2008.10.19 14:00〜16:10 釧路・釧路アイスアリーナ
アジアリーグアイスホッケー2008〜2009レギュラーリーグ
日本製紙クレインズ 対 日光アイスバックス 2回戦


オールメンバー
【日本製紙クレインズ】(Black)
61石川-42清川
28ティリー-3伊藤賢吾-14佐藤匡史-12フェアチャイルド-18伊藤雅俊
2外崎-23大澤-75ユール-20三谷-17飯村
7ディック-34原武-24飯塚-21酒井-11西脇
33鬼頭-19佐藤博史-16今村-15土塚-47久保

【日光アイスバックス】(White)
1橋本-30川口
3尾野-50岩崎-10大日向-47篠原-21小林
6加藤-7福澤-91波多野-16土田-20ギルグリスト
2萩原-34岡本-12ラフリニエール-45瀬高-11塚田
22中居

レフェリー:滝澤
ラインズマン:高橋、三本


第1ピリオド
00:00 GK in C61/B1

昨日はバックスの立ち上がりが悪かったところもあるが、今日は試合開始当初から互角に渡り合い、クレインズの自由にはさせないという気合が充分に感じられた。

03:27 C28 Tripping
シュートのリバウンドの争奪を巡ってゴール前で混戦。こぼれたパックを向かって飛び込んでいったバックスプレイヤーの進路にティリーのスティックが出ていた。そのスティックとは関係なく前へ倒れたように見えたが、瞬間的に脚が動いていたかいなかったかの差が反則になった。

昨日のバックスのPPでは肝心な場面でのシュートミスが目立っていたが、今日はしっかり立て直しており、ビハインドザネットからゴール前にクレインズ守備陣を集めたところで外のDFに振ってロングシュートのリバウンドを叩くという実にシンプルな攻めを見せるが、さすがにゴール前のリバウンドの処理はクレインズの方が早く、最初のピンチを守り切ると、

07:23 クレインズ1点目(EQ) G23大澤(touch/正面/1m)←A17飯村←75ユール
昨日は肝心な場面で外しまくったユールが起点となり、敵陣へパックを運び右サイドから切り込んでスロットに入り込んでいったところで相手の反則をくらい(アドバンテージでプレー続行)態勢を崩したままゴール前に体が流れる。ゴール前はにわかに混戦状態となり懸命にパックをフリーズしようとB1を含め数人のプレイヤーもみ合う中、肝心のパックはゴール右横にこぼれており飯村が拾ってゴール前に流すとパックはクリーズへ。そのパックを膝まずいたB1が抑えるよりも先に大澤が飛び込んで押し込んだ。

形は良くなかったが、昨日はゴール周辺で詰めの甘さが終盤まで試合を混沌とさせていた要因の一つでもあっただけに、力で押し込んだ形が見えたのは良かった、という舌の音も乾かぬうちにカウンターパンチをくらう。

08:38 バックス1点目(EQ) G20(wrist/右45度/7m)←A45←91
氷上には若手中心で臨んだ4つ目が出ていた。昨日の悪い流れを若い力で払拭せんとばかりに敵陣で懸命にパックを繋ぎ最後は左サイドのベンチ前あたりから鬼頭がゴール前にセンタリングを出すも、このセンタリングがどう考えてもバックスのプレイヤーに当たってしまう確率が高いコースにパックを出してしまう。案の定、ゴール前でしっかりパックを止められると素早くタテパス。鬼頭が入りこんでいた分、人数が足りなくなり気がつけば2on1。それでもうまくパックキャリアが横パスを出させずシュートしか打たせない形でディフェンスしたものの、余裕を持って放たれたシュートは、前へ出ていた石川の右脇をかすめゴールポストを直撃しゴールに入ってしまった。

勢いずくバックスは、その後、随所でクレインズを圧倒。敵陣、自陣関係無しにフォアチェク、バックチェックをきちんと入れパックに絡むとこぼれたパックの争奪でも強い当たりでクレインズのプレイヤーを吹っ飛ばすなど気迫のこもったプレーで互角、いやむしろバックスが押し気味に試合を進める。

クレインズも10分過ぎに、バックスの守りが甘くなっていた左コーナーでの競り合いから酒井が抜け出し単独でゴール前に切り込み最後はB1と1対1になるも肝心なところででパックを押し込み切れない。

