第３８回日本アイスホッケーリーグ レギュラーリーグ前期
１１月１日（土）王子製紙ＶＳ日本製紙クレインズ（３回戦） 観戦記
（苫小牧白鳥アリーナ）
（０）プロローグ
ＳＴＶカップ以来、実に１．５ヶ月ぶりの白鳥アリーナ。前回は確か入っていなかったはずの座席のヒーターの熱さとその熱さをあざ笑うかのごとく、膝下にまとわりつく寒気。こんな感覚を体が欲してくるとアイスホッケーシーズンはいよいよ本格化という季節に入る。そして、第３８回リーグ前期も今日を含めて各チーム残り４試合となり、優勝争いの目鼻がつくころ。第３８回リーグそのものを制覇するための最低条件として、前期或いは後期優勝が必要となる。そこに一番遠いポジションでありながら、その可能性が残されているのがクレインズである。首位コクドとの直接対決を残しているクレインズは、残り４試合に６０分で全勝すればいいのだ。苫小牧→帯広→そして釧路での前期最終戦の直接対決で勝った方が優勝、という「最高のシナリオ」に向けての序章。大事な大事な試合（だったのだが．．．）。
【クレインズ】
３１−３０
７１−２０−１０−２２−７
３２−４７−１８−２３−３
８−２７−１３−７２−２
１４−１９−１６
ジョーと太郎が復帰。復帰したからには救世主になってもらいたいものだ。今のクレインズの状態では、普通にやっても勝てない。何か変化が必要なんだ。その変化をもたらしてほしい２人の復帰に期待（したかったのだが．．．）。で、最終的に匡史と博史は出場なし。っていうか、この２人を生かす場面を与えて欲しいな。クレインズが勝ち星から見放されているのは、あまりにも新加入選手に頼りすぎているいるからだと思うんだけどねぇ．．．。
【王子】
７０−４２
３−２２−１９−３３−２８
１７−２４−１１−４４−６
７−１６−１８−８−３７
２１−９−２５
レフェリー：高橋
ラインズマン：山内、滝澤
（１）第１ピリオド
クレインズ１つ目に対し王子は２つ目を合わせる。そしてクレインズの２つ目に対して王子は１つ目を当てる。王子から見た場合、どっちと当ててもあんまり力差は無いとは思うが、何かやりにくいんだろうか？。そんな人んちの事情はどうでも良い。クレインズは今日からずっと勝たねばならないのだ。どんなセットと当たろうが撃破するのみ。
しかし、立ち上がりから王子がクレインズ陣内に入り込みゴールにシュートを集め連続攻撃につなげようとリバウンドに群がる王子ＦＷ。しかし、
０：５８ Ｏ２２ Highsticking
スティックがゴール右横に立っていた樺山の顔に入る。
早々に転がり込んだパワープレーチャンスだが、心配していた動きの悪さ（というかプレーの遅さ）が目に付き、とにかくヤキモキさせてくれる。それでもなんとか敵陣に入り込みセットする。しかし、シュートかパスかがあからさまに判別できる動きではゴールなんか奪えないよ。相変わらずのプレーで２分が過ぎ去るかと思ったら、ゴール左脇（攻撃側視点）の桑原からゴール裏を回してダーシへ。そこからゴール右のスロットにパスが出たところを雅俊が叩く。一旦、セーブされたかと思われたが、
２：４１ 対王子戦 初の先制点を奪う Ｇ１８←２０
自分の観ている位置からだと、ちょうどシュートした雅俊が死角になってパックの行方が見えなかったが、リバウンドを押し込んだか、強引に詰めていったところパックが転がって入ってしまったか、いずれにせよ、ゴール前でスティックが上がり程無く赤ランプ点灯！。最初のパワープレーシフトをモノにし、滑り出し快調かと思いきや、
３：３４ Ｃ２ Crosschecking
本部席前で「ドーン」という衝撃音。得点後の反則は自重してほしかったが．．．。
今度は今日最初のＰＫ。ところが、これが危ないのなんのって。セットされるのは致し方ないにしても、一旦カットしニュートラルに出したパックを放り込まれると、あとは王子がそのパックを自分のモノにし、ビハインド・ザ・ネットでゴール前へのラストパスをしきりに狙う。昨年までやっていたゴール脇をＤＦが固めるって奴、あれって効果ないのかなぁ。シロウトの私にはようわからんけど、そのせいか、ゴール前に脂っこいパスが流れてくるんだよねぇ。ここはゴール前に入られないようにケアしていたけど．．．。そうなる前に早めに潰さないと、いつかこのパターンで失点するだろうと思わせた最初のＰＫをなんとか凌ぐ。
