第34回日本アイスホッケーリーグ プレーオフセミファイナル
日本製紙クレインズVS西武鉄道 4回戦(釧路(丹頂)アイスアリーナ) 観戦記

(0)プレリュード
 1勝2敗と王手をかけられた格好で釧路に帰ってきた。ファイナル進出のためには連勝しかないのだ。果たして連勝できるのか。データ上は連勝できる下地はある。
 レギュラーリーグ。初戦は1−3で敗退、2戦目は4−3でサヨナラ勝ち(東伏見)、3戦目は4−5で競り負け(帯広)、4戦目、5戦目はいずれも2−1の1点差勝ち。しかも5戦目はサヨナラ勝ち(釧路)。
 今回のセミファイナルはどうか?。初戦は0−4で敗退、2戦目は4−3サヨナラ勝ち、3戦目は3−5で競り負け(東伏見)...。
 果たして、4戦5戦はどうなるのか。
【クレインズ】
41−33
試合開始前、ニコニコしながらゴール裏にやってきた一人の女性。「きょう先発なんです」とおもむろに取り出した横断幕。おお、なんとドプソンの横断幕ではないか。そう、先発には2月26日の対王子戦第1ピリオド10分5秒以来、我等が守護神ロバート・ドプソンが帰ってきた。崖ッぷちに追いやられたクレインズを救うべく、とっておきの切り札をここで出してきた。
20−15−32−3−7
96−92−24−77−22
13−27−44−55−34
14−39−81−9−2
ここ数日、まったく同じメンバーです。#14、#81、#9、#2の出場なし。
【西武】
70−39
40−77−22−72−20
19−47−9−7−2
16−12−15−33−3
24−17−41−44−51

(1)第1ピリオド
 釧路吹奏楽団がわざわざ練習の合間を縫って、試合開始前の負け知らずのファンファーレを吹奏。勿論、ゲット君は今日も無敗のムタメイク(ついでに、足掛け3年間、クレインズの負けを観ていないウチのおふくろも観戦−勝ち試合を選んでいるかの如く)。負ける要素は無いはずだ。
 立ち上がりから、西武ゴールにシュートを放つクレインズFW。決定的なチャンスが早くも訪れる。
2分過ぎ、自陣から斉藤の出した一発の縦パスで辻がノーマーク。早くも先制かと思われたが、正面からまともに勝負し、芋生の餌食になってしまった。

 6:44 C7 Elbowing

西武2つ目の粘りに耐え切れず。チェックが腕からあいての首に入ってしまった。早速、迎えたキルプレーだったが、

 7:16 S7 Highstick

西武が攻めている中で犯してくれた反則で、ピンチを脱する。しかし、残ったパワープレーはクレインズ、何もできずにフルストレングスへ。前半は軽くジャブ程度の攻防といったところか...。
試合が動いたのは1ピリが半分過ぎたあたり。

 10:37 S20 Holding

辻、村岡の突進が反則を誘う。ようやくまともなパワープレーができると思った矢先、敵陣フェイスオフスポットでのフェイスオフ後、ブルーラインベンチ側でパックをキープしようとした賢吾に、ブライトが突っかかると、案の定、抜かれてしまい...、

 
10:58 西武、先制のショートハンドゴール G77←40

今日も許してしまったショートハンドゴール。折角のパワープレーも、この失点の影響からか、さして有効攻めを繰り出すことが出来ず2分間が過ぎ去ってしまう。
対する西武も、パックの支配率ではクレインズを上回っているいるものの、決定的な場面を作らせていないクレインズの守り。

 16:45 C77 CrossChecking

17分過ぎ、藤田のシュートがゴールポスト右に当たヒヤリとさせたが、なんとか凌いで1ピリ終了。
シュート数は西武8、クレインズ8。相変わらずパックへの第一歩は西武が上回っているものの、外をグルグル回っているだけで、致命的なシュートを放たれてはいない。過去3試合でできてなかった守りがようやく見え始めてきた。ゴールにどっしりと控えているドプソンの影響なのか...。

