第34回日本アイスホッケーリーグ 日本製紙クレインズVS王子製紙 6回戦(丹頂アイスアリーナ) 観戦記

(0)プレリュード
 あれよあれよと3連敗。一昨年、年明け10連敗の悪夢が頭をよぎる。プレーオフどころの騒ぎじゃなくなってきた。しかも、悪いことは重なるもので守護神ドプソンがケガで今季は危ういらしい。う〜ん、まさに正念場。ここで踏みとどまらねば急坂を転げ落ちるように一気に低迷してしまうかもしれない。どーしても、ここで勝ってもらいたい。是非とも地元で連敗を止め、プレーオフ進出はもとより、3位争いにも踏みとどまってもらいたい。それももちろん重要なのだが、この最終戦に勝てば、リーグ加盟25年目にして、対王子製紙との対戦成績を初めて勝ち越しで終わることになる。その「歴史的瞬間」もこの目で見てみたい。
【クレインズ】
41−1
20−15−32−3−7
96−92−24−77−22
13−27−44−55−34
14−39−81−9−2
大滝が今季2試合目の先発マスク。前回は月寒でのバックス戦で無念の途中交代。昨日も交代してから50分間で5失点。往年の斬れが蘇るか。#9は出場無し。
【王子】
55−66
31−24−3−11−6
17−9−21−8−23
32−12−39−10−22
19−13−25−26−37

(1)第1ピリオド
今日も3つ目が先発。
序盤の5分までは、笛が2回しか鳴らないという早い展開。昨日、目立った王子の出足の良さというより、クレインズの出足の悪さはとりあえず解消している。双方とも、4回前後の攻守交代の場面があったが、まずは互角の立ちあがり。

 7:29 O21  Elbowing

クレインズディフェンディングゾーンで、賢吾の顔がよじれるような見事なエルボー炸裂!。しかし、このエルボーがクレインズに味方した。

 8:26 クレインズ先制のパワープレーゴール G20←27

ゴール左サイドから史郎が放ったバッティングシュートを相澤が右にはじく。はじかれたパックはゴールラインに対してほとんど角度の無い位置に飛んで行く。そこで待ちうけていたダーシ。角度がほとんど無かったものの、ここは「ダーシお得意のアングル」で見事にリバウンドを叩きゴールネットを揺らす。
昨日と違うところは、「手数」が多くなったこと。王子は昨日同様負けじと同じ手数で攻めてくるも、ディフェンディングゾーンでスロットルエリアに入らせないクレインズの「体」を張ったプレーが目につく。その分、互角、いやそれ以上の動きとして現れている感じ。しかも、その動きがアタッキングゾーンでも継続された。その結果、ゴール前で混戦状態を作り出す。いつもは淡白な2つ目が今日は結果を出した。

 11:50 クレインズ追加点 G92←96

飯塚が拾い、正和がゴール前で粘り王子DFを蹴散らす激しい動き。その流れの中でパックがこぼれ、それを腰越が拾い、ゴールへ。理想的な攻めで欲しかった追加点を奪い優位に立った。
しかし王子も黙っちゃいない。ここから波状攻撃が始まる。個々人の動きの良さは昨日同様変わっていない分、クレインズ陣内に入り込む機会が減っているわけではない。しかし、肝心なところをクレインズDFが踏ん張っており、致命的な位置に入らせていないのと、遠目からの、しかも有効とは思えないシュートを放たせるのみにとどめている守りが光る。問題はキルプレーになったときにどこまで動けるか?。

 17:03 C15 Elbowing

クレインズゴール左脇で必死のDFを見せていた賢吾へ加勢したところを取られる。
昨日は王子に6点を奪われたが、ショートハンドでは失点していない(ってことは5対5で負けていたってことなんだけど...)。今日も大丈夫と思ったが、

