2008.11.19 18:30〜20:40 札幌・月寒体育館
アジアリーグアイスホッケー2008〜2009レギュラーリーグ
日本製紙クレインズ 対 High1 3回戦
オールメンバー
【日本製紙クレインズ】(Black)
61石川-42清川
28ティリー-3伊藤賢吾-11西脇-12フェアチャイルド-18伊藤雅俊
2外崎-23大澤-75ユール-20三谷-17飯村
7ディック-34原武-14佐藤匡史-21酒井-19佐藤博史
33鬼頭-16今村-27石黒-47久保
【High1】(White)
31オム・ヒョンスン-39金丸
51マグヌス・オステラビ-18キム・ドンヨプ-33イ・スンジュン-16イ・ヨンジュン-19チェ・ジョンシク
53クリス・アレン-15ファン・ビョンウク-61クォン・テアン-27ブレント・コブロウ-71桑原
24キム・ヒョンス-10キム・ユンファン-9ソン・チヨン・ベネディクト-74クァク・ジェジュン-73キム・ウンジュン
8ユ・ヒョンシク-12イ・ミョンウ-11ペク・ヒョング-7イ・ユ-91ハン・スンウン
レフェリー:Steven Patafie
ラインズマン:小野、市川
第1ピリオド
00:00 C61 GK in
00:00 H31 GK in
開始早々、素早いタテパスから左サイドのボード際を突破したケリー。そのままゴール左横まで上がりDFを引きつけたところでドロップ。スペースに入ってきた雅俊がフリーで合わせるもやや入りすぎてしまいバックハンドとなりパックは相手GKの正面。
この攻めを皮切りに、ここ2試合湿っていた攻撃陣が次々と相手ゴールを脅かしていく、と思っていたのだが...。
High1は自陣に攻め込まれてもゴール前をしっかり固め、ゴール周辺でクレインズに優位な形を作らせず、ゴール後方やコーナーにパックを逃がし、そこで競り合ってパックを奪いクレインズが前掛かりになるところを突こうとする。クレインズも、裏を取られないよう人数を揃えていく。それを見たHigh1はパックをクレインズ陣内に放り込み、クレインズのDFを後に走らせ、DFからのタマ出しをレシーブするウイングにプレッシャーをかけクレインズのリスタートのテンポを遅らせていく。これに嵌ってしまったクレインズ。すっかり、プレーのテンポが緩くなりスピード溢れる展開が早くも影を潜める。
06:54 C3 Hooking
テンポを変えようとボード際を使ってパックを前に運ぼうとするのだが、スペースが無い分だけカットされる。ウィングは先読みして相手DFの裏に走り込んでいるから前に出れば有利な態勢になるのだが、カットされると逆にDFがボード際で相手の出足を止めざるを得ない。という訳で反則。
High1の狙いは少ないチャンスを確実に生かしロースコアの展開に持っていきたいだけにこの反則はうってつけ。しかし、プレーのテンポがそれ程早くない分、クレインズは守りやすかった。またゴール前でもブラインドを作るような動きを見せなかったこともクレインズの守りを助けてくれた。
相手のテンポを乱そうとウィングが空いているスペースに入り、そこに目がけて自陣からダーシがパス。左サイドニュートラルゾーン奥で飯村が受けるとプチ2on1。DFが寄ってきたところをすかさず右手前にパス。走り込んできたユールが合わせファインゴール、と思われたが相手GKが素早く体を寄せシュートを阻む。
High1は3つ回しのため、クレインズは11分過ぎにようやく4つ目をシフト。リズムを変えようとパックキャリア目がけて鋭い突っ込みを見せ動きの良さを垣間見せるが、相手ゴールを脅かすまでにはいかんせんアイスタイムが少ない。
13:24 C20 Tripping
直前、2つ目が自陣寄りニュートラルゾーンで相手の突進を食い止めパックをカットするとカウンター。一瞬3on1となり左サイドを雅俊がパックキャリアで突進。横パスのそぶりも見せずそのままミドルシュート。これを相手GKにブロックされるもリバウンドがこぼれる。交代で入ってきた飯村がゴール正面でこれを拾うも後ろ向き。態勢を入れ替えつつシュートを放つが枠を捉えない。そのこぼれたパックを更につなごうと飛び込んだダーシがスティックを伸ばすも相手選手が転倒。どうもリズムに乗れない。