(2)第2ピリオド
序盤からクレインズにチャンスが訪れる。

 1:53 S22 Holding

3分過ぎ、ダーシお得意のゴール右サイドのポジションに回ってきたパックを、芋生の背中越しに決めるべきシュートが大きく浮いてしまう。あの位置なら外さないはずなのに...。しかし、

 3:41 S2 Holdingstick

西武陣内でコンロイのスティックを一瞬つかんだ。

 
4:11 クレインズ同点のパワープレーゴールが決まる G7←15

12秒間のツーメンアドバンテージはモノにできなかったが5人対4人の状況で西武ゴールに殺到。その混戦からゴール右に居たコンロイがシュート。リバウンドがゴール正面にこぼれる、それにディックが反応。鋭い突っ込みでゴールにパックを放り込む。う〜ん、最近、あんなにゴール前で粘った事ってあったかなあ?。よく、こういう場面をコクド相手にやられるのを見た事があるのだが...。

 4:31 C27 Highstick

同点になったせいか、クレインズの動きに余裕が出てくる。腰越とコンロイで逆襲するシーンも見られ、キルプレーはしっかり守った。ここから、クレインズが西武を自陣に釘付けにさせる場面が続く。すなわち、クレインズ応援席側の目の前で試合が展開され続けた。
7分過ぎ、3つ目が西武陣内で激しく動き回り、西武DF陣を翻弄。最後はシュートで終わる。
8分過ぎ、コンロイをパックキャリアに、ディック、竹内が見事なパスフォーメーションで西武陣内に攻め込み、あわやゴールかと思われたが芋生と最後にパックが渡った竹内の距離近すぎてゴールならず。
9分過ぎ、小林から正和に渡りシュート。リバウンドを勇が叩くがまたもや芋生が立ちはだかる。
10分過ぎ、またもや3つ目がフェンス際でことごとくパックを奪い、西武陣内で暴れまわる。
この合間に攻め込む西武だが、外からシュートをドプソンに向けて放つだけに終わり、シューティングエリアにすら入れない。
なんとか、この流れを生かして欲しい。そして、

 13:25 S2 Roughing

ついに松浦がやってくれた。西武側ブルーライン上ベンチ前で賢吾をなぎ倒す。さあ、ここで逆転しようよう、と思いきや、クレインズベンチでなにやら起きている様子。どうもドアが故障したようだ。簡単治るかと思いきや、意外と時間を食っている様子。今日のドアマンは中村達哉。あまりに力が入りすぎて、ドア破壊したか...。で、肝心な場内は、両チームの選手が所在無さげに、スケーティングを繰り返すばかり。肝心なドア故障の放送も無い(山手線みたいだ)。せっかくいい流れになっているのに、水を差すのはドア故障。ドアなんかオレが押さえててやるから早く試合やろうよ。そう思わせるぐらいに中断が恨めしかった。で、結局、5分ほどの中断の後、再開。直後の動きがやたら悪くて、1分ほどパワープレーを無駄に過ごしてしまったものの、やはり流れはクレインズに来ていた。パワープレーも残り30秒で1つ目を中心としたスペシャルセットから2つ目にシフト。しかし、その2つ目が、クレインズ1点目と同様にゴール前でしつこく攻めつづけると、またもやパックがゴール右手前にこぼれる。

 
15:02 逆転のパワープレーゴール G77←92

既にゴール右サイドに選手がかたまりつつあるところを、そのこぼれたパックに反応した勇が叩いたパックは、フワッと浮き上がり、芋生の右脇をかすめ、ネットを揺らした。ついに逆転。
完全に流れはクレインズのものと誰もが信じて疑わなかったその50秒後に悪夢が待っていようとは...。