 17:56 王子のパワープレーゴールがついに決まってしまう。 G17←24←21

桜井の放ったシュートをまずは大滝が止めたがリバウンドが出てしまう。それを桝川に拾われる。
1ピリ終了。シュート数はクレインズ10、王子9。

(2)第2ピリオド
序盤、王子に1分過ぎと3分過ぎにチャンスが訪れる。いずれもゴール前に走り込んだプレイヤーにパスを出すという攻めで、「あっ、やられた」と思わせるシーンだったが、いずれも大滝が見事にブロック。
逆に5分過ぎ、2つ目も負けじとチャンスを作るがゴールを奪えない。逆に王子にカウンターを取られてしまった。

 7:45 王子同点 G3←24←31

その前のプレーで勇がウィングを従えて中央から持ち込みアタッキングゾーンに進入するも、シュートかパスかでわずかな迷いがあったところを松浦に突かれ、パックを奪われると、すかさずゴール左サイドを走り込む杉沢。右サイドを桜井が持ち込むと、杉沢へ矢のようなパス。ゴール前できっちり合わせられる。勇が攻め込んでしまったために起きたプレーではあるが、攻め込んだ後のプレーに迷いがあっただけのこと、このプレーが元で「守り」に回らなければいいのだが...。
しかし、そんな私の心配は徒労に終わる。8分過ぎ、39、81、13のシフトがボード際を中心に粘りを見せ、パックを奪うこと数回。最後は倒されながらもシュートを放つ村上。しかしパックは空しく枠の外へ。誰かそこに入り込んでくれれば...、という惜しい動きを見せる。その動き結果的に、この後、実ることになる。

9分過ぎ、ブルーラインベンチ際で必死にパックを出すまいと粘った腰越のプレーからチャンスが生まれる。既に攻撃態勢に行こうしていた王子の裏をつき、腰越からつないだパックは、飯塚がキャリーし、正和との2−1隊形を作り出した。パスコースを隠すべく寝るDF、さあどーする飯塚。ここは勝負じゃ!。

 9:58 クレインズ突き放す G24←92

パスが出せないとみるや、相沢と勝負。見事に相沢の左脇を抜いた。パスを出さずによくぞ勝負した!。同点に追いつかれただけに貴重な勝ち越し点だった。

 10:17 O24 Holding

ここで一気に突き放したいところだが、決定打が出ない。逆に、

 13:24 C3 Highstick

すると、僅か4秒後の最初のプレーで、

 13:28 王子再び同点に追いつく G31←11←24

ポイントの位置から放ったシュートは大滝が弾いたものの、そのパックがなんとネットに突き刺さる。あっさり同点にされてしまった。しかも、

 14:32 C13 Boarding

本日「2打数2安打」の王子のパワープレー。ここは踏ん張ってほしいところ。パワープレー前半1分間に2本のシュートを放たれたが、ようやくペナルティキリングをしのぎきった。
その後は、またもや一進一退の展開に。双方決め手を欠き、2ピリを終了。
シュート数はクレインズ9、王子10。

(3)第3ピリオド
 年明け過去3戦に共通することは、いずれも3ピリ序盤に相手に先に点を取られてしまっていること。しかも土曜日のコクド戦と昨日の試合では、連続得点を許してしまっている。クレインズの生命線は「3ピリ勝負!」。ここを制するしかない。先に点を奪うんだ!。

開始早々の5秒に王子の放ったパックがO.B.に。そのパックが賢吾のヘルメットに直撃。一瞬色めき立つクレインズベンチだったが大丈夫な様子。

 1:06 C32/O6 UnsportsmanlikeConduct

ホイッスル後、一発ずつパンチを繰り出してしまった。
で、2分後、ペナルティが解けて5人対5人に戻った矢先、思いがけないプレーが生まれた。攻めあがったディックがポイントの位置から長尺スティックが繰り出す弾丸シュートが相沢の正面股間あたりに飛ぶ。相沢の動きが止まり、セーブされたかと思ったその瞬間、一瞬私はディックの方を見てしまったが、私の視界の右隅に赤いものが光ったように見えた。

 3:15 クレインズ待望の勝ち越し点 G15←7

フリーズしたと思われたパックがどうやらこぼれていたらしい。そいつを見逃さずゴールに流し込んだコンロイ(ところが、コンロイの動きをあまりよく見ていなかったのだ。なんたること)。
なにはともあれ3ピリに勝ち越した。さあ、まだまだガンガン攻めて行こう!。と思った矢先、なんと、キャプテンがまたもや暴れているではないか。

