2008.09.21 14:00〜16:15 苫小牧・白鳥アリーナ
アジアリーグアイスホッケー2008〜2009レギュラーリーグ
王子イーグルス 対 日本製紙クレインズ 2回戦


オールメンバー
【日本製紙クレインズ】(black)
61石川-42清川
3伊藤賢吾-28ティリー-75ユール-12フェアチャイルド-18伊藤雅俊
7ディック-23大澤-24飯塚-20三谷-11西脇
2外崎-34原武-10山野-17飯村-16今村
33鬼頭-37角田-14佐藤匡史-21酒井-19佐藤博史

【王子イーグルス】(white)
30荻野-61春名
5パーソン-6川島-9岩田-12エンディコット-3小川(勝)
44キャラー-20山下-17石塚-16斉藤(哲)-7百目木
27南-28磯島-82外崎-13小川(将)-25河本
22曽山-34高橋-14追切-24桜井-11鈴木

レフェリー:川村
ラインズマン:松田、伊藤

第1ピリオド
00:00 GK in C61/O30

昨日同様、序盤から睨み合いのような互角の動きを見せるも、シフトが2回り目となった1つ目同志のシフトで試合が早くも動く。

03:40 王子1点目(EQ) G12(touch/ほぼ正面/2m)←A9←3
自陣ゴール裏で結構好き放題にかき回される。反則が怖いのか、王子の動きが鋭いのか、いずれにせよクレインズのチェックをあざ笑うかのように左右の揺さぶりを掛けるとラップアラウンドでゴール横からこじ開けようとパックを押し込もうとする。勿論、ゴール右横脇で石川が正対していたが弾いた(体に当てられた)パックはクリーズ内に転がった。このパックに先に触ったのはO12。一杯に伸ばしたスティックがわずかに勝り、あっさり押し込まれる。クレインズ自慢の1つ目も、王子の粘り腰の前に成す術無し。

04:01 O17 Holding
点の取られ方が悪かったが試合はまだ始まったばかり。相手陣内に攻め込んでる中で反則を誘うと同点のチェンスを迎えるのだが、このPPがなんともお粗末。セットしても2,3回パスをつないだところで王子の早い出足の前にミスを連発。自陣からの攻め上がりも前へ早く出ようとするパスレシーバーの動きは良いとしてもパススピードが遅いのかカットされてしまう。これでは今日も苦戦するに違いない。

試合はその後、膠着するも、追いつきたいクレインズの方がややパックを扱う場面が多い。が、王子は攻め込まれても慌てず、クレインズのパスラインを殺しており、敵陣に入っても左右両サイドのボード付近からの攻めに抑え込んでおり、攻めのパターンを絞らせている。

だが、そのまま黙って王子の守りに屈している訳ではないクレインズ。雅俊がキャリアとなって敵陣に入ると、後を追ってきたティリーにドロップし、自身はゴール右サイドへ移動。その間、奥に入ったユール→逆サイドへ鋭い横パス→予定通り雅俊が入り軽く合わせるもパックはO30の左肩口をかすめ、ゴール右上スミを捉えたかに見えたがポストをかする。

13:17 O7 Holding
O7がクレインズ陣内を左サイドから抜け出そうとするも、そこへ大澤が懸命に戻り体を入れ競り合いに持ち込む中で逆に大澤の動きが封じられ反則をもらった。

このPPではパックをゴール前に徹底的に集め、混戦上等、ゴール前勝負に打って出る。ゴール裏からのセンタリングが通り正面から雅俊が叩くもこれがO30の好守に阻まれブロックも勢い余って前掛かりになっているO30。さらにそのリバウンドが同じようなところに出てきたところを今度はユールが叩くもなんとこれが倒れこんだO30の手元を捉えてしまう。

なんとか王子の守りを崩したいところなのだが、まともにパックキャリアがオープンサイドを上がっていっても横パスが出るのを待って叩こうとする中央及び逆サイドのプレイヤーに対するパスコースを潰されているため、カットされまいと出す横パスがことごとく前、前に出てしまい次の攻撃につながらない。
では、それを上回る突進を見せることで活路を見出そうと、17分過ぎ、左サイドを上がっていく飯塚が鋭い横パス。やはり前目に出されたパスはそのまま右へ流れていくかと思いきや、態勢を崩しながらもブレードをしっかり伸ばしパックを当てに来たのが西脇。飯塚からのパスを見事に合わせたところで転倒しそのままボードへ滑っていくナイスファイト。しかし、肝心のパックはわずかに枠を捉えきれずの右に流れていく惜しいプレー。