しかし、ＰＫを凌ぐと今度は王子の早い出足に手を焼きはじめ、なかなか攻めに持っていけないクレインズ。ニュートラルゾーンを支配され攻撃の糸口を作るにはタテパスしかねぇかな、なんて思っていたら．．．。
７分過ぎ、自陣での守備を終えパックを奪うと、カウンターという状況を察知したダーシが本部席ベンチサイドを走りこんでいる。そこ目掛けて桑原のクロスパスがまんまと通ると左４５度の位置ではあるがノーマーク。身のこなしの早い鋭いシュートを放つも、これまたＯ７０が素早い反応を見せグラブで応戦。
８分過ぎにも同じようなタテパスから雅俊が抜け出す。足元を狙ったミドルシュートは一直線にＯ７０のマタをすり抜けんかという勢いだったものの、間一髪及ばずＯ７０がレガースに食い止められた。惜しい．．．。
直後、王子が自陣でパスミスを犯し、ブルーライン付近で山野由宇がパスカット。すぐさまダーシとの２−１隊形となるも、シュート。リバウンドが出たかに見えた。そこに飛び込んでいったダーシ。リバウンドを叩けたか、と思いつつもそのリバウンドを出さないＯ７０の守りに手を焼き始める。
この後、小康状態に入るが、全般的な印象では王子のニュートラルゾーンでのパック支配率が明らかに高く、自陣で王子の攻撃を必死に凌いでいるクレインズ、という図式は変わらない。ただ、王子はニュートラルゾーンでスピードに乗っており、その分だけクレインズのＤＦラインが下がらざる得なくなり、シュートを浴び次郎がセーブという場面が多い。対するクレインズはやはり自陣からの球出しに今日も苦労。敵陣に入っても球出しに時間を食っている分、パックを奪い取り自分達でつなげていく、という「連続攻撃」が淡白に終わる。さすれば、伊藤賢吾が自陣から持ち前のキープ力と個人技でＤＦラインを突破し敵陣で攻撃の起点を作ろうとするも、史郎が放ったシュートはＯ７０の態勢をやや女形座りにさせるのが精一杯。その直後、
１４：２８ Ｏ３３ Interference
笛が鳴っているのに、クレインズの選手が王子ゴール左スミに綺麗に炸裂。
今度は突き放したいクレインズ。幾分、手数が出るようになったものの、シュート＆リバウンドの肝心なリバウンドをＯ７０が出さないもんだから甚だ苦労している感は否めない。早いパス回しと早いポジションチェンジと強いパス（＝必然的に早いパスとなる）が求められているのだが、それ以前に王子のプレイヤーにことごとくパックをクリアされているようでは相手ゴーリーは楽だったろうなぁ。
１８：５６ Ｃ２３ Holding
これは自陣でのパスミスが直接原因。球出ししようとしたパックがスロットに置き去りにされている（原因は空振りなんだろうけど）。咄嗟に慌てて、入ってきた王子のプレイヤーを抑えつけてしまう。しかし、王子も攻めに熱中するあまり一方のサイドにプレイヤーが固まった状態でクレインズが桑原がパックを奪うと、呼応したのはジョー。２−１隊形になるかと思いきや、王子の第２陣が間に合うと２−２隊形となり、難なくシュート（＆パス）を阻止される。その前にスピードが無いわ。本気でカウンターを決めようとするんなら．．．。
Shots on Goal：Ｃ１１、Ｏ１１
クレインズにスピードが無いだけに、そろそろ王子の本領発揮が怖いところ。なんとか、２ピリの立ち上がりに残るＰＫを守り切ってほしい。
（２）第２ピリオド
開始直後のフェイスオフを奪い時間稼ぎしたのはいいのだが、結局は自陣に押し戻されセットされるもＰＫの残り時間はあとわずか。なんとか守り切れるか、と思った瞬間。未だ王子が保持していたパックがクレインズサイドで新体操のリボンのように左右に綺麗な軌跡を描くかの如くパックが行き交う。そして、
０：５７ 実質パワープレーゴール Ｇ２２←３３←４４