 3:53 C32 Holding
 3:53 O8 CrossChecking

そして、なんとつかみ合ったまま殴り合ってしまったのだ。これは私の想像だが、年明けからここまで勝ちがないという鬱積がチームには溜まっていたのだろうと思うが、キャプテンが一番溜まっていたのではないのだろうか?。どうしても今日は勝ちたいという気持ちは人一倍あったに違いない。で、結局裁定は、双方にRoughing(major)+Game Missconductで退場になってしまった。乱闘は良くないし、退場は残念なことではあるが...、竹内の気迫がもたらした乱闘であったと私は思いたい。

さて、これから長い長い16分間が待ちうけている。守りに回ってはいけない。攻めるという「気持ち」を持ち続けなければ...。

7分過ぎ、小林が長い時間パックをキープし王子ゴール付近で「暴れまくる」。ゴールには至らなかったが、まだまだ行けるぞ。
この後、10分過ぎまで一進一退の攻防がまたもや続く。だが、伝統に裏打ちされた王子の「底力」をみくびってはいけない。往年の「強さ」こそ色褪せてはいるが、赤いユニフォームには、そんな不思議な魔力が染みついている。11分過ぎ、王子が2−1隊形(選手不明)で決定的な場面を作る。もうだめだと思われた瞬間、こちらも往年のプレーが蘇った。素晴らしいプレーで大滝がナイスセーブ。直後、

 11:23 O6 Holding

反転速攻に向かうダーシを抑えようとつかみかかった川島を交わそうと「前へ」出たところを倒される。そう、その動き。前へ出る気持ちが反則を誘う。このパワープレーで決定的なゴールを奪おうと22、24が相次いで王子ゴールになだれ込む。しかし、王子も必死で凌ぎ、無得点に抑える。16分過ぎには20、24、15が見事なコンビネーションを見せるもやはりゴールを奪えない。逆に、18分過ぎに王子怒涛の波状攻撃が延々と続く。折り重なるようにパックに倒れ込む大滝、そして賢吾。クリーズ内に浮いたパックを手でかき出したように見えたのだが、レフェリーの死角になっていたようだ。あれってペナシューものでしょ?。ヤバヤバ。王子の抗議も通らず、

 18:47 王子タイムアウト。そして、6人攻撃を敢行。

久々に相手チームの6人攻撃を観ることになった。この日を待ちつづけていた。しかし、試合はまだ終わってはいない。凌げるか1分13秒。おっと、ダーシがパックを奪った。決めちまえエンプティネット、ってゴール枠右にわずかにそれる。う〜ん。
その後、アイシングで残り21秒。クレインズ陣内でフェイスオフが残る。王子、必死にクレインズゴールになだれ込む。ゴール裏からセンタリグの機会を狙ったが、最後の最後まで踏ん張ったDF陣、そして大滝の気迫が優り、遂にタイムアップ。
シュート数はクレインズ10、王子9。
ようやくクレインズが連敗を止めたと共に、対王子戦初の対戦成績勝ち越しを達成したのだ。オールドファンである私にとって、王子に勝ち越してくれることをどれだけ待ち望んでいたか。口には出しませんでしたが、私は非常に嬉しいんです。この日が来るのを心待ちにしていました。
 そして、大滝2年ぶりの勝利。そしてそして、更に嬉しいことにGBPに大滝が選ばれたのだ。良く頑張りましたよ、今日は。しかも、日光で雪印が引き分けてくれたことでプレーオフ出場が確定しました。でもまだまだリーグは終わってないのだ。まだ3位の目があるんだ。そして、通算成績で「初めて王子よりも上に行く」というもう一つの「課題」が残っているのだ。このままあんのんとして残りの3戦を戦うことなく、是非とも3連勝で締めくくって欲しい(バックスにも借りがあるでしょ!)。そんな思いを胸に釧路を後にしたのです。