昨日は自陣からの攻め上がりにもたつきを見せていたバックスも今日は空いたスペースにパックを放り出しフォローしていたプレイヤーがスピードに乗ってパックを拾って前進しあっさりとニュートラルゾーンを越えていく場面が見られクレインズも自陣で守り切っても早いプレッシャーに思うようにパックを運べずやや攻めあぐねる。

12分には敵陣左コーナーからのセンタリングをゴール前で雅俊が、13分には右サイドから半ば強引に放ったダーシのミドルシュートのリバウンドが正面に出たところを西脇が飛び込んでいくもきっちりマークが入っており阻まれる。

13:43 C7 Interference
やや焦りたくなる気持ちも分からない訳ではない。
ニュートラルゾーンのベンチ側フェンス際でダンプしたパックを追っていこうとしたバックスのプレイヤーとジョーが接触も、バックスプレイヤーが一歩前に出てしまったところを慌てて止めに行ってしまい転倒。発作的にスティックを手放し手を挙げて「無実」をアピールするもそれが「ボクやっちゃいました」のサイン。

ちょっと嫌な流れになりかけた時間帯だったが、クレインズのプレイヤーも全員が全員やられまくっている訳ではない。自陣からクリアしたパックがバックスのゴール左後方まで流れていく。バックスはメンバーチェンジで誰も処理に行っておらずやむなくB1がクリーズを出て遠くへ飛ばそうとする直前にユールが追い付くも、

15:32 B1 Interference(#22代行)
結局、パックはバックスに渡ってしまい惜しかったなぁと思われた直後に笛。ユールが戻されていくパックの方向に走り出そうとする直前にB1が動きを邪魔する。

一転してクレインズが突き放すチャンスになるも、1つ目がチグハグな動きを繰り返し攻め込むどころか、逆に賢吾の中途半端なオーバーラップをカットされ逆に2on1の形を献上。なんとか失点こそ免れるもPPを30秒以上無駄にしたが、代わって出てきた2つ目がミスを帳消しにする。

16:59 クレインズ2点目(PP+1) G75ユール(slap/左45度/13m)←17飯村←2外崎
自陣から外崎が左サイドのボード際を上がっていき、そのまま敵陣に入り起点になると、後から敵陣に入っていきた飯村とポジションチェンジしつつパックを受けバックスの守りを低い位置に引きつける。これで生まれた左サイド、ポイントの位置のスペースにユールが入ってパックをキープすると素早いモーションからロングシュートを放つ。やや予想だにしていなかったか、バックスのゴール前に入っていたDFが何もできないままパックはゴル左を襲う。その方向に正対しようとスライドインしてきたB1だったが一瞬マタを閉じるのが遅れそのままゴールへ。昨日の再三のミスを取り返す技有りのシュートで勝ち越し。

18:23 B21 Hooking
更に反則を連発。1ピリも終盤にきて、ややバックスに集中力が欠けたか。クレインズに取っては押せ押せの展開。ゴール横のケリーから正面に入っていた匡史へパスが綺麗に通ると至近距離からすかさずシュートもこれがB1の正面に飛んでしまい追加点ならず。

Shots on goal:C14,B12
バックスの気迫にかなり押され気味だったが、数少ないチャンスをモノにし、なんとかリードしているという感じ。だが、とてもこの先、安心した試合運びができるとは思えない予断を許さない展開が予想される。さぁ、どうするクレインズ。


第2ピリオド
案の定20秒ちょっと残っていたPPでは何もできず。

氷上はまたも4つ目。シフトされるたんびに押さ気味だっただけに、ちょっと心配していたのだが、

23:53 バックス2点目(EQ) G21(reflectin/正面/2m)←A47
自陣で守りが後手に回りパックを繋がれる。最後は右コーナーからゴール前い出たパックに体ごと飛び込んで行ったB21を止めきれず、まさしくセンタリングにぶつかっていく形でパックを押し込む(脚に当たったように見えたが)。

どうにも主導権が握れずやや浮足立っているように見えたクレインズだったが、1ピリでも良い形になった左右コーナーからゴール前へのセンタリングに活路を見出すと、

26:42 B50,B45 Tripping
飯塚、西脇がゴール裏で再三粘り、ビハインドザネットから飯塚→西脇へパスが通ると西脇がシュート。決まったかに見えたがB1の左脚が伸びてきてブロック。そのこぼれたパックを再び飯塚が拾って自分で切り込もうとしたところで最初の反則を誘い、さらに倒されながらお飯塚がゴール前に流したセンタリングへ西脇が飛び込んでいく。叩けば入る、という場面だったがその西脇も転倒し、ダブルのトリッピング。丸々2分間のPP。勝ち越すにはうってつけの場面。もしかして一気に2点、というチェンスが転がり込む。

