2009.01.25 14:00〜16:05 釧路・釧路アイスアリーナ
アジアリーグアイスホッケー2008〜2009レギュラーリーグ
日本製紙クレインズ 対 王子イーグルス 6回戦



オールメンバー
【日本製紙クレインズ】(Black)
61石川-42清川
7ディック-23大澤-75ユール-20三谷-14佐藤匡史
28ティリー-3伊藤賢吾-11西脇-21酒井-18伊藤雅俊
2外崎-34原武-19佐藤博史-17飯村-47久保
33鬼頭-10山野由宇-27石黒-24飯塚-16今村

【王子イーグルス】(White)
61春名-30荻野
44キャラー-20山下-7百目木-16斉藤(哲)-19斉藤(毅)
5パーソン-34高橋-12エンディコット-24桜井-9岩田
6川島-28磯島-82外崎-13小川(将)-25河本
27南-18奥山-11鈴木-14追切-3小川(勝)

レフェリー:川村
ラインズマン:千葉、三本


第1ピリオド
00:00 C61 GK in/O61 GK in
マッチアップは王子の3つ回しに対しクレインズは3つ回しを基本にするも2周り目には4つ目を登場させずらしにかかっているようにも見えたが、試合の流れに影響する程の効果は無く、試合が進むにつれ3つ目の久保を飯塚に変えたり、PKで史郎や飯塚を起用するにとどまった。
立ち上がりは双方とも相手の攻めをニュートラルゾーンで早めに絡み簡単に前には走らせない激しいチェックの応酬で緊張感のある内容。クレインズは相変わらず自陣からの攻め上がりの際、王子の高い位置でのプレッシャーにDF陣が絡まれそうになるも早め早めにパックを離し、低い位置まで戻ってきているFWにパックを出し自陣に居る時間を少なくし、逆に王子のDF陣に対しても鋭いプレッシャーで簡単に攻め上がりを許さずニュートラルゾーンを素早く抜けようとするウィングに対してもDFがブルー付近で体を張ってスムーズな攻めを殺していた。

最初に動きがあったのは王子。6分過ぎ、O19がクレインズのチェックをニュートラルゾーンでうまく交わしDFと1対1になる場面を作るとDFを壁にしたミドルシュートを打たれるもさすがにここは石川がきっちりブロック。しかし、攻められたあとのリスタートで王子の早い出足にやや手間取る場面が見られ不安な面を見せる。

9分過ぎ、ここまで敵陣で良い形でシュートが打てなかったクレインズも敵陣にダンプしたパックをゴール裏で奪うと左サイドのポイントに居たジョーに戻す。ここで素早くワンタイムでシュートを打てると良いのだが、王子が早々とシュートコースを消しておりやむなく横パス。これを中央の大澤が拾ってすぐさま右サイドの西脇へ流しミドルシュートが枠を捕えるもO61がきっちり正対し抱え込むようにパックをキャッチしプレーを確実に切っていく。

10分を過ぎたあたりからクレインズの攻め上がりの際、自陣でもたつく場面が見え始め、王子のチェイスを交わそうと自陣で横パスも早々に王子に見切ら自陣ブルーライン際のボード沿いで絡まれパックを押し戻される場面が見え始める。やはり今日も王子の早い出足を幾ばくかは受け止めなければならないのか。

12:32 C75 Hooking
そんな中、クレインズが敵陣にダンプしたパックを素早くタテに出すとO16がニュートラルゾーン中央の突進をついに許してしまう。ダンプしたのは交代したかったからなんだろうが、その交代も完了していないままO16に走られ自陣に入られてしまう。その際、ユールのチェックが甘くなり反則を取られる。

王子には与えたくないPPだったのだが、

13:52 王子1点目(PP+1) G5(Slap/左60度/18m)←A24←12
あっさり決められる。
それもボックスで崩したというよりも自陣からの攻め上がりの際にダンプしたパックを自陣左サイドのコーナー付近で先にDFが追いついたものの桜井に絡まれ大きくパックを掻き出すができない。やむなくプレスをやり過ごそうとバックハンドでボードにパックを当てるも勢いが足りず左サイドのポイントの位置O5にきっちり止められるとO5の前には大きな空間が出来ていた。クレインズの守備はゴール前に小さく固まってしまいO5に対してチェイスすることもできずゴール前を固めるしかできない状況に追い込まれると、それを見透かしたようにO5が態勢充分な格好で大きく振りかぶり鋭いロングシュート。石川、全く反応できずパックが自身の左肩口を抜いて行きゴール右上に豪快に突き刺さる。
正直、守ってほしかった。

