第34回日本アイスホッケーリーグ プレーオフセミファイナル
西武鉄道VS日本製紙クレインズ 2回戦(東伏見アイスアリーナ) 観戦記

(0)プレリュード
 そりゃ辛いですよ。あんな嫌味ったらしい観戦記を書くのは。悔しくて仕方が無い。とにかく結果を見せてほしい。何度でも言う。何のために3位抜けをしたのか?。それが意味のあるものになるような試合を見せて欲しい。ただ、それだけなのだ。
【クレインズ】
41−1
20−15−32−3−7
96−92−24−77−22
13−27−44−55−34
14−39−81−9−2
昨日とまったく同じメンバーです。同じ布陣で望む以上、やはりこの組み合わせがベストなんだという「主張」を感じます。ならば、結果を見せて欲しい。#9、#2の出場なし。
【西武】
70−39
40−77−22−72−28
19−47−9−7−20
16−12−15−33−3
24−17−41−44−2
こちらも#2以外は昨日と同じ組み合わせ。今日も勝負の分かれ目は1つ目対2つ目の「せめぎあい」になるはずだ、間違い無く。

(1)第1ピリオド
 昨日同様、立ちあがりはクレインズの動きがやや優勢。アタッキングゾーンに入ると、遠目からでもシュートを放つシーンが見られた。しかし、

 2:04 C34 Interference

やはり、西武プレイヤーの「前に出る」という気持ちがクレインズDFを強引にでも振り切る結果になり、それが引っ掛けたように見えてしまう。昨日、さんざんいたぶられた西武のパワープレーを迎えてしまうが、

 
3:36 西武、今日も先制! G20

ブルーライン中央から放ったシュートが勇のスティックに当たり、角度が変わって大滝の左肩口に決まってしまう。今日も先制される辛い展開に。
 で、これ以降、大きくはしょらせて頂きます。こいつを執筆しているのが夜遅くて、明日の仕事に差し支えるという個人的な話もあるのですが、それ以外に、そうせざるを得なかった理由を後ほど述べます。

 4:11 S3 Holding

 11:02 C77 Holding Stick

 15:11 S28 Holding

 16:49 S3 Roughing

終盤に22秒間の5人対3人のチャンスを迎えましたが実りません。
第1ピリオドのシュート数は西武11、クレインズ11。
シュートは放ってますが、場内を大きく沸かせるようなチャンスは(ツーメンアドバンテージの時でさえ)一度もありませんでした。

(2)第2ピリオド

 5:06 C34 Slashing

 5:51 C3 Cross Checking

この1分以上ものツーメンアドバンテージを、今日は見事に凌いだ。これで流れがクレインズに傾くかと思いきや、

 7:54 C92 Roughing

そして、

 
7:59 西武またもやパワープレーゴール G22←20

なんと、5秒後に失点。これだけのピンチを凌いだあとの反則なんて刹那過ぎるよ。

 8:26 S3 Tripping

これも凌ぐのだが、なんとこの後に、西武#9がノーマーク。それを背後から押さえに行ったディックもろとも転倒。辛うじて失点は免れたものの、レフェリーのホッカネンが黙っちゃいない。

 10:32 C7 Hocking & Penalty Shoot

ホッカネンの両手が頭上で交差される。私自身、生涯2回目の目前P.S.をこんな状況で見るハメになるとは...。シューターはクリス・ブライト。大滝、止めてくれ〜!、しかし、

 
10:32 ペナルティショットが決まってしまう G77

大滝をゴール左(ブライトから見て右)に振って、その股下にパックを流し込む。スルッと流れたパックはゴール右(同、左)ポストに当たったものの、内側に跳ね返りゴールイン。

 11:20 C55 Interference

 14分過ぎ、決定的な2−1隊形を大滝寝転びながら脚でセーブ。しかし、そのプレーの直後、腰を痛め動けなくなる。辛うじて立ち上がりプレーに復帰するも、

 15:00 C13 Checking from Behind(Minor & Miss Conduct)