ところが...。12-20-75-3-28、12-20-75-3-7、18-12-75-7-28、24-17-1-3-23と手を変え品を変え繰り出すクレインズ「自慢」の超スペシャルセット達がことごとく「粉砕」。完全にオープンネットになっているにも関わらず、触るだけで入るはずのパックをご丁寧にB1が倒れているところに流してしまうなど見るも無残な結果に終わり場内の溜息を誘う。

あまりにお粗末で声も出ない。

しかし、結果的にこの5on3の失敗がクレインズに取って「良い薬」になって作用したようだ。

29分には、11-21-19のPP副産物セットがしつこくパックをつないでバックスの守りをゴール前に集めさせ、最後は外崎がロングシュートを浴びせる(ただ、そのシュートがゴーリ
ーがキャッチしやすい高さに浮いてしまうのはいかがなものか。折角の連続攻撃をただ止めてあげたに過ぎない)。

30分には、ここまで精彩を欠いている1つ目がビハインドザネットからゴール前にパックを集め混戦に持ち込む。B1が先読み先読みで再三ワンタイムシュートに備え膝を着くも最後の最後でパックを叩けない。

32分には、2つ目が、やはり今日良い形ができているコーナーからの攻めを起点にパックを繋ぐと、最後はゴール裏からのセンタリングを飯村が左サイドノスロットからワンタイムで合わせるも枠を外す。

この流れを3つ目がついに形にした。

32:54 クレインズ3点目(EQ) G24飯塚(onetime/正面/2m)←A11西脇←34原武
昨日からゴール裏から素早いセンタリングで相手の動きを翻弄しようと奮闘していた西脇の「技(?)」がようやく結実。一瞬早くゴール前に入っていた飯塚が合わせると、一瞬B1に阻まれたかに見えたパックがゴールを捕え再び勝ち越しに成功。

33:25 B50 Slashing
良い流れになってきたところでPP。ここで突き放せればここまでの2失点はご愛敬で済むのだが、どうも外から放つDFからのロングシュートがあさっりB1にキャッチされる打球しか打てないのはいかがなものか。浮かせるようなシュート(をサイドで合わせて角度を変える)を打つんだとしたら人の居るコスに打つべきだと思うのだがそこには誰もいない。ましてや、余裕でキャッチされるような高さではリバウンドなんぞ全くもって期待できない。やはり詰めの甘さが目立つなぁ、と思われた2ピリ終盤。そんなクレインズを救ったのはユールだった。

37:05 クレインズ4点目(EQ) G75ユール(wrist/右45度/8m)←A7デイック
ニュートラルゾーンのボード際でジョーが出したパックにユールが素早く反応しまっすぐ突進。そのまま敵陣に入るやいなや素早いモーションからミドルシュート。これがゴールやや左の枠を捕える格好で飛んでいく。コースに正対していたB1がシュートをブロッカーで処理しようとするも予想以上に早いシュートに手だけでブロックする格好になり差し出した右腕に当たりパックが入ってしまう。

39:10 クレインズ5点目(EQ) G20三谷(reflection/ほぼ正面/2m)←A75ユール
更に、バックスが自陣奥のコーナーから攻め上がろうとパックを出そうとするも空振り。それをユールが見逃さずパックを奪うと、ゴール前に戻ってきたダーシ目がけて横パス。やや高く浮いたものの、ダーシが空中でブレードに当てて角度を変える。

shots on goal:C20,B7
決定的なチャンスだった5on3を失敗したことが逆に良かったのかも。中盤から俄然動きが良くなり敵陣での連続攻撃の場面も数多く、結果的に終盤にバックスのミスも見逃さず一気に突き放す。災い転じて...という感じか。