 
15:54 西武同点に追いつく G22←20

逆転してホッとしたのか、自陣からの縦パスが見事に決まってしまう。ノーマークでは、ドプソンどうしようもない。
ま、直後に同点にされたが、これは交通事故のようなもの。西武の1点目もしかりである(交通事故といっても、ミスしているから失点するんでしょうけど)。攻め込まれて崩されて失点したというのではない。今日はいけるいけるはずだ。
第2ピリオド終了。シュート数は西武9、クレインズ19。

(3)第3ピリオド
クレインズの生命線は「3ピリ勝負」。ここで勝ち越せば、クレインズが勝つ確率は非常に高い。とにかく、先に点が欲しい。ところが、その思いを立証するかのように、早々と「嬉しいこと」が起きる。

 
0:33 勝ち越しゴール決まる G32←15←20

ダーシがパントのようなパスを出すと、ブルーライン直前でコンロイにつながり、右に位置していた竹内と2−1隊形。コンロイはシュートせず竹内にパス。ところが出されたパスのタイミングが若干遅く、竹内は芋生の右45度くらいの位置まで追いやられてしまった。しかも竹内にとってはバックハンド。厳しいアングルだったが、バックハンドで放ったシュートが芋生の左肩口、ゴールの左上スミに決まった(と思う。実はそのパックがゴールに入っていく瞬間を見切れていなかった。が、そこしか開いていなかったはず)。まさか、決まるとは思わなかった位置から奪ったゴールは値千金の勝ち越しゴールとなった。

 3:47 C92 Interference

 8:26 C3 Highstick

 11:26 C Member Over(#13)(選手交代時にパックが当たるって奴。運が悪かった)

まるで、同点になって試合を面白くしてみようか、と思わせんばかりのレフェリー、ホッカネンの裁定は、客観的に試合を観ている人間にとっては楽しみだが、応援しているこっちにはたまらない(でも、きっちり反則していたけどね)。立て続けに訪れるキルプレーを再三凌ぐクレインズ。しかし、13分あたりまでは、クレインズの守りが勝っていて、パックは西武が支配するものの、致命的なシュートを放たれることなく守り切ってきた。9分過ぎに芋生からブライトへのダイレクトパスがとおり、右サイドを藤田が抜けて、あわやノーマークかという場面もあったが、オフサイドに救われた。用は、「交通事故」的な失点さえケアすれば、崩されることは無い。GKが変わるとこうもかわるものか(大滝には申し訳無いが...。でも、こういう状況を作り出してきたのは、大滝がここ数試合をなんとかこなしてきたからなのかも知れない)。
しかし、さすがにこの時間になると、クレインズも引いてしまい、西武に押されてくる。
16分過ぎ、ゴール前にこぼれたパックをスティックで遠のけようとしたドプソンが前のめりに倒れ込む。しかし、パックは小堀(#7)の前へ。がら空きとなったゴールに向かって飛んで行くパック。しかし、ゴールの枠の上に当たり失点を免れる。
17分過ぎと18分過ぎ、ラトゥシュニーの放ったシュートがいずれもポストに当たる。特に、18分過ぎのシュートはゴールポスト右に当たったパックがさらに左サイドのポストにかするというヒヤヒヤもんのシュート。
まさしく、
「ドプソンマジック」か。つごう4回ポストにパックが当たっているが、いずれもゴールにならなかったのは、単なる偶然とは思えない。GKがドプソンだから、タイトな位置を狙わなきゃと思う気持ちがパックをゴールから遠ざけているようだ。
GKを上げ、執拗に攻める西武1つ目+樺山のスペシャルセット。なんとか凌ごうとするクレインズ2つ目+3つ目混成軍。この凌ぎ合いは1分近く続くも、なんとかクレインズが耐え切りタイムアップ。と、同時にに両手を上げ喜ぶドプソン。舞飛ぶジェットフーセン。
シュート数は西武8、クレインズ5。
ついに、五分に追いついた。流れは間違い無くクレインズに来ている。今こそ、「歴史を変える瞬間」をみんなで迎えようではないか。