辻の背後からのプッシングで倒れた西武プレイヤーが転倒したままゴールになだれ込んでしまい、大滝と激突。またもや、大滝動けず。試合はここまで0−3で劣勢。しかも、大滝までリタイヤするなんて...。なんというプレーオフなんだ。一瞬、悲しくなってしまった私。

何故、ここまで試合展開をはしょったか。それは、ここまでの試合展開が昨日と殆ど同じだったからだ。相変わらず頼みの1つ目は西武の2つ目の執拗なマークに本来のパフォーマンスを完全に封じ込まれる。たまに放つシュートも芋生がまったくリバウンドを出さない完璧な守り。パワープレーも昨日同様、パックを回すばかりでは今の芋生は崩れない。そして、相変わらず西武1つ目には翻弄されっぱなし。
「反撃の糸口すら見当たらない」というのは、まさにこの状況を言うのか。しかも大滝の腰が危ない状態。これほど辛いプレーオフになるなんて...。このままクレインズは西武の前に空しく散ってしまうのか。2試合連続完封負けを喫してしまうのか...?。

しかし、この劣勢の極みという状況からわずかな光明を見い出したのは、やはり1つ目だったのだ。
大滝がなんとか復帰し、キルプレー開始となった20数秒後。大滝がセーブしたパックを賢吾が拾うと、西武DFのポジションがブルーラインよりもやや内側に位置していたのだ。晴天の霹靂とはこのことか、ちょうどその裏を取れる位置にいたダーシに絶妙なパスが渡った。すぐさま反転しニュートラゾーンに入った時点でノーマークになった。クレインズ応援席が騒然とするなか、ダーシによって運ばれたパックの行方は、それまで95分間越えることができなかった芋生の壁をついに、ついに...、

 
15:27 反撃の狼煙か? ショートハンドゴール! G20←3←41

ついに、芋生の壁を越えた。ようやく東伏見に巻き起こる歓声の嵐。ゲット君「念願」の東伏見ランニング!が飛び出す。さあ、これで流れが変わるぞ!。
2ピリ終了。シュート数は西武16、クレインズ9。しかし、ショートハンドゴール以降、クレインズの1つ目に本来の動きが見え始めてきた。これで西武が引いてくれれば...。

(3)第3ピリオド
 ここまで、完全にクレインズの1つ目を封じてきた西武2つ目の動きに「翳り」が見えてきた。序々に持ち前のコンビネーションを繰り出すコンロイとダーシ。淡々と攻守交代が行われる中、5分過ぎ、西武ゴール右後方でパックをキープしていたダーシからブルーラインに居るコンロイにパックが渡る。コンロイがゴール左にパックを流すと、そのパックにゴール前から斜めに入っていった竹内とマークする西武DFが交錯した。すると、

 
5:30 クレインズ追撃! G32←15←20

コンロイから出されたパックは完全に枠を外れていた。しかも竹内の膝下あたりを通過するように「浮いて」いた。それを竹内が空中で合わせ見事に角度を変える。
さあ、1点差まで来たぞ!。押せ押せクレイン!!。

これを境に、試合の流れが一気にスピードアップ、攻守交代が速くなり試合がリズミカルに動くようになり、ようやくアイスホッケーらしくなってきた。西武の2つ目が疲れたのか、クレインズの1つ目が本来の調子を取り戻したのか、コンビネーションの精度が序々に上がってくる。守りの方も、西武1つ目の攻めにしつこさが無くなり、クレインズゴールを脅かす場面が減ってきた。逆に西武がアイシングで逃げ、クレインズが西武陣内でフェイスオフを迎える場面が増えてきた。これは行ける。行けるにちがいない。その思いが、ついに、ついに通じることになる。