ブルーライン本部席側からゴール右コーナー手前あたりにパス。ワンタイムでゴール左脇で待っていたＯ２２に綺麗にパスが通ると、待ってましたとばかり、これまたワンタイムでほぼ真横から豪快に叩き込まれる。気のせいかも知れないけどＰＫが終わる寸前だけ、クレインズの守備陣、気持ち腰高だったような。全くついていけず、これではさすがの次郎もお手上げ。問題は連続失点しないこと。気持ちを切らずに常に試合をリードしていくこと、が、できれば「残り４試合全勝で優勝」なんて事は言ってないだろう。
４：３０ ゴール前がら空き Ｇ３３←２４←１７
連続攻撃に陥ると止められないクレインズの守り、いいかげん改善してほしいものだ。最後は振り回されてゴール裏に２人が行ってしまい、ゴール前ががら空き。そこにパックが出されると、フリーで入ってきたＯ３３が態勢不充分ながらパックを叩くと、必死に前に出た次郎がパックに触れていたものの、パックは無情にもゴールラインを割っていた（ちなみに、Ｏ１７は通算１００アシスト達成。３ピリ開始時に追加発表になって花束もらってたけどね）
この連続失点．．．。前期の調子の悪さ、チーム状態を象徴するような失点に思えましたわ。
そうなると、せっかく転がり込んでくるパワープレーもモノにできなくなる悪い流れ。
９：１７ Ｏ３７ Holding
９：１７ Ｏ８／Ｃ８ Roughing（笛が鳴ったあともめる。いい加減やめてくれ。見苦しい）
７１−２０−１８−４７−７で臨んだ最初の１分は、それなりにパックは動いていたし、外からジョーがシュート、リバウンドを叩くというシンプルな形を見せていいたが、ゴール前での粘りと、ジョーのシュートに行くまでのパス回しが遅いんだもん。しっかりＯ７０に見切られてるからリバウンドなんか出やしない。残りの１分でシフトが変わったが、あまりの連携の悪さに見ちゃいられない。特に竹内のプレーに精彩が無かったのにはガッカリ。
１４：０５ Ｏ２２ Holding（代行＃７）&Missconduct
長時間、雅俊を立て四方固めにとっていたがさすがに度が過ぎると見えてレフェリーの手が上がる。しかし、ジェスチャー付きで、「あっちもスティックホールディングなんだぜ、ベイベー！」なんて言ったかどうかは知らないが、今日のレフェリーには通用しない。即、ミスコンが追加。
この反則は「相手の攻撃の核となるプレイヤーが３ピリ６分まで居ない」という状況になるのだが、このことを、クレインズはどう理解し、どう考え、どう行動しようとしたのか、その後のプレーを見ると大いに疑問であり、大いに不満である。
まず、３０秒後に決定的なチャンス。放り込んだパックをＯ７０がゴール裏で処理するも、ここは早めに突っ込んだクレインズのＦＷのプレスが効いてパックがガラ開きゴール前に流れているではないか。必死にヘッドスライディングでゴール前に飛び込む王子のプレイヤー。しかし、パックは雅俊がバックハンドで先に叩いた。同点！、かと誰もが思った瞬間。パックはゴールの上を通過．．．。挙句の果てに、
１４：４０ Ｃ７ Interferece
連続攻撃に持ち込もうとパックを奪おうとした矢先、パックキャリアの後を追っていた王子のプレイヤーを引っ掛け転倒させる。お得意の「スティック外し」も今日のレフェリーには通用しない。
１５：１７ Ｃ２３ Interference
折角、賢吾がスピードに乗って攻めあがっていこうとする後ろでサポートの意味で引っ掛けたプレーが反則。
５−４のＰＰがガラ開きゴールへのシュート外しも含めたったの３０秒で終わり、逆に４−３、５−３のＰＫを迎えてしまっている。呆れてモノが言えない。
さすがに、ここで失点すればいつもの負けパターンになるだけに、なんとか凌ぎ切ったものの、
１７：５２ Ｏ１９ Hooking
ブルーライン中央から、わざわざゴール前が混戦で密集になっているところへパスを出し、細かくつなごうという無理なことをやりはじめる。ラグビーじゃねぇんだっつーの。さすれば、シンプルにパスを回してフリーのプレイヤーがワンタイムで外からシュートを放つも、０７０に見切られている。早いパス、強いパスとポジションチェンジ＆ゴール前で壁を作りゴーリーを幻惑させるという意図は判るけど．．．。