が、High1の攻めが甘い。プレーを作っているのは桑原一人。彼が氷上に居ないときは殆ど形にならない。自陣からのタマ出しがぶれる。敵陣に入ろうにも放り込んだパックはクレインズがあっさりクリア。自陣にクレインズのフォアチェックを引きつけ自陣からパックキャリアが上がってクレインズ陣内に入り形を作ろうとするも前のPPのようにゴール前のポジション取りが厳しくないからシュートを打たれても単発で切っている。
16:17 H53 Interference
タテパスをレシーブした西脇がブルーラインを中央から抜け出そうと相手DF間をすり抜けていくところを邪魔される。
月寒名物、跳ね返りの良いキックボードを(たまたまか狙ったかは知らん)巧みに駆使。右サイド遠目からのティリーのシュートがゴール裏で跳ね返りゴール左手前に出てきた。シュートコースに正対していた相手GKの裏を完全に衝く格好になり完全にオープンネット。そこに雅俊がスティックを伸ばし押し込もうとするも相手DFが懸命に伸ばしたブレードにわずかに当たりパックをジャストヒットできず。が、チャンスはこれぐらい。敵陣でパックを繋ぐことで精一杯。どうやって相手の守りを崩すかという「狙い」が感じられず、ボックスでプレッシャーは掛けているもののシュートに至る前にゴール周辺の「壁」を越えられない。
19:52 C14 Hooking
Shots on goal:C5,H9
双方とも攻めに厳しさが感じられない。まるで「ひとまず1ピリは0-0にしとこうや」と申し合わせたかのような甘い攻めの応酬。とんでもない凡戦の予感大。
どっちも攻めが甘い分、守勢に回っても余裕を持って守れてはいるが、攻めに回ると強引に相手DFラインをかち割って行こうという推進力が全く感じられない迫力の無さ。High1は試合間隔が開いていたのかそれ程鋭い動きは見られない。クレインズはこれ幸いとばかりに相手の動きに合わせヌルい動きを繰り返す。もっと脚を動かせ。楽しちゃ勝てない。
第2ピリオド
ほぼ2ピリに残ったHigh1のPPだが相変わらずの単調な攻めに助けられる。
氷上は4つ目。なんとか敵陣で良い形を作ろうとコーナー付近でパックの争奪戦を繰り広げるもやや前掛かり。一旦クリアしたパックはニュートラルゾーンへ出てしまう。ところがカバーリングするはずの鬼頭のポジションがやや高く、懸命に伸ばしたスティックをかすめるようにパックが右サイドに流れていく。トランジッションで走り込んでいたH16がパックを拾うと右サイドでフリー。逆サイドにもHigh1のプレイヤーが走り込んでいるが外崎がマークしているだけでH16には誰も手が出せない。
23:02 High1 1点目(EQ) G16(Slap/右45度/7m)←A19←33
1対1なら打っちまえ、とばかりに放たれた強烈なシュートは正対していた石川の体に当たりパックがポロッとゴールに転がってしまった。
流れを変えようとすればする程、深みにはまる嫌な失点。寒気を感じたのは本格的に札幌に到来した冬将軍のせいだけではない。
センターサークルでのフェイスオフを取られるとズルズル下がってしまい、桑原に強烈なミドルシュートを、しかも振りかぶられて放たれてしまう。どうしてそんなスペースを与えてしまうのか。直後に「キン」という乾いた打撃音。パックはゴール右のポストを捕えていたが幸いなことに右に跳ねていき秒殺連続失点は免れたものの、
23:49 C12 Interference
24:01 C75 Tripping
やっちまいました。悪い流れに輪をかける連続反則。今の空気からして、ここで失点することは八割方試合が決まってしまう雰囲気。最初の3on5は20-28-3で守るも、High1は桑原がキーとなりゴール横からの横パスや引きつけてDFに戻し遠目(ほとんどミドルシュート)からシュートを打たせるなど、「さすがクレインズのアキレス腱をご存じで」という厳しい攻めを見せるも、ラストパスを合わせ損なってくれたこと。ゴール前にブラインドを作ってくれなかったことで遠目からのシュートを素直に対応していた石川がブロック。リバウンドを懸命にカットしあと1分。17-7-23に変わるとHigh1も焦りからかクレインズ陣内でパスミスを連発。労せずしてクリアし絶体絶命のピンチを凌いだ。
26:47 H9 Hooking
今度はクレインズの3つ目がこのピリオド、いや、この試合初とも言える連続攻撃を披露。最後はゴール裏のチェックが甘くなったところを酒井が正面にパックを戻す。入ってきた匡史がフリーで叩くも枠を外す。そのエンドボードのリバウンドの争奪で相手の反則を誘う。High1もPPが決めきれず浮き足だっている。
