2009.03.01 14:00〜16:05 釧路・釧路アイスアリーナ
アジアリーグアイスホッケー2008〜2009プレーオフセミファイナル
日本製紙クレインズ 対 アニャンハルラ 4回戦
オールメンバー
【日本製紙クレインズ】(White)
61石川-42清川
28ティリー-3伊藤賢吾-24飯塚-20三谷-18伊藤雅俊
7ディック-23大澤-75ユール-17飯村-11西脇
34原武-2外崎-10山野-21酒井-14佐藤匡史
33鬼頭-19佐藤博史-27石黒-47久保-16今村
【アニャンハルラ】(Blue)
30ソン・ホソン-32キム・ソンギ
24パク・ソンミン-44イ・クォンジュン-16イ・クォンジェ-6キム・ホンイル-8キム・ウォンジュン
79ユン・キョンウォン-27ブラッド・ファスト-9チョン・ヨンテク-25ブロック・ラドゥンスキ-1キム・ギソン
5キム・ウジェ-2ジョン・オゥ-11イ・ユウォン-36パク・ウサン-96ソン・ドンファン
4チャン・ジョンムン-15コ・ビョンヒ-7イ・スンヨプ-81キム・ホンイク-37チョン・サンヒョン
レフェリー:Olson,J.B
ラインズマン:千葉、Byun
第1ピリオド
00:00 C61 GK in/H30 GK in
メンバーは双方とも昨日と同じも、マッチアップは変に仕掛けても意味がないと悟ったのか、普通に1→2→3→4とまわし、ハルラも1→2→3→4で対応。ただ、クレインズ3つ目のシフトでは自陣でややもたついてしまいハルラ3つ目に攻め込まれゴール裏からセンタリングを伺わせる状況を献上してしまう。しかし、「ちょっと危ないかなぁ」という不安な立ち上がりを一掃してくれたのは4つ目。ニュートラルゾーンから敵陣に攻め入った博史が左コーナーでパックをキープしハルラDFを引きつけつつ一瞬の交わしえゴール左横から上がって行こうとする直後に、
02:52 H4 Tripping
反則を誘いPPで1つ目につなぐ。これを仕上げればいい流れができるのだが、1つ目のPPは遠目からのシュートがゴール前のハルラの守りを崩すまでには至らずやや消化不良の感あり。チェンジで出てきた好調(失点にも絡んではいるが)2つ目が決めてくれた。
04:33 クレインズ1点目(PP+1) G7ディック(Slap/正面/17m)←A23大澤←75ユール
1つ目のPPと同様にDFがトップの位置からゴール前に流してリバウンドを狙う形をつくるべくパスを回してはいたがスペースを作ることができず強いシュートが打てなかったが、ここはジョーが左サイドから相手のブレードをうまく交わしブルーライン中央に入るとシュート。距離が開いてしまいマズイと思ったハルラのプレイヤーがジョーのシュートコースに対して2人がそれぞれ左右からボディスライドで止めに行くも完全に止めきれずしかもジョーのシュートの勢いが勝っておりりやや角度が変わった感じで「ガコン」という打撃音を残しゴール右スミにパックが吸い込まれた。久々にジョーらしいスカッとするようなロングシュートが決まってクレインズが今日も先制。
その後は、昨日の試合を見ているかのようにクレインズが敵陣への早い寄せとニュートラルゾーンでのバックチェックでハルラに攻めの形を作らせず、自陣からの攻め上がりもスムーズ。パックを失ってもパックキャリアへ執拗にプレスを掛け素早いブレークアウトを許さない。
6分過ぎには、ブルーライン際のティリーがゴール前に流したパックに飯塚がゴールの右から左へ横切るように入り込み相手DFの裏を取りつつゴール前でブレードを合わせるもパックは枠の上を越える。
7分過ぎには、これまたメンバーチェンジの間隙を縫ってティリーが自陣ブルーライン際から相手陣ブルーライン中央へ鋭いパス。これに呼応したユールが勢い良く走り込みレシーブすると2人のDFの間を抜けだしノーマーク、やや相手GKとの距離が近くなり交わすことはできなかったが、脚元を狙う鋭いシュートを放とリバウンドを出させる。リバウンドが出る角度によってはユールがもう一回自分え叩くこともできただけにシュート後の詰めも忘れてはいなかった。
しかし、このまま黙ってはいないハルラ。クレインズが相手陣内で攻めている中、パックがルーズになりゴール右脇に流れて行ったところに飛び込んで行ったユールが反則を取られてしまうと、H25がパックをクレインズ陣内に運びペナルティのアドバンテージを30秒近く利用してクレインズゴールを脅かすがなんとかクレインズがパックに触って、
09:04 C75 Hooking