Shots on Goal：Ｃ６、Ｏ１１
全般的に「遅い」。パックへの集散、フォアチェック、シュート、パス．．．。それも、王子の早い潰しが実に効果的に決まってせいだろう。パックキャリアに対して臆せず真正面からチェック。交わされてもスティックを出してパックを生かせない。その運動量にクレインズは手を焼き、折角のパワープレーもパックキャリアを優位にさせようとする意識が強くなり、サポートプレイヤーへ反則を犯す。立ち上がりの連続失点で逆転を許し、ＰＰも決まらない。焦れば焦るほど思い通りのプレーが出来ない．．．悪循環。
（３）第３ピリオド
さすがに王子も疲れたのか、立ち上がりは脚が止まっていた。その分、クレインズもパックを支配できていたが、双方ともに決め手を欠き時間だけが過ぎてゆく。
６：４０ Ｃ７１ Highsticking
敵陣に攻め込んでいる中で、相手ＤＦとの接点で態勢を優位にしようとすスティックを叩きつけながら体を入れるとＯ６はスティックを真っ二つに折られ手をビリビリさせながらベンチに戻る。そうせざるを得ない状況であることは理解できるが、もう少し冷静になってほしかった。
しかし、王子の脚が何故か止まる。ボックスは組むものの、一旦クリアされると、図らずもクレインズに数的優位な状況が転がり込む。７分過ぎ、正和→ヒデと渡ったパスはゴール前で王子のチェックに合いチャンスを潰したかに思えたが、必死にセンタリングを出すとスロットに入ってきた史郎がスナップシュート。一瞬逆を突いたシュートもＯ７０の好セーブに遭いゴールを割れない。
更に、樺山→賢吾と渡ったパスでダーシとの２−１隊形。しかし、シュートｏｒパスで迷い、結局、パスするも叩けない。王子もほころびは見せ始めている。
１２：１９ Ｃ２２ Hooking
しかし、流れを掴みそうで掴めない。
王子のＰＰもシュートに正確性を欠きピンチは免れるているのだが．．．。
１４分過ぎ、ここまで目立たなかった山野がようやくニュートラルゾーンでパックを奪い敵陣に入っていく。相手ＤＦと１対１。回り込んでシュートするなり、個人技でパックをキープし続けることぐらいできるはずだが、いつもの積極性はどこへやらドロップパスを出す。違う、アナタのプレーってそんな淡白じゃないでしょ！。
結局、クレインズは攻め込んではいるものの、最後まで運動量の落ちなかったチェックに手を焼き、決定的なチャンスを作れないまま残り２分を切ってしまう。王子もしんどいのか、何度もアイシングで逃げてはいるが．．．。
１８：４６ Ｃ Timeout
そのまま７１−４７−２０−１８−３−７で六人攻撃敢行。今まで敵チームでいっつもフェイスオフを奪われていたマットがフェイスオフに臨むもパックを取られる。一旦クリアされるも、ジョーが大きくダンプイン。フェンスを伝って本部席側コーナーの当たりにパックが流れる。当然、ここはパックを奪うべく厳しいチェックを浴びせた桑原だったが、
１９：１４ Ｃ７１ Boarding
なんと起き上がれない。気持ちはわからんでもない。
一旦、次郎は戻るが、残り２５秒で再び次郎が上がり五人攻撃を敢行するも、結局、タイムアウト以降シュートどころか、パックを自陣に放り込まれ前に進めず。
Shots on Goal：Ｃ１０、Ｏ４
１☆：Ｏ３３、２☆：Ｏ７０、３☆：Ｃ１８
なんか、最初っから勝負を決めつけてないか？。ゴーリーが良いから簡単に点が取れないのはわかるけど、そんな相手をどうやって攻略しようか、っていう意欲が伝わってこないよ。だから同じゴーリーに何度も苦戦してるんじゃないの？。もうそろそろ「工夫」してほしいものですねぇ。
このままだと、来週、目の前で相手チームの前期優勝を見届けることになるわな。
意地みせろや！
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