19:44 C7 Holding
自陣に戻されたパックの1対1の争奪。思わず手を挙げ「やってない」をアピールするも、それが逆サイン。平然と倒しっぱなしにしときゃいいと思うのだが...。

Shots on goals:C13,O10
余りに決まらないPPは深刻。メンバーをウィングだけワンポイント的にいじってみるとか、より点を取るための確率を上げるための可能性を少しでも探っていくことはしないのか(決めてもらわねば困るし、コロコロ変えては格好がPPに起用されているプレイヤーのプライドを損なう可能性もあり、ここは結果を出すまで我慢するしか無いのはよくわかる)。昨日から都合7回連続失敗はいかに王子が相手だとしても問題。


第2ピリオド
王子のPPは昨シーズンの成功で自信を深めたのか、O24を4つ目から上げる1つ目は決まりそうな雰囲気を醸し出している。このPPでは石川の踏ん張りもあり、無得点に切り抜けたが、クレインズの1つ目と比べると熟成度という観点で見劣りしてしまう。

だが、2ピリ開始当初のPKを凌ぐと、まるで昨日の試合を見るかのようにクレインズも攻勢が始まる。
3分過ぎ、ニュートラルゾーン奥からボードに当てて前へ流したパックが丁度、メンバーチェンジで入ってきたフェアチャイルドの前に転がった。王子のプレイヤーが2人残っていたがいずれもニュートラルゾーンの中央で逆を突かれた格好になり、フェアチャイルドがノーマークになる。懸命に戻る王子の2人のプレイヤーが背後からスティックを伸ばす前にフェアチャイルドがバックハンドで右脇(或いはトップ)を抜こうとするも、O30がうまく体を寄せておりブロック(こういうのを鮮やかに決めてくれ欲しいなぁ、というのは無理なお願いでしょうか?)。しかし、パックはルーズになっていたが、

23:51 O6 Holding
自らリバウンドを拾ったフェイチャイルドの動きを止めに行く。

昨日から通算8回目のPPだが、直前のプレーはまさしく1点もののプレーだっただけに、ここも失敗すると試合の流れが傾きかけない重要な局面。

24:09 クレインズ1点目(PP+1) G3伊藤賢吾(refrection/正面/5m)←A28ティリー←12フェアチャイルド
やっと決まった!。
ゴール前に雅俊がスクリーンに入りつつ、右サイドのフェアチャイルドからゴール正面ブルーライン際のティリーにパス。賢吾がゴール前に果敢に上がって更に混戦状態になる直前にティリーがスラップを放つ。昨日のゴールと同様に地を這う低い弾道にコントロールされたシュートがゴールに吸い込まれた。と同時にシュートコースに横突っ込みしていった勢いで転倒した賢吾と雅俊がうつ伏せで氷上を滑走していった。発表は賢吾のゴール。シュートに対して飛び込んで角度を変えた模様。

一気にクレインズに流れが来た。

25分過ぎ、直後の2つ目がクリアされかかったパックをブルーライン際で止め、ゴール前にパックを流すと原武が果敢に飛び込む。ゴールには向けられなかったがエンドボードに流れたパックをダーシが拾ってすかさずラップアラウンド。ゴール右脇からバックハンドでねじ込もうとするも止められる。

26分過ぎ、飯村が左サイドでパックをキープすると当たりに来る王子のプレイヤーを引き付けつつ前にパス。飯村に当たりに行ったプレイヤーの裏へ今村がスッと入りレシーブするとそのままゴール左から正面に切り込みシュート。更にリバウンドを叩くもO30の好守に阻まれる。

27分過ぎ、1つ目が王子陣内奥でサイクリックにパックを繋ぐと右から内側に切れ込むように弧を描いたフェアチャイルドがゴール前ににじり寄りシュート態勢に入ったところでなぜか笛。

27:41 C75 Interference
フェアチャイルドをサポートしようとする気持ちはわかるが、後を追っていった王子のプレイヤーを引っ掛けてしまう痛い反則。

しかし、流れはこの程度ではたゆらなかった。
飯塚、飯村、西脇が敵陣深くプレッシャーを掛け、王子のミスを誘うとPKでありながらも一時的に3on2の数的優位を作り、積極的な守りで王子の攻めを実質15秒程度に抑える効果的なプレー。