お返しとばかりにPPで同点に追いつこうと1-25-36が早いパス回しでクレインズの守りを翻弄し、遠目のDFから打たせるとみせかけて右サイドのH25が石川のグラブサイド肩口を狙う強烈なミドルシュートを浴びせていく。石川、懸命のブロックもリバウンドを確実にハルラに拾われプレーが切れない。更に畳みかけるように遠目のDFから強烈なシュート。そのリバウンドをきっちり拾い左右からミドルシュートでゴールを狙うなど迫力満点のハルラの攻めの前にクレインズの守りは崩壊寸前まで追い込まれるも最後はハルラのシュートが枠を外して自陣から出ていく等のミスもあり耐え忍んだ。
その後は膠着した展開になるも、クレインズのパックキャリアに対する敵陣での積極的な働きかけでハルラの攻めはスムースさを欠いてしまい、攻めあぐねる場面が見えはじめる。しかし、そこはRL1位のチーム。ニュートラルゾーンのルーズパックに絡み簡単にクレインズの攻め上がりを許さず、クレインズが自陣で作りなおそうとしている中へプレスを掛け処理ミスを誘う動きで活路を見出そうとする。何度かハルラの注文通りにハンドリングミスや一気に形勢を逆転できるロングパスに狙いを絞りクレインズの思い通りにはさせていない。クレインズも昨日の試合でちょっとした「楽」をしたばっかりに大きな代償を背負っただけに無茶なプレーは影を潜めフィジカルなパックとプレイヤーへの働きかけが功を奏していた。
15:53 C20/H24 Highsticking
役者が揃うハルラに対して4on4の場面を与えたくはなかったが、
17:09 C21 Holding
敵陣での攻めが終わってしまいパックを出されそうになったところに懸命に絡んで行った酒井だったが胴締めするような格好になってしまい手痛い反則。この40秒弱の3on4は厳しかった。H1,25,27,21というシュート力があって体もでかい4人のPPは迫力満点だったが、ここで石川が踏ん張り強烈なロング&ミドルシュートに対して正対し抱きかかえるようにパックを受け止めリバウンドを出さず攻めをきちっきちっと切りリズムを作らせず。ハルラのプレイヤーも決めてやろうとややシュートモーションが大きかったことにも助けられた。結果、このPKを凌ぎ氷上は2つ目。酒井がベンチに戻ってユールが入った2つ目はニュートラルゾーンでパックを奪い右サイドを上がっていく。時間は少なかったが昨日の試合は終了間際に攻めることをやめてしまったことで負けてしまったことを思い出したのかは知らないが、やや脚がもつれかかっていたものの、飯村が右サイドを突進していくとハルラのプレイヤーはPP明けでやや守りが甘くなっており、相手が差し出したスティックを交わすように右手前に走り込んでいた西脇へパス。西脇が内に切れ込みゴール右サイドを抜こうとする構えを見せつつ逆サイドにはタイミング良く走り込んできたユールが居る。
19:37 クレインズ2点目(EQ) G75ユール(wrist/左30度/4m)←A11西脇←17飯村
西脇が冷静に横パス。これをユールが合わせH30の右肩口をしっかり捉えゴールネットを揺らす貴重な追加点。
Shots on goal:C13,H9
点差こそクレインズが2点差をつけているが、1ピリは双方ともに激しい当たりの応酬。イーブンではなかなか決定的なチャンスは生まれておらず、ハルラの2度のPPも失敗には終わっているが点の入りそうな感じが匂ってくるだけに今日のポイントはPP/PKのスペシャルプレーの出来にかかってくるだろう。1ピリこそクレインズに良い流れが来ていたが2度のPKはかなり攻め込まれており、いつ失点してもおかしくない程追い詰められていたことは事実だが、救いはPKを凌いだ後の1ピリ終了間際に挙げた1点が大きな意味を持つような気がする。
第2ピリオド
いずれにせよ2点なんぞは反則の連続で簡単に追いつかれてしまうだけにクレインズにとっては早い段階で追加点を取っておきたい。そんな矢先、
20:36 クレインズ3点目(EQ) G3伊藤賢吾(wrist/正面/6m)
1つ目がハルラ陣内ゴール裏でパックを動かすとハルラのマークが一瞬遅れゴール前のスロットにダーシからセンタリング。ガラ空きになっていたところに賢吾がスーっと入ってくるとダイレクトでシュート。しかし、懸命にスティックを伸ばしたハルラのプレイヤーに阻まれパックはヒットせず自身の右手前にちょろっとこぼれる。が、転倒しているハルラのプレイヤーを交わしつつもう一度自分で叩いたパックがあさっりゴールを捕える。
欲しかった追加点があっさり入ったことでクレインズは一気に楽になったようで面白いようにハルラ陣内でスコアリングチャンスを作りハルラを自陣に釘付けにさせると、
24:00 H27 Hooking
少しでも巻き返したいと思うあまりハルラのプレイヤーが3人前掛かりとなる