26:55 H53 Hooking
一旦クリアされたパックを自陣から素早く繋ぎ最後は飯村が中央からブルーラインを突破し抜け出すところでたまらず相手が反則。
1分52秒間の5on3。絶好の同点、いや逆転機。ここでクレインズが決めたなら、試合の流れは一気にクレインズに傾く。その流れに更に追い打ちをかけるように、
27:14 H27 Tripping
ブルーライン中央からティリーの強烈なシュート。これは相手GKがブロックするものリバウンドを右手前にポロッ。ユールが叩いて「いただき」と思ったパックはなぜか足元。かずったパックがゴール右奥に流れたところをユールが拾うも相手のブレードがユールの脚に入りひっくり返る。
これで丸々2分間の5on3。更に4分近くもPPが継続するのだが...。
文字にするだけおぞましい場面の連続。DFからのシュートは脚を止めて相手の動きを伺ってからシュート。ゴール前に1人入っているからリバウンドやリフレクションを狙ってるのはわかるのだが...。スペースが目一杯あるんだから強い鋭いパスで相手を幻惑するってことをしないのかしら。ま、それは良いとして、リバウンドを拾ってコーナーから正面に入っているユールヘの素早いパスが通るのだが、このワンタイムシュートが確実に相手GKの「正面」を捕え、リバウンドをクリアされること2度3度。トドメはリバウンドを素早く拾って横パス。待っていたケリーが「いただき」バックドアも、あろうことかシュートは枠の上。気がつきゃ5on4になってたが、DFからのシュートはダフったり、シュートコースに入られた相手プレイヤーに当たったりと散々。
PP明けも、引き気味になったHigh1を攻めつけ、右サイドからゴール前に流した飯村のシュートをユールが入って角度を変えたり、雅俊から右サイドのケリーにつなぎそのまま切り込んでいったり、ゴール左奥からゴール正面の西脇へのワンタイムシュートを打たせたりとさかんに攻めるも決まらない。
33:46 H9 Hooking
なおも、相手の反則。ここで決めないとホントにまずいぞ。
ティリーがブルーライン正面から強烈なのシュート。このリバウンドを西脇がゴール前で拾い体を反転させつつ前屈している相手GKを尻目にゴールの右脇に押し込む。もらった、と思ったが、なんと相手GK、H31の左腕に阻まれゴールが割れない。
36:08 C19 Hooking
だが、High1の攻めが相変わらず淡泊。クレインズ以上に工夫が無い。もっとも、あまり手数が多くない分だけクレインズのPPでのダメっぷりが際立ってしまうのだが。
終盤、連続攻撃を仕掛けるとHigh1の守りが左サイドに固まっていく。ここぞとばかり右サイドを上がっていった賢吾に絶好のパス。右60度位のアングルからスロットににじり寄る。打て、打て、打たない、なぜ溜める、そのままにじり寄る、そこまで行ったら打てないぞ、ほら相手GKが横這だ、賢吾のシュートを阻みに来た、仕方ない横パス、上がっていたティリーが叩こうとするも足元に来てしまいハードヒットしない。
Shots on goal:C15,H9
寒い。ホントにお寒い内容。
第3ピリオド
この状況、というか淀んだ空気を感じていなとは言わせないぞ。
3分過ぎ、スロット周辺よりもゴールに近いところでパックをつなぎねじ込もうと11-12-18が懸命にパックを繋ぐ。
4分過ぎ、左サイドを飯村が抜け出しタテパスをもらうもサポートが遅く、相手DFと勝負し交わしつつも体を寄せられ、でもゴール前まで切り込み押し込もうとする。
更に、相手が3つ目を出した直後にクレインズが仕掛け1つ目を出し揺さぶるも、敵陣で効果的な攻めができず揺さぶり失敗。
5分過ぎ、これも自陣からのタテパスで一気に2on1、右サイドのダーシから早めに左サイドのユールへ託しミドルシュート。これが肩口わずかにかすめる。一旦クリアされるもニュートラルゾーンで素早く立て直し飯村が左サイドからにじり寄る。ゴール前に開いたユールへの横パスが相手DFに当たってチャンス潰えたかに見えたが、逆に飯村のブレードにドンピシャで跳ね返りそのままシュート。決まったかにみえたがこれも相手GKの肩に当たり決まらない。更にそのリバウンドを拾い一旦DFラインに戻しリスタートしようとしたところを桑原に狙われインターセプトを許すとなんと2-0。前に流しH16を走らせるとノーマーク。石川を右に振って左サイドからバックハンドでパックを浮かした。「やられた」。誰しもが思ったその刹那、石川が最後に跳ね上げた右足がシュートを封じるスーパーセーブ。