リードされてしまったが差はまだ1点。逆に反則をもらえる可能性もあったのだが、その後、クレインズが攻め込む場面は殆どなく、16分過ぎ自陣奥から原武→飯村→リターン原武が受ける間に飯村がタテ突進→原武がブルーライン際にタテパス→再び飯村が拾い相手のマークを交わし高い位置ながらも正面にドライブしスラップもO61に難なくブロックされる。

Shots on goal:C7,O8
守りを重視しているせいか攻めが単発に終わる場面が多くO61が慌てるようなシュートを放てない。守りから攻めへ、の攻めが遠目からのシュートしかできていないところが辛い。それでもシュートを打っていくしか無い。打たないことには次につながらないから。であるならば、もっと敵陣に居る時間を長くするような工夫が必要なのではないかと。1本目の(ロング)シュートをGKにあっさりキャッチされては...。


第2ピリオド
開始早々、右サイドをダーシが突進。意外に甘かった王子のチェックのせいもあり敵陣奥へ入り横パスを伺うも無理とみるやゴール裏を通して左サイドのユールへ。ここから敵陣で「お時間頂戴」となるのかと期待したがユールが角度の無いところからO61の右足元を狙ったシュートを放つもサイドネット。これを王子に拾われあっさりクリア。う〜ん、そんな淡泊な攻めでは点は取れないぞ。シュートを打つのは構わんが、強引にゴール前に切り込んで混戦にしてしまうとか、相手の嫌がることをしても良いと思うのだが。

21:19 O12 Boarding
そこへもってきても王子の不用意な反則。
この反則が起きるまで、王子の2つ目に自陣で連続攻撃を受けており、ようやく西脇がアイシング覚悟でパックをクリアした直後のプレー。
数少ないチャンスを見過ごす手は無い、のだが敵陣に居る時間が長い割にはやはり攻めが単発。シュートは出ているが次につながらなず、パックがニュートラルゾーンにこぼれ攻め直し。賢吾が左サイドを上がっていくも王子のプレイヤーにに絡まれパックが前に流れるが、

23:10 O34 Hooking
これが賢吾の手もとに入っており反則になる。
わずかではあるが5on3のPP。しかも敵陣でのフェイスオフ、なんだけどパックが取れずシュートが無いまま5on4へ。しかしPPは継続。フリーでゴールに向かって強いシュートを浴びせたい。左サイド奥で西脇がパックを拾ってポイントの位置に居た雅俊へ戻しシュート。これがゴールに届きリバウンドが出たところに酒井が正面から叩くもO61がブロック。しかし態勢を崩しておりリバウンドがこぼれている。そいつを叩け、今すぐに!

23:56 クレインズ1点目(PP+1) G3伊藤賢吾(rebound,wrist/右30度/4m)←A21酒井←18伊藤雅俊
最後は詰めていた賢吾が拾い体でゴールを塞ぐように倒れこんできたO61が寝ころんだのを見極めやや右サイド奥に突っ込む形でオープンネットに叩きこむ。

直後、またしてもダーシが右サイドを抜けてくるとゴールライン付近からO61の脚元を狙ったシュート。これがゴール前の混戦に当たって角度が変わりバックドアの格好で左サイドの匡史へ。やや態勢が悪く体を伸ばして叩いたパックはジャストミートでは無かったがオープンネットに吸い込まれ、たかに見えたが寸前にO61の右足が伸び阻まれてしまう。

もうひと押しだったのだが。

27:02 C23 Holding
自陣左コーナー奥での競り合いで反則。
ここはしっかり守りきることで逆に試合の流れを引き寄せたいところ。さすがに王子もここぞとばかりに厳しい攻めを見せ、セットしてもパックキャリアにチェイスに来ないクレインズの動きを見て、コーナーからスロットに入っているプレイヤーにパス→ワンタイムシュートを2度3度放ちゴールを脅かすもここは石川が辛うじてブロック。遠目から放たれるDFからのロングシュートも簡単に打たせないようにコースを消しにいくなどして守り切る。打たれはしたが失点していない。