その裏を西脇がボードを使って交わし前に居た飯村が拾って更に壁を使って前に送ると既に抜け出していたユールが走り込みブレイクアウェイ。ゴール正面にドライブした分だけH27に追いつかれてしまいシュートまでは打てなかったものの反則を誘うと、
24:11 クレインズ4点目(PP+1) G3伊藤賢吾(wrist/正面/6m)←A20三谷←28ティリー
秒殺。
パックキャリアへのプレスがやや甘く自由にパスを出させる場面をハルラが作ってしまうと、クレインズはその隙を見逃さず右コーナーのダーシからハルラのボックスを切り裂く左サイドのポイントの位置への戻しパス。これを賢吾が勢い良く飛び込みゴール正面のスロットでパックをカットするようにレシーブしすかさずシュート。H30が体に当てるも弾いてしまいネットへ。
24:11 H Timeout
ゴール前がガラ空きになった上での2連続失点でたまらずタイムアウト。
26:42 C17 Crosschecking
やはり突破口はハルラの2つ目。自陣から早いブレークアウトでクレインズ陣内にパックを放り込むと、ここぞとばかりにH25がパックをコントロール。ゴール裏からゴール前へのセンタリングを許してしまいクレインズの反則を誘う。
いかに4点差とは言え、1点取れば2点でも3点でも取っちゃうよ、と言う勢いを秘めているだけにクレインズにとっては油断できないPKではあったが、さすがのハルラも4点差は重かったようで「決めてやる」という思いが強くシュートが少なくパスを回してくれていた。もっとも、クレインズもハイスロットからの相手DFのロングシュートを打たせないような早いプレスが効いており、事実、ハルラはシュートが打てずに左右のプレイヤーにパスを回していた。
しかも、PK終了間際の28分過ぎには相手陣内に放り込んだパックへ博史が絡んでハルラのタマ出しを封じると更に久保までが加勢しハルラの動きを止めると最後はゴール裏を通した横パスを史郎がゴール左横で受けそのままH30の右足元から捻じ込もうとするもややパックが流れてしまう動きでほぼハルラの攻めを封じる。
その後、やや試合は膠着するも、クレインズが随所でパックキャリアへの早い寄せと積極的なチェックでハルラの攻めを分断。強い体と長いリーチで執拗に食い下がるハルラに対してクレインズは確実にパックを自陣から前線に送り場合によってはハイパントも駆使し優位に試合を運び始める(ただ、ロングパスで一気にパックを前に出そうとするような楽なプレーも一部見られニュートラルゾーンから逆襲をくらう場面も無かった訳ではない。点差と状況によっては傷口を広げかねない安易なプレーがまだ見え隠れしている点は見逃せない)。これが、意外な結果を生んだ。
31:00 クレインズ5点目(EQ) G21酒井(wrist/正面やや左寄り/1m)←A10山野
山野が自陣から浮かせてダンプしたパックはハルラ陣内に落ちゴール前に転がっていく。微妙なバウンドだったがH30が体を前に寄せて抑えたかに見えたがなんとポロリ。そこをしっかり詰めていた酒井が難なく押し込む。
31:00 H30 GK out/H32 GK in
あまりにショックだったのかH30、そのまま氷上を離れるとベンチを素通りしドレッシングルームに消えてしまう。
31:52 クレインズ6点目(EQ) G24飯塚(rebound/正面やや右寄り/3m)←A3伊藤賢吾←18伊藤雅俊
2on2で人数は揃っていたが左サイドを上がっていった雅俊が敵陣に入ると賢吾がオーバーラップしブルーライン中央付近でパスを受けすかさずシュート。H32がブロックするも脚元にコントロールされており、リバウンドがゴール右手前に出てしまう(しかもH32がやや態勢を崩してしまいリバウンドを出した側のスペースを開けてしまう)。そこを右サイドから詰めていた飯塚が拾い叩き込む。
32:10 C17 Tripping
ハルラのPPはまた一段とパスが多くなり守る方としては楽だった。そして、PK終了後に飯村がペナ箱から氷上に戻ると、そこへ西脇が絶妙な壁パスを出し飯村-ユールの2on1。左サイドを上がっていく飯村が早めに横パスを出しユールに託すと、
34:20 クレインズ7点目(EQ) G75ユール(Slap,onetime/右45度/7m)←A17飯村←11西脇
練習でもなかなかお目にかかれない綺麗な2on1が決まる。飯村からのパスを受けたユールが豪快にワンタイムで叩き込みネットを揺らす。
36:24 H2 Highsticking
1分以上敵陣でパックを保持。ただ、クレインズはハンドリングミスやパスミスを3度犯してしまいそこをハルラのプレイヤーに絡まれているが、試合の流れが決まってしまうと失敗が帳消しになるから不思議だよね。こぼれたパックに絡んでスティックを出しパックがニュートラルゾーンにこぼれるのを読んで他のプレイヤーが前に出ているのだが、こういうときに限ってパックがブルーラインを越えず、クレインズもとりあえず中に戻そうと苦し紛れ気味にパックを叩くと、持ち場を離れたハルラプレイヤーのおかげでまたパックを継続してしまったり...。