ここへ来て、ようやくパックが早く動くようになってきた。
49:26 H19 Interference
敵陣でのフェイスオフを奪うと一旦引いてシュート。そのリバウンドを追い掛けたところで相手の反則を誘う。
そろそろ決め頃でしょう。っつーか、決めないと負けちまうよ。
51:20 C7 Elbowing
敵陣で攻めているのにチャンスを潰す。
High1もクレインズに引導を渡したいところだが、遠目からのシュートが中心で攻めのパターンが乏しい。が、乏しいながらもその遠目右サイドからのシュートがクレインズのプレイヤーに当たってゴール正面にこぼれる。そこを突いたH61が突進。そのまま打つと見せかけて、石川を交わすように更に奥に入って押し込むも、石川がなんとかついて行き失点を許さない。
が、時間は残り4分を切っている。
ようやく動きが良くなってきたとはいえ、やはりPPを決めきれなかったツケは想像以上に大きく、このまま守り切られてしまうのか。
56:30 クレインズ1点目(EQ) G14佐藤匡史(wrap-around/ゴール右ポスト脇)←A19佐藤博史←21酒井
敗色濃厚だったクレインズを救ったのは匡史の粘り。ゴール裏で相手のチェックをやり過ごし、ゴール裏を左から右へ移動しそのまま足元にパックをねじ込んだ。
56:30 H Timeout
すかさずHigh1がタイムアウト。これが絶妙。
56:47 C12 Hooking
直後のセンターサークルのフェイスオフを奪うと、拾った桑原がまっすぐ突進。そのままゴール右から強引に切り込んでいく。背後からケリーがチェックに入るも、突進を許した時点でこの局面では負け。相手のタイムアウトに対してもっと過敏に反応しようよ。大事な時間帯なのにどうしてベンチは選手達を集めて指示をしないの。檄を飛ばすだけだったら俺でも言えるよ。
結局、最後までHigh1の攻めがヌルかったおかげで助かったものの...。今日も勝ち点3を手放してしまう。
Shots on goal:C8,H6
オーバータイム
3試合連続のOT、になっちまった以上は仕方無い。今出来うる最大限の事。勝ち点2を確保すること。できれば1対1の戦いになるGWSではなく、チームとして決着できるOTで決めてほしい。
クレインズは、@12-18-28-3、A75-20-2-23、B11-17-7-34で回す。今考えうる最強の布陣なんだろう。これと言ったチャンスも無いまま2分過ぎ。
氷上は再び@が登場。自陣からティリーがハイパントで大きくパックをHigh1陣に放る。High1の2人のDFが下がりながらもパックに向かってディフェンディングゾーンの真ん中あたりでジャンプ。叩き落とすのかなぁ、と思ったら、
62:13 H10 Deleying the Game(Throwing the pack)
あろうことか掴んで投げているではないか。
社会人の試合でも滅多に見られない軽率なプレー。
62:13 C Timeout
ここは勝負だよね。2分間使い切ったらOTの残り時間も無いから妥当な選択でしょう。
もう一度@をシフトし敵陣でのフェイスオフ。これを奪い敵陣でセット。5on3のPPの時のようにシュートコースに入っている相手プレイヤーを交わすでもなく、横パスをワンタイムで打たせるでもない、止まった状態で振りかぶり、打つ、打たない、いや打てない(だって動いてないものシュートコースなんかできっこないし)、じゃあ一旦奥へパス、戻してもう一回打つ、いや打たない、やっぱ打つ!。
62:39 クレインズ2点目(PP+1) G12フェアチャイルド(Slap/右45度/7m)←A18伊藤雅俊
右サイドからの強烈なスラップがゴールネットを揺らした。最後は力技か。
62:39 H31 GK out
62:39 C61 GK out
Shots on goal:C3,H3
相手の出方を伺うから、シュートが相手に当たったり、コースが無いから変に溜めたり(日高悟郎の「街の灯り」かよ)しちゃってるよな。相手の出方を伺う前にパックを動かしてしまえば相手のことを考える必要なんかないと思うけど。「相手に気を使った」ホッケー(クレインズだけでなくHigh1もだが)のぶつかり合いではリンクに火花も散らない。この内容では熱くなれないよ。
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