31:31 O17 Highsticking
極めつけはニュートラルゾーンでのフェイスオフが即、笛で止められ、「はて何のことやら」と思ったら、どうやら王子がフェイスオフ直後に余計な反則をしでかしたらしい。明らかに不用意な反則と言っても過言では無い。願っても無いチャンスが転がり込む。

そして32分過ぎ、早いパス回しからゴール右手前のユールから左サイドの雅俊への横パスが通った。瞬間、オープンネットになっていた。「もらったぁ!、逆転ゴール」と誰しもが思った矢先、雅俊が一瞬パックを弾いてしまう。それでもまだ間に合うと思われた直後、なんと足元にパックが流れてしまい叩けない。
が、そのまま相手にパックを渡すことなく、敵陣で再度ボックスを立て直そうとパックを一旦ブルーライン付近に戻す。ところが、このパスがやや長い。ただ、長くても十分に保持できる余裕があったにも関わらず、先にパックに追いついたのはO9。「何故?」。ユールへのパスが流れたのだが、流れたパックを追っていく一歩がO9よりも遅れていてはお話にならない。懸命に後を追っていくも辛うじてシュートを邪魔しに行くのが精一杯(石川がシュートコースに正対し失点は免れたが)。

33:35 C75 Hooking
勝ち越すチャンスを潰し、逆に相手にPPを献上すると...。

33:56 王子2点目(PP+1) G44(Slap/左45°/20m)←A20←16
漏れなく失点。
勝負処のツボを押さえるのは王子の方が一枚上だったか。
最後は素早いD-DパスをO44が叩きネットがビヨーンと揺れる。素早いサイドチェンジにクレインズ守備陣は手が出ない。

その後、クレインズは試合の流れを手放したかのように拙攻を繰り返す。
攻め込んではいるものの、シュートを打つのを一瞬躊躇するプレイヤーが続出。連続攻撃で王子の守りが小さくなりDFの位置に戻されたパックは周囲に人が居ない何でもできる空間があったにも関わらず、正対しているO30の姿に恐れをなしたかのようにゴール横へパスを出す。そこは混んでる場所でしょ。案の定、パスはカットされ勝負しないうちにパックが遠いところに行ってしまう。
また、逆にゴール前にフリーで上がろうとしているプレイヤーが居る(もちろん、早めにパスを出せばパスコースが確実にある)のに自分で勝負しに行ってしまう悪循環。
懸命にゴール前のいい位置に入ろうとする気持ちはわかるが完全に脚を無くしたままゴール前で立ち尽くし、クリアされたパックをニュートラルゾーンで素早く立て直しリスタートしようとすると、未だオフサイドを解消できずに居たりと、にわかに信じられないプレーを連発しチャンスを潰す。

Shots on goals:C15,O11
全員が「なんとかしよう」と思う気持ちは伝わってきます。痛いほど。ですが、その程度で空回りするようなプレイヤーの集まりではないはずです。声掛け、指差確認、冷静なプレーの反芻。短い間で修正できることばかりでは無いのでしょうか?。


第3ピリオド
昨日の試合同様、3セット回し。クレインズは14-21-17で今日も臨む。

43分、45分、47分とクレインズがスコアリングチャンスを作るも決め手に欠く。
特に47分のチャンスは右サイドをフェアチャイルドがパックを持って走り、パーサイドをユールが飛び込む2on1の絶好の形。早めに相手の守りがキャリアに寄ってきたので横パスを出せば何でもできた場面を自分で勝負に行くも枠を外す。そのパックを拾って連続攻撃に繋ぐもゴール周辺の細かいパスを執拗に繰り出すも、通る確率の低い高精度のパスなんぞ綺麗に通るはずもなく、では立て直そうとDFに戻したパックもその後の展開に時間を要し、王子のプレスを受けるだけになりパックを放り出しチャンスを潰す。
1ピリに王子の守りに手を焼いていた時よりも攻め込む場面が多くなっているだけに、これもクレインズがここまで我慢してきた結果だと言えるのだが...。

47:44 C7 Holding
ボードを使い、プレスを掛けてくる王子のプレイヤーの裏にパックを流そうするも当てられてしまい、逆にパックがジョーの横を通過し後ろ(自陣方向)へ流れていく。そのまま王子のプレイヤーに裏を取られかけるところを追い掛け止めに入るも...。

48:56 王子3点目(PP+1) G6(Slap/右45°/20m)←A5←24
痛恨の反則、そして痛恨の失点。2失点目と同じような形でDFからのロングシュートがゴール前のスクリーンの効果もあってか石川、全く反応できず、パックはまっすぐゴールに吸い込まれてしまった。