第3ピリオド
あとは、いかにしてこの試合を「締めくくる」か。無論、今後の試合を見据えるならばこのまま2失点で終えること。敵陣で試合を運ぶこと。相手に攻めの形を作らせないこと。そして、つまらない反則をしないこと。
その思惑通り、立ち上がりから1つ目、2つ目が敵陣でパックを動かし続ける。バックスも諦めずに体を張ってこれ以上の失点を防ぐべく良く守っていた。
3分過ぎには、ケリーからのタテパスを匡史が敵陣ブルーライン際で受けると巧みにマークを交わしノーマーク。決定的な1点が入るかと思われたが決めきれない。
5分過ぎには、飯村が右サイドからミドルシュートを放つも直後に体を入れられうずくまる。が、まだ攻撃が続いているとすぐさま立ち上がり攻撃参加。笛を吹かれてプレーが止められないよう我慢するなど、思惑通りの試合運びを見せてくれていたのだが...。

46:00 バックス3点目(EQ) G91(backhand/正面/2m)←A21←47
本部席前でのパックの争奪にあっさり負けてしまうとここぞとばかりに飛び込んできたB21がパックを拾ってタテ突進。あっさり置いて行かれ2on1を献上。最後は早めにパックを離しB91がブルーライン際ゴール正面で受けるとノーマーク。右に1つフェイントを入れられ石川が態勢を崩すとバックハンドで鮮やかにパックをゴールに流し込む。

これでバックスが息を吹き返さなければいいのだが...。

51:17 C3 Roughing
自陣で守りに回ってしまう。ゴール裏でのボード際の競り合い。バックスもそう簡単には潰されまいと粘りに粘ってパックを生かす。賢吾も懸命にチェックを入れなぎ倒す格好で相手の動きを止めたまでは良かったのだが、起き上がり際にスティックをつかまれ振りほどこうとしたプレーが反則になる。それでなくてもレフェリーが注目している場面であることは承知していたはずである。反則を取って下さいと言わんばかりの余計なプレー。

52:21 バックス4点目(PP+1) G47(onetime/左30度/5m)←A10←21
これが高くついた。
このPK全員が良く踏ん張って距離を開けないように一定のプレシャーを与えつつも自陣で我慢していた。が、ビハインドザネットから左サイドに出されたパスを叩いたB47のシュートはダフリ気味。これが幸いしハードヒットしなかった分、パックのスピードが落ち、更に正対していたはずの石川の左肩口をフワリと越えていったからたまらない。

勢いずくバックスベンチ。一瞬声を失うクレインズベンチ。

こうなると、「今から攻めろ」って思っても、カウンターが怖くて人数掛けられないよねぇ。で、次第に攻めが淡泊になり敵陣まで行っても攻撃が単発で終わってしまう。勿論、ここでズルズル行くようではあまりにお粗末。さすがのクレインズもバックスの攻めに対して早め早めで対応。ニュートラルゾーンでパックキャリアに絡みスムースな攻撃を許さない。互いに膠着したままなんとか残り1分にこぎつけた。

59:07 B Timeout

ここは最後の踏ん張りどころとばかりに、12-20-75-3-28で守りに入る。

59:13 B1 out

が、六人攻撃を仕掛けたバックスもここへ来て焦りが出たのかニュートラルゾーンでパックをカットされダーシにシュートを許す。これを辛うじてジャンピングブロックで角度を変えエンプティネットを免れる。残り20秒弱でバックスの攻撃もラストチャンスと思われたパックも高い位置でユールが絡んでパックをカット。ルーズになったパックをケリーが拾う。ニュートラルゾーン左サイドのボード際だったが、そのままゴールに向けて打っていくと思ったが、なんと中央に居たダーシへ横パス。これをきっちりカットされて反撃をうらうなど最後まで精彩を欠いたケリー。結果的に最後の攻めもティリーがブルーライン際で絡んで弾き返し一度も自陣に入れることなくタイムアップ。

60:00 GK out C61

Shots on goal:C11,B7
最終的に勝ったから良かったものの...。
どうして緩めてしまうんでしょうかねぇ?。
まだバックスとは4回も対戦する訳なんだから、突き放せとは言わないまでも、この試合は2失点で止めなきゃ。むしろ、3点差になっても最後まで諦めなかったバックスの選手達の方が「出し切った」っていう充実感に満ちていたように見えたのは私だけではあるまい。少なくとも今日は試合を通じてバックスが一生懸命走り続け、パックを追い続け、激しい当たりを繰り出し続けており、クレインズはその間隙を縫って点を入れただけに過ぎないような気がする。後に控えるシャークス3連戦が違う意味での真価の問われるシリーズになってしまった。とてもとてもこの先安心して試合を観ることなんかできません。

前に戻る

1