2ピリも半分を過ぎると1ピリに見せていた守り合いから一転して双方共に積極的に敵陣にパックを放りこみゴール裏やボードで競り合う展開が続くも決定的な場面にまでは至らない。王子もクレインズの守りが甘くなる部分を見逃がさずパックキャリアがDFと1対1になる場面を作りシュートを放っていはいるのだが、そのシュートが枠を外したりする場面も多く、やや詰めの甘いところも見せていた。

33分過ぎ、王子がクレインズ陣内に流したパックがアイシングになりかける。クレインズはアイシングにしたいのか全速で追わない。そこを王子が突き追い抜かれアイシング解消。そのまま自陣奥でパックを展開される。そんなつまらない場面は見せてほしくない。

34分過ぎ、今度はクレインズが王子陣内の右コーナーでの競り合いに持ち込むと酒井が踏ん張り王子の視線を集めさせたところで左サイドのトップサークル付近で待っていた雅俊へ絶妙な戻しパス。完全にフリーだった雅俊がそのままワンタイムでミドルシュート。決まったかに見えたがここもO61の右足に阻まれる。

37:31 O19 Hooking
ニュートラルゾーンを中央突破しようとしたダーシが反則を誘いPP。
絶好の逆転機だったが、ここの攻めが実に残念。敵陣に居る時間は長いのだがシュートが出ない。いや、打っているのだがシュートが相手プレイヤーにぶつかる場面が多く崩すまでに至らない。DFに戻してシュートを放とうとするも、王子もここは重要な場面と踏んだか最高の集中力でクレインズの動きを察知しスペースを詰めていきクリア。まだPPは40秒近く残っていたが自陣からのティリーのタマ出しが2回もニュートラルゾーンでカットされ時間を浪費。どうにも流れを引き寄せられない。

Shots on goal:C11,O7
序盤から中盤にかクレインズに流れが来たがその後は膠着。終盤のPPで突き放す絶好のチャンスも、手数少なく自陣からの攻め上がりのミスの連発。本当に試合に勝ちたいんだろうか。それがヒシヒシと伝わってこないのは何故なんだろう。


第3ピリオド
このまま同点のままではダメ。最終的には勝たねばならない。大事な大事な3ピリだと思うのだが...。

1分過ぎ、王子2つ目に掻きまわされる。右サイドのコーナーでO24、O9の巧さの前にクレインズDFが翻弄され、最後はO12にゴール右横から回り込むようにスロットに入られシュートを浴びる。いやいや、ここは踏ん張りどころでしょう。そんな簡単にゴール前を明け渡して良いのか?。

2分過ぎ、O16に中央突破を許すと右サイドにややドライブされつつ強烈なミドルシュート。これを石川がブロックするもリバウンドがゴール前に大きくこぼれる。そこにはO19が飛び込んでくる、がわずかに体が前に流れ合わせきれず。

4分過ぎ、今度は自陣から浮かせたパックをニュートラルゾーンでO82が前に叩き落とすとDFラインの裏に出されノーマークになりかけるが、辛うじて飛び込んだ鬼頭のスティックが間にあって難を逃れる。

5分過ぎ、O7が右サイドを走り込み2on1。シュートは枠を逸れてくれたがルーズパックを拾われ遠目からシュートも、大澤が懸命に前に出てシュートコースに潰しエッジに当てる。

いいようにやられてしまっている。攻めどころか守りを立て直せないまま簡単に攻めこまれる場面を献上。守りから試合を作っていくのではなかったのか?。

45:57 王子2点目(EQ) G12(wrist/右45度/4m)←A24←9
1分過ぎに献上してしまった場面のリプレイ。そもそも自陣に来たパックの処理が悪いところを突かれ、同じ場面を2度献上してしまえばそりゃ相手も決めてくるって。それにしても前3人の連携は見事。コーナーでパックを保持しているかと思えば、すぐさまフォローに託し自身はゴール前に入ってブラインドとなり、最後はO12にスペースを与えシュート。石川、完全にブラインドとなりまたしても反応できず。っていうか、大事なエリアであるはずのゴール周辺を簡単に相手に与えてしまって良いものなのか?。ここは体ごと倒れこんででも潰しに行ってほしかった。

47:34 C23 Highsticking
痛い反則。
しかし、もう守り切るしか無い。タカをくくったかクレインズ。早い潰しで王子の攻めを断ち切ると、

48:56 O5 Hooking
右サイドにこぼれたパックにユールが絡んでいく。ボードを使い相手の裏に出したところで前に出ていくところを倒される。
逆にPPになるも王子の早い出足に賢吾が自陣からのタマ出しをミス。ニュートラルゾーンでカットされルーズになったところを史郎が突進するも転倒。