重い重い3点目を献上した後は、なかなか良い形が作れず、王子の守りの前に攻撃を完遂できないまま敵陣で、或いはニュートラルゾーンでパックを押し戻される場面の連続で、正直なところ、点が入りそうな雰囲気が感じられなかった。

53:49 クレインズ2点目(EQ) G14佐藤匡史(wrist/正面/6m)←A17飯村←34原武
そんな重苦しい展開を一気に変えたファインゴールが生まれる。
右サイドを上がっていく飯村がフェイスオフサークルの右ハッシュマークあたりから横パス。ここまで、このゴール前へ送るセンタリングがことごとくカットされていたが、ここはゴール前ではなく、左右のフェイスオフサークルの間にコースを変えると、ゴールに近い位置で横パスをカットすべくボジショニングしていた王子のDFの裏をかく格好になりゴール前の高い位置がガラ空き。そこに匡史がタイミング良く入ってくると素早くしかも鋭いシュートを繰り出し、O30の左肩口を抜き鮮やかにゴールネットを揺らす2試合連続ゴール。

1点差に迫ったことで流れが一気にクレインズに傾く。

54分過ぎ、王子が自陣でタマ出しにもたつき、ゴール前でパックを手放す。そこへ詰めていた西脇が入り距離こそ短いが一瞬ノーマークに。最初のシュートを決めきれなかったが、リバウンドを取りにゴール右脇へ入っていくところを後ろからつかまれ倒される。後を追うプレイヤーが反則を取られる典型的なパターンだったが、まさかのノーコール。

再び勢いを取り戻したクレインズに対し、シフトをずらしていた王子がクレインズの1つ目に対して1つ目を合わせ、互角の流れに持ち込もうとするあたりは、ベンチの冷静で心憎い判断を垣間見た気がする。

58:30 O5 Holding
本部席前からのクロスパスをベンチ前のブルーライン際で受けた雅俊。O5に体を寄せられ一瞬パックコントロールを失うも強引に体を入れゴール前まで迫っていく勢いが最終的に勝り転倒。反則を誘うとそのままアドバンテージ。エキストラアタッカーにダーシが入り攻撃を継続するも早々にパックが王子に渡ってしまう。

58:30 C Timeout
すぐさまタイムアウトを取り1つ目を休ませ再びシフト。敵陣のフェイスオフを奪いシュート&リバウンドをゴール前で詰めるもO30を崩しきれず。次のフェイスオフは相手に奪われクリアされる(そのまま氷上は1つ目のままで良いのかい?)。

59:15 GK out C61

自陣から攻め上がるところで石川が上がりダーシが氷上に出るとそのまま自身で持ち込み敵陣に入り起点となり、コーナーで王子のプレイヤー2人を引き寄せると混戦からパックを出し左サイドボード際から逆サイドのゴールライン付近へのクロスパス。待っていたのはフェアチャイルド。角度こそ薄いが絶好のバックドア。これをきっちり決めてこそ助っ人の仕事、と期待したワンタイムシュートは惜しくも枠の外。
最後まで食い下がったが、これがラストチャンスだったようだ。

60:00 GK out O30
Shots on goals:C15,O9

昨日心配していたPP成功率の差が結局、点差になって現われてしまった(C:1/5、O:2/4)。
ようやく2ピリに1本決め片目を開けると、11分に相手の反則で勝ち越せる場面でのプレーが結果的に勝敗を分けたと言っても過言ではないだろう。オープンネットを前にしてパックが手に付かず好機を逸し、攻め疲れで脚を無くしたところで相手にパックを奪われ逆に反則を犯すと、そのPKを守り切れず失点。1点リードする場面が逆に1点リードされてしまう。折角、来ていた流れを自ら手放してしまっては勝てる試合も勝てない。さらに、2ピリ中盤で明らかに脚が止まってしまいパックを満足に追うことができなかったユールに対して、(3ピリで回復することを期待した上で)フレッシュな選手を一時的に起用するということをベンチは考えなかったんだろうか。勝つために主力セットの一人として役割を担ってもらいたい気持ちは理解できるし、プライドを傷つけることにもなり兼ねない。だが、足手まといになるぐらいなら周囲のプレイヤーと調和の取れるセンスを持ったプレイヤーの一時的投入があれば悪くても同点のままで踏ん張れたようにも思えただけに、観ている方としては実に悔いが残る試合だった。

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