを抜かれ一瞬フリー。すぐさまシュートを打たれるもここは次郎が鋭い反応を見せセーブはしたが、パックがゴール左にこぼれる。クレインズDFだれも居ない。しかし、先に叩いたバックスプレイヤーのシュートミスに助けられ、パックは再び寝転んだ次郎のスティックに当たり、これまたセーブ。
まさに1ピリと2ピリが反対になった感じ。面白いようにニュートラルゾーンを駆け抜けクレインズ陣内に入り込むバックスプレイヤー。戦力不足だとかは問題ではない。「気持ち」だ。バックスの「気持ち」の前にクレインズは完全に「受け」に回らされている。
14:52 C19 Crosschecking
そしてキルプレー。流れは完全にバックスだ。しかし、4on5できっちり守らねば、という意識がクレインズに芽生えたか、この2分間はバックスにチャンスすら与えない守りを見せる。何故にフルストレングスでそれができないんだ!。
Shots on Goal:C12、B17
(3)第3ピリオド
2点取って安心してしまったのか、気がついたときには1点差で尻に火がついているにも関わらず、バックスの攻めばかりが目立った2ピリ。勝負の3ピリで流れを掴むのはどっちか。先に点を奪うのは、というより、「気持ち」を強く持ちつづけていられるのはどっちなのか。
(「ゴールは許さない!」 キャプテンと太郎)
しかし、僅差の試合になったバックスはしぶとい。1分過ぎまでのクレインズの2度の攻めをB1の好守で凌ぐと、2分、3分とB32がクレインズゴールめがけて突進、ラップアラウンドと攻撃の起点となる動きを立て続けに見せる。ここも次郎が好守を見せゴールを割らせない。しかし、4分過ぎ。
「あれ、今、パックはバックス陣内にあったよなぁ」、と思っているウチにあれよあれよとパックがニュートラルゾーンを抜け2on1の形になっているではないか。間にいるのは中島谷。ゴール右サイドからパックキャリアのB9からラストパスが出る。中島谷、必死のDFも無情にもパスが通ってしまう。ここまで再三好守を見せてきた次郎が横転する。
4:23 追いつかれる G81←9←8
この場面、どっかで見たことあるなぁ。あぁ、そうだ、STVカップでの王子戦と一緒だ。なんて感心している場合ではない。あまりにもふがいないクレインズの姿を見て怒りで体が震えているのがわかった。
「顔を上げろ!、前を向け!」
追いつかれると元気が無くなるクレインズの悪いパターンだ。しかも、ここは霧降だ。
追いついたバックスの勢いはとどまらない。クレインズもダーシや桑原が強引にニュートラルゾーンを単独で抜けようとするも、敵陣に入ったときには既にパックは殺されており分厚い攻めにつながらない。バックスのゴールに向う推進力とパックを奪い合う接点での強さにクレインズは手を焼いているのは明らか。それを最後の最後に止めているのが次郎、という感じ。
12分過ぎ、久々に敵陣で連続攻撃を仕掛ける1つ目。しかし、バックスの必死のDFでクレインズのプレイヤーが転倒し立ち上がれない。笛が鳴る。立ち上がれず膝をついて苦悶の表情は竹内。なんとかベンチに戻るも以降は出場できず(同じポジションには雅俊が入った)。
時計は刻々と20分へと近づいていく。クレインズの攻撃に精彩が無い。しかし、バックスもさすがに疲れたか、クレインズ陣内での攻めが淡白になり始める。
18分過ぎ、この苦しい状況の中、なんとか勝ち越そうと敵陣でパックをキープしようとしていた史郎が転倒している。
18:38 B24 Highsticking(Double)
顔に入ったようで、こちらも暫く立ち上がれなかったがなんとか復活。自力でリンクに戻り流血も無い様子(たぶん)。最後にチャンスが転がり込んで来た。ここで決めてこそ、補強した意味があるのでは?。71−20−18−47−23で残り1分半。キープするもボックスの動きが少なく有効打が出ないまま2度パックを出され残り30秒。しかし、何故か笛が鳴る。
19:30 バックス側ゴール裏のフェンスに穴が開く
(「とりあえず手で押さえとこうか」って無理だっつーの)
おそらく、桑原のバックスプレイヤーに対するチェックで破損したように見えたのだが...。
と、言うわけで交換工事のため中断。両チーム選手が一旦ドレッシングルームに消えていく。
待つこと30分...。
果たして、この中断が吉と出るか凶と出るか。しかし、30秒で勝負は決まらず延長戦へ。
Shots on Goal:C16、B10
(4)オーバータイム
今季から4on4となる延長戦。当然、ペナルティは持ち越しとなるため、4on3:クレインズのPPで延長戦が始まった。フェイスオフを取る。スペースがある分だけ、容易に敵陣に入り込む。
「動け、そして打て」。動きが少ないからシュートを見切られてしまう。ボックス自体がもっと動かないとダメなんだ。30秒を過ぎた。まだ打たないのかシュートを。何故打たない。本部席側の桑原からブルーライン中央の樺山へパス。シュートフェイクを見せるも結局打たずベンチサイドの大澤へ。「打て、打て、打て!」。数少ないクレインズファンの声が飛ぶ。
そして、大澤が大きく振りかぶった。
0:42 サヨナラゴール! G23←47←71
大澤が放ったシュートはゴール前のブラインドか、それとも相手プレイヤーに当たったか、シュートスピードよりやや遅くパックがゴールに吸い込まれていた。
受けに回った時の脆さ、まだ改善されてません。ニュートラルゾーンの通過を楽々と許してしまう。FWのフォアチェックが甘くスピードを乗せたままでディフェンディングゾーンへの侵入を許しすぎ(STVカップの時の文章の引用)。
でも、最終的に勝てたのは30分の中断がクレインズに傾いたことか。それまで「気持ち」の乗っていたバックスの、特に好守を見せていた橋本の気持ちを切った結果になったのか...。また、4on4の延長戦でのPKが5on4のそれより大きなリスクを背負うことになることをまざまざとみせつけた試合だった。延長戦が見えてきた試合での終盤での反則は命取りだということを。
「もし」は禁句だが、「もし、あのフェンス破損が無くそのまま試合が進んでいたとしたら...。」
考えただけでもゾッとする試合だった。
Shots on Goal:C2、B0
GBP:1☆ 大澤、2☆ 桑原、3☆ 橋本(47ショット44ブロックは立派でした)
明日は気を引き締めて、「明日こそ開幕戦」という気構えでバックスに対して「再挑戦」してほしい。
疲れたね、今日の試合は。
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