点差と状況によっては傷口を広げかねない安易なプレーがまだ見え隠れしている点は見逃せない。
40:00 H32 GK out
Shots on goal:C9,H9
たまたまですよ。たまたま。これが実力だなんて大きな間違い。
まだハルラとの試合は残っているんだから、この試合を完封するぐらいの「課題」を持って相手に嫌なイメージを植え付けておくこと。大差でリードはしているがこれまで再三やらかしているミスは出ているし、気持ちの入ってないプレーもそこそこ見え始めてますから。
第3ピリオド
40:00 H30 GK in
元気に再登場。正GKとしてのプライドでしょうか。
しかし、3ピリ開始早々に気になる出来事が。雅俊がハイハイしながらベンチへ戻ってくる。コーナーの競り合いで脚を痛めたかその後が心配。
40:54 H36 Elbowing
ハルラ陣内。ユールとH36がぶつかり合った瞬間にレフェリーの手が上がるもH30がベンチへ走る。ん、逆じゃないのか?。
雅俊はそのまま引っ込みPPには酒井が入るも、
42:00 H27 Slashing
更にハルラに反則が重なる。こういうときにしっかり5on3の練習をしておきましょう。むしろこの状況だったら決めないと相手に対して失礼。というわけで、11-20-75-7-28の5on3は、
42:12 クレインズ8点目(PP+2) G28テイリー(Slap/右60度/20m)←A7ディック←20三谷
右ポイントの位置からのロングシュートがゴール右手前で何かに当たってスピードが緩まってゴールに入ったように見えた。ユールと西脇が入っており合わせたかに見えたがノータッチ(相手DFの体かもしれない)。
1分半以上残ったPPでは3つ目も氷上に登場する余裕を見せるも決めきれない。
45:10 C28 Slashing
ちょっと厳しいかな、という反則裁定。いや、むしろクレインズにとっては「課題」の克服としてはうってつけ。普段のPKでは出てこない鬼頭や史郎らがシフトされる。またとないこの機会を存分に活用した(よね)と思う。
その後、雅俊の位置には久保が入り、さぁこれから、というところで、
48:56 C23 Hooking
ここまでくるとハルラのPPにも迫力が無く、孤軍奮闘してきたH25も精彩を欠きパスミスを連発。逆にクレインズは思い切った守りができる分だけハルラは思い通りの形が作れず、クレインズに再三のテイクアウェイを許すなど散々。
52:37 クレインズ9点目(EQ) G75ユール(wrist/左75度/6m)←A17飯村←11西脇
そして仕上げはユールのハットトリック。ゴール裏でしつこくパックを繋ぎハルラの守りが甘くなったところを突きゴール裏の飯村から左サイドのユールへパスが通るときっちりユールがH30の左肩口を捕える。
その後はユールも引っ込み2つ目には博史が入り、4つ目も今村が入って最後まで対応。一方のハルラは既に疲労困憊という感じでベンチに戻ってくるプレイヤーもヘトヘト状態。
59:07 H2 Slashing
60:00 C61/H30 GK out
Shots on goal:C7,H5
予想外の結果でした。
しかしながら、1点差でも大差でも1勝は1勝。手放しで喜んでいる暇はありません。1日置いた地元での第5戦を取って対戦成績で1つ抜け出した格好で敵地に乗り込む形は今のクレインズにとっては勝ち上がるためには必須条件でしょう。今日は、たまたま流れが一気にクレインズに傾いただけ、ぐらいに思っておく方が無難です。そこまで強いチームではないですからね(残念ながら)。
ハルラは結果的にマルティネツの欠場が響いてますね。その分、ラドゥンスキへの負担が増えましたから。もっとも、他のプレイヤーが今一度奮起する可能性も十分に考えられ、その分の伸びしろはクレインズのそれよりも遥かに多いと思うので、クレインズはハルラの強力な攻めを今日の試合のように早め早めで封じることができるか、リスクの少ないプレー(特に自陣で)を選択できるか、そしてゴーリーがどこまで踏ん張るか(石川は完封したけど状況によっては清川を使う場面だってあっても良いと思う。ベンチからしっかり声が出てるし戦況を「冷静」に見てますから)が試合を優位に運ぶポイントだと思う。
まだまだヤマ場はこれからこれから...。
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