 
16:18 ついに同点に追いついた! G20←3←7

何度も何度も西武陣内に攻め込むと、西武のプレイヤーを釘付けにする。ゴール付近でパックが回せないと見るや、ブルーライン上本部席側に位置していたディックにパックが戻される。すぐさま、逆サイドの賢吾にパックが回るとワンタイムでパックがゴール(芋生から見て)右手前に戻される。それまで一度も通らなかったキラーパスがついに通った。そこ居たのはダーシ。そう、この位置は「ダーシお得意のアングル」。これまたワンタイムで片膝つきながら流し込んだパックはダーシに正対したものの、しっかり空いていた芋生のマタを一瞬早くすり抜けゴールを割った。ようやく試合を振りだしに戻した。勢いは完全にクレインズのものになった
19分過ぎコンロイが右サイドでフリー。ゴールに切れ込みシュート。決勝ゴールかと思わせたが、そこは芋生が踏ん張った。
そして、タイムアップ。シュート数は西武8、クレインズ13。試合はオーバータイムになだれ込んだ。いける、いけるハズだ。

(4)オーバータイム
 15分休憩製氷後、20分間のサドンデスオーバータイムに突入した。
 なんせ、クレインズは今季延長戦では負け無しの3勝3分け。しかも西武には2度の延長勝ちをやってのけている。しかも、3ピリ以降、クレインズに流れが来ているのは確か。必ずや好結果が生まれるに違いない...。

 3ピリ以降、全く反則を取らなくなったレフェリーのホッカネン。完全に試合の流れを重視した絶妙なサジ加減だ。というか、双方の動きが拮抗した状況では「アッ、ヤバッ」というシーンがそれほど生まれない。これこそが理想的な試合展開なのではなかろうか?。
 完全に流れをつかんだクレインズ。1ピリ開始早々に見せた積極的な攻撃が見え始める。

 しかし、西武も黙っちゃいない。5分過ぎ、クレインズ陣内のフェイスオフ直後に出たパックをワンタイムで叩く#15。「やられた」っと思ったパックは左に態勢を崩しながらも大滝が一瞬早く差し出したミットにしっかりと収まった。捕れなかったら、ジ・エンドというシュートコースだった。

 ここまで来ると双方の1つ目VS2つ目の勝負になってきた。お互い譲らない攻防が続く。

 10分過ぎ、西武#77が放ったシュートがポストに当たる。跳ね返ったパックに折り重なる勇と大滝。ゴールしたのではないか、とアピールする西武。

 このなんとも言えない緊張感に終止符を打ってくれたのは、やはり1つ目だった。

 11分過ぎ、西武がディフェンディングゾーンからクリアしようとしたパックをベンチ前で受け止めたコンロイが攻撃の基点となった。そこから、波状攻撃を見せるクレインズ。ゴール前に殺到する双方の選手達。わずかにこぼれたパックを竹内が外に振ると、ブルーライン本部席側に位置していた賢吾に渡る。この波状攻撃で完全に守備隊形を崩していた西武プレイヤーがゴール右サイドに固まっていた。それを避けるようにブルーライン上をベンチ側へ移動しつつ、西武ゴール目掛けて放ったシュートが糸を引くように綺麗にゴールに向かって飛んでいった。その先でしっかり揺れたゴールネットが確かに見えた。

 
11:44 サヨナラゴール!! G3←32

ついに3点差の劣勢を跳ね返し勝利をモノにしたのだ。昨日同様の負けパターンに陥っていた状況だったハズなのに...。これだから、クレインズファンはやめられない(笑)。リンク上で折り重なるクレインズの選手達。歓喜の渦に沸くクレインズ応援席。このリンクの状況を言葉にすることは非常に難しい。この日この時この瞬間を体験した者にしかわからない至高の時だった。
シュート数は西武6、クレインズ5。プレーオフにGBPは無いが、今日のGBPは間違いなく賢吾。4点のうち3点に絡む活躍。しかも、そのうちの2点がラストパス!!。

次は、もっと「たまらない瞬間」を味わいたい。そして、味わせてほしい。
まだまだ、厳しい戦いは続くぞ!。まだ1勝1敗に追いついただけなんだ。それを忘れるな。
今年こそ、ファイナルへ行こう。札幌に行こう!。