49:24 O20 Tripping
ダイブにされても文句が言えないくらい見事にすっ転び瓢箪から駒。1分以上もある5on3のチャンス。ここで18-20-75-3-28で勝負を掛けるのだが...。
シュートで崩すのか、早いパスで揺さぶるのか、バックドアを狙うのか、その方向性が最後まで分からないまま敵陣で時間だけが過ぎていくという悲しい現実を突きつけられる。相手は3人しか居ないはずなのに、パックキャリアがプレッシャーを掛けられているようでは...。同点にしておけば試合はまだ分からないはずなのに、この試合最大のヤマ場も不発。

その後は、王子にうまく時間を使われる。クレインズの集中力が切れたのか11分過ぎにO9にノーマークを許すなど(シュートは枠を外してくれた)散々。
ジョーや飯村が自陣から王子のチェイスを交わし単独で突っ込んでいくもフォローが居ない。なぜ、別に一人で攻め上がることを悪いと言っている訳ではない。そこに一人しか行っていないのは何故なのか?。メンバーチェンジのため?。そうかも知れないが、それだったらダンプしてくれば済むこと。フォローに入らないのではなく入っていけていないのが誠に残念。

試合は残り2分を切る。追いつきたいクレインズは6人攻撃に出たい、が、敵陣で試合はおろか、パックを王子に動かされ続け、触ることすらできないまま時計が進み、

59:42 C61 GK out
ようやくパックに触れてなんとかダンプ(押し込んだという表現が正しい)するも、まだパックキープできていないがそんな事も言ってられない。が、やはり敵陣でパックキープできず一旦出され、もう一度ダンプするも既に王子が自陣ゴール裏でパックキープ。まるで、脚の無くなった感のあるクレインズをあざ笑うかのように。ようやく飛び込んでいくも時既に遅し。何もできないままタイムアップ

60:00 O61 GK out

Shots on goal:C10,O9

試合全体を通して見てもクレインズのスコアリングチャンスは1点目を奪った時とPPで数的優位になっている場面ぐらい。ロースコアの展開に持ち込んだのは良いが数少ないチャンスを生かすまでには至らず。最後まで試合の流れをつかむことができなかった感がある。同点に追い付いた直後、王子陣内で攻めの形を作りいくつか惜しい場面を作っていただけに、そこでもうひと押しできていれば多少は事情が変わったかもしれない。ただ、試合が進んでいくと随所で目につくクレインズのモタツキがやはり気になってしかたない。人間がやっていることだから多少のミスは致し方無いにしても、パスミスやクリアミスをカバーするプレーがあまり見られなかったのも残念だった。また、王子のプレスを受け自陣に戻されたところで更にパックを奪われる場面が見られたのも痛かった。そうなると、反則が怖くてパックキャリアに対してタイトに絡めないのも王子の攻めを助長する格好になった。
王子の2つ目12-24-9を攻略できず逆に失点しまったところも今のクレインズには簡単には埋めることが「巧さ」という面での力差があったことを物語っている気がして残念でならない。何度も同じ形でやられているんだから何かしらの策を持って臨んでいるとは思ってのだが...。

これでレギュラールリーグは勝ち点2の差で4位に甘んじる結果になった。
「60分勝ちしなきゃダメ」とこの観戦記では「しつこいぐらいに」触れてきたのだが、ここまで積み上がってしまった勝ち点1乃至2の取りこぼしがボディブローのように効いた格好になったのも「大事な試合での勝負弱さ」という形になって現われてしまったように思える。
アイスホッケーは20分×3ピリオドが1試合なのだから、OTやGWSで勝ったから良いという話にはならない(試合に勝っても得られる勝ち点に差がつくということは最初っから分かってはずだ)。その「与えられた制約の中で」勝つためにどうするのか、少しでも上位に行くにはどうするのか、という努力があまり伝わってこなかったことが誠に残念だ。

これからは全日本、そしてプレーオフファーストラウンドとなる。
今度はOTだろうがなんだろうが「最後に勝てばいい」。
どんなに相手に押されようとも、終始劣勢であっても結果勝てばいいんだから。勝ち方よりも「勝ち」に拘った戦い方に徹してくれればそれでいい。そうでもしなきゃ、応援する方も一